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【Q1.0住宅デザイン革新 「住まいのユニクロ」へ】


かねてから当誌Replanでは新住協・鎌田紀彦先生に「Q1.0住宅デザイン論」という
連載記事の執筆を継続してもらっています。
ユーザー目線を基本とする住宅雑誌として、
「良きものはカタチとしてもその明瞭な表現が求められる」と考え、
わかりやすさ、万人が納得できる住宅デザインへの強い希求があると
先生に対して、ユーザーの潜在的要望を伝えてきていた。
住宅デザイン進化も「科学的に」探求できないのか、と考えていた次第。
鎌田紀彦先生は、システム工学が中心的研究テーマの科学者であり、
住宅性能の探求と並んで、そういうシステム化が専門領域。

そのような方向性を連載のベースにして目指すべきものが
徐々にある志向性として、カタチを見せるようになって来た。
それが住宅デザインの「プロトタイプ」論だと思います。
個別の住宅の条件・希望へのていねいな応答ともいえる自由設計的な
いわゆる「建築家」デザインの逸品生産デザインの住宅に対して、
より一般解とでもいえるプレタポルテ的な共有性の高い住デザインの探求。
鎌田先生の言葉を借りれば「住宅のユニクロ的デザイン」。
こういった住宅デザインの探求にあたっては、
いくつかの条件を想定しながら、一般解を探っていく志向になる。
先般、札幌で講演していただいた東大名誉教授の難波和彦氏の
「箱の家」シリーズの趣旨骨子とも通底するような住宅デザインの方向性。
こんな問題意識で鎌田先生と対話していたら、
一時期の東大工学部での内田祥哉先生と、池辺陽先生との論争が
起点になっているといった歴史にもお話しが及んで、
興味深い展開にもなっていました。
それぞれの弟子スジにあたる鎌田先生と難波氏の交点がみえて、
またその志向の類似性に目の覚めるような思いを持った次第です。
そういえば難波氏「箱の家」は住宅の「無印良品」と呼ばれてきたし、
いま、鎌田先生の提唱される「ユニクロ」もまた、
より広範なユーザーの需要の本質を掴み取って、
その最適解を示していくという方向性はまったく共通すると思います。

このような先生の提起を受けて
先生との「共同開発」の長い経験知を持つ北海道の住宅の作り手たちが、
きのうからゼミナール形式で、参集したのです。
さっそく現代生活の必須要件の絞り込みなど活発な意見交換が。
交通利便性の高いエリアでの変形・狭小敷地対応のニーズの高さや、
現代生活の必須要件としてのクルマ駐車スペース2台分確保、
個室の確保数と、そのトレードオフの関係の解明など、
モデル的プランの検討、煮つめが議論されていました。
今後、有志のビルダーと先生で月1回程度の「ゼミナール」を重ねて
成案を煮詰めていく行程が確認されていました。
この探求の動向、今後に大注目だと思います。

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