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【芸術接触の地域偏差 東京のひとはいいなぁ】

本日から2日間、横浜で新住協の全国大会。
取材や人的接触ということで参加するために上京であります。
というふうに書いてみて、わたしはほとんど「上京」というコトバを
これまで使っていないことに、ふと気付いた(笑)。
そもそも「上に向かってくる」というような行動心理はあまり持ったことがない。
こういう共通語表現自体が、たとえば関西の人にはたまらなくイヤだろうし(笑)、
東北の人には無用なコンプレックスも持たせた可能性がある。
一方で北海道の人間は、そもそも生地としての北海道地域に
根深い「地域性」「人間風土」感覚がそう強くない。
自分自身も、親の世代から北海道以前の「故地」があると聞かされていて、
そもそも人間は流動する存在だ、みたいな意識が優越しているのかも。
そういった意識の上に、距離的には遠いけれど飛行機移動しかないので、
心理的にはいちばん近いというようにも首都圏をみている。

そういう自分ではありますが、
こと芸術鑑賞の面においては、ほとんどため息の出るような状況。
この間、札幌で超久しぶりに近代美術館で娘と絵をみましたが、
とにかく芸術鑑賞は東京でしか、しばらく体験がなかった。
わたしはこういう鑑賞が趣味生活の多くを占めているので
たぶん1年間で20-30回は美術館・博物館の類を見学鑑賞していますが、
鑑賞するための設備・施設環境が東京に集中しているという実感。
都市としての機能の部分で、日本では東京だけが先端的に発達しているので、
そことのアクセスを合理化する方に社会の努力と方向性が集中した。
もちろん、各地域を訪れると地域の「博物」展示施設があり、
それらは貴重な地域の生活文化を知らしめてくれてはいる。
しかし芸術については、極度の東京一極集中。
このあたりいつも感じているのですが、たとえば、地方人が東京の芸術鑑賞するときには
無料にするとかの文化政策があってもしかるべきではないかと思います。
国土の均衡ある発展のためにはなによりも人材への投資が欠かせない。
芸術との接触は近視眼的にはムダとも言えますが、
人間性の涵養にとっては最上の人間への投資機会ではないかと思います。
今回も皇居近くの出光美術館で、江戸の琳派と題した展示会。
大好きな酒井抱一、鈴木其一の大作と法楽の一時を過ごせました。
だんだんと日本独自の絵画表現と言える屏風絵に耽溺してきます。
今回は琳派と浮世絵文化の接点あたりが興味をそそられました。
それとなぜ、近世以降、東アジアでは日本の絵だけが世界性をもったのか、
こういったあたりのことも、深く考えさせられるようになってきています。
とくに隔世遺伝のように個人的関係を持たずに伝承された
琳派の美の系譜は、ニッポン人の不思議さでもあろうかと思っています。

ぜひ、地方人の芸術参観に目を向けて欲しい。
美術鑑賞の地域偏差を解消する政策を推進して欲しいものです。

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