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*家づくり安心知識 [メンテナンス編]

メンテナンスの大切さ

メンテナンス編 メンテナンスの大切さ


家は建てて終わり? 答えはNO。
どんな家でも「メンテナンス」が必要になります。

家は放っておけば古びる一方。補修が手遅れとなった箇所を直すには、相当な費用が必要になります。
逆にきちんとメンテナンスを行えば、余計な費用をかけずに、品質の保たれた家に長く住まうことができます。

どちらが良いかは一目瞭然。
ならば建てる前にちょっと勉強してみませんか?
本コーナーでは、全4回に分けて「メンテナンスの大切さ」についてお伝えしたいと思います。

第1回メンテナンスの心得

メンテナンスはどんな家でも必要

 陽当たりのいい明るいリビング、高い吹き抜け、対面キッチンで家族や友人とおしゃべりしながらの料理…。家を持つなら、誰もが幸せな暮らしを思い浮かべて家づくりを行うことでしょう。そんなとき、住んでから必要になるさまざまなメンテナンスについて具体的に想像することは少ないかもしれません。
 ですが家が完成して生活が始まると、家に使われているすべての建材において経年劣化が始まり、永遠に新品のままというわけにはいきません。「メンテナンスフリー」と謳っていても放っておいていい訳ではなく、設備も故障するなどの事象は避け切れません。経年による傷みや不具合に対するメンテナンスは必ず必要になってくるのです。

大切な「わが家」だから自分でも気にかけたい

 生活し始めてから生じる不具合にはさまざまな要因があります。経年劣化、天候や自然災害などの外的要因、機材の故障、施工業者の技術的な要因、施主の住まい方や使用方法の誤りなど、不具合の事象によって異なります。そして、同じ時期に建てた家でも不具合が現れる年数は一軒一軒異なります。
 いつどんな不具合が出るのか、目安となる時期はあるものの、実際にいつ症状が現れるかはわかりません。ですが、不具合に対して適切な時期に適切な対応ができれば、余分な費用をかけることなく品質の保たれた住まいに長く住み続けられることは確か。
 そこで大切なのが定期点検。施工会社で点検時期を設定しているケースも多くありますが、家は施工会社のものではなく、施主自身のもののはず。神経質になる必要はありませんが、施工会社に任せっきりにするのではなく、自分でも家のことを気にかけてみることも大切ではないでしょうか? 本コーナーでは左ページのように毎号主な点検ポイントをご紹介していきますので、自分で点検する際の目安にしてみてください。

建ててからも重要 施主と施工者の信頼関係

 家はたいてい一生に一度、多くの費用をかけてつくるものです。専門知識のない施主にとっては、ちょっとのヒビでも家に大きなダメージが発生しているのではないか、工事の仕方が悪かったのではないか、と不安になるのは仕方のないこと。ですがヒビはヒビでも、素材が持つ性質によって必ず発生するものもあります。
 家のメンテナンスは、その家をつくった施工者が行うのが一番。信頼して家づくりを依頼したはずなのですから、不具合が出たからといって最初から疑ってかかるのは双方にとって決して良いことはありません。不具合に対する不安や疑問は率直に相談し、お互いに良い関係を紡ぎながら家を見守っていきましょう。

家づくりの時にメンテナンスを意識してみる

 いずれにしても家を構成している建材、器材、備品などは、さまざまな要因で劣化したり、本来の性能を損なってしまうことがあります。そのため新築時には、設計段階からメンテナンスができる備えをしておきたいもの。素材選びなどもポイントですが、ここでは家の完成後、普段は目に見えなくなる床下と天井裏について、特に意識したいポイントを見ていきましょう。
【床下】  住宅寿命や住む人の健康にも大きく影響するのが床下の保守管理。床下の最大の敵は「湿気」です。
 床下に湿気が停滞すると、土台や床下下地にカビや木材腐朽菌が出やすくなり、シロアリなどの被害も受けやすくなります。また、カビの胞子が居住空間に浮遊してハウスダストとなり、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの要因になる場合もあります。しかも床下には生活給排水などの配管が設置されています。漏水が発生していることに気付かず放置されてしまった場合、腐朽菌の繁殖を助長することも。
 そこで必ず設けておくべきなのが、点検やメンテナンス用の「床下点検口」。布基礎の配置に合わせた設置が必須となります。そして、床下は施主自身も定期的に点検したい場所。点検口の上に家具などを置かないような場所への設置を検討しましょう。
【天井裏】  天井裏に発生する不具合の代表は雨漏り。天井から水滴が落ちてきたとき、雨天時は雨漏りが原因として想定されますが、冬の晴れているときにできる水滴は、屋根面に発生した結露も原因として想定されます。
 天井裏は十分に通気がなされ、外部に近い状態が理想(天井断熱の場合)。必要な時に適切なメンテナンスができることを見越して、天井面にも要所に天井裏点検口を設置しておくのが必須事項。施主もその位置を確認しておきましょう。

部位別に紹介 主な点検ポイント構造編

床下 基礎まわり 天井裏
点検時期の目安 竣工後の数ヵ月は、1月に1回程度。
その後は半年に1度
1年に1度 真冬に1回、真夏に1回程度
点検内容 水漏れがないか、カビ臭くないかを確認 ヒビ(クラック)の有無を確認。
ヒビの幅が大きい場合はエポキシ樹脂の
注入などの補修を実施
濡れている場所がないかを確認

Point 基礎にできるヒビの原因は大きく分けて3つ

①コンクリートの特性による毛細クラック(ヘアークラック)  コンクリートは固まる際に乾燥収縮する性質があるため、ごくごく細い「毛細クラック(ヘアークラック)」ができることがありますが、気にする必要はありません。正しい施工を行っていても発生することのあるヒビです。
②化粧モルタルのヒビ  基礎の表面に施す化粧モルタルにも経年劣化によってヒビが入ることがあります。表面のモルタルがヒビ割れただけなので基礎構造上問題はありません。ただし、化粧モルタルのヒビからシロアリが登り込み被害を受けることもありますので、程度が大きい場合は施工会社に相談しましょう。
③構造的なヒビ「構造クラック」  構造クラックは、地盤強度とコンクリート強度、それに補強鉄筋のバランスを欠いた際などに発生し、程度が大きい場合は家が傾くなどのトラブルになる場合があります。その原因の多くは施工者や設計者の瑕疵によるものが多いと思われ、関係者に対してその責任を負わすことができる瑕疵担保履行法という法律が存在します。
 とはいえ、構造クラックが入るのは稀。どのヒビが構造的に問題があるのかは素人には判断が難しいもの。疑心暗鬼にならず、まずは施工会社に現状を見てもらいましょう。

Point 床下は定期的な点検を

 設備配管に不備があった場合の漏水は、暮らし始めて間もない期間に起きるケースがほとんどです。漏水の要因としては、バスユニットなどの浴槽排水の際に配管容量を超えて起きる逆流漏水、配管の継ぎ目不備、洗面所や食洗器のホース外れなどがあります。目安として半年間何も起きなければ設備不備による漏水の心配は少なくなります。
 ただし、床下漏水にはさまざまな要因があるため、できれば定期的に点検する習慣を付けておくと良いでしょう。

エリア特有の点検ポイント沿岸地編

 沿岸地域では、点検云々の前にまずは新築時に塩害対策を講じておくことが必須条件。外壁材は錆びやすい金属サイディングではなく窯業系を使用すべきですが、それでも止め金具などが錆びる場合も少なくありません。できればモルタルなどで仕上げる外壁が適切です。屋根材も塩害防止対策を施したものがありますので、設計段階から導入を前提とした予算組みをしておきましょう。
 新築時に金属製や窯業系外壁材を使用したのであれば、錆が出ていないかの点検と表面の塗装メンテナンスはこまめに行うべき。張り替えが必要になった場合は仮設足場なども必要となり、相応の費用が伴います。以後のメンテナンスを考慮すると、思い切ってモルタル壁に張り替えるのが賢明でしょう。
 また、エアコンの室外機は塩害防止対策を意識した機種もありますが、塩風を防ぐ工夫を施しておくと安心です。
■協力
NPO住宅110番 アドバイザー 福地 脩悦さん
http://npo.house110.com

わが家を長持ちさせるためのメンテナンス〜築後1年編〜

たくさんの夢を詰め込んで、ようやく完成した大切なわが家。
季節ごとにインテリアを楽しんだり、庭や家庭菜園を始めたり。
楽しみがたくさん待っていることでしょう。

だからこそ、大切なのは家のお手入れ。
アフターメンテナンスが必ず必要になってきます。
よく言われることですが、家は建てて終わりではなく、完成後がスタートなのです。

長く愛着を持って住み継げる家にするために、
ここでは優秀なビルダーたちのアドバイスをご紹介します。
ぜひ、長く愛着を持って住み継げる家づくりを。
あなたの家を守るのは、あなた自身なのです。

Q 竣工後1年目。具体的にどんなところを点検するのですか?
A サッシや内部建具の開閉状態、壁・天井の入隅、暖房・換気設備、外部まわり、床下などを点検 1年目の住宅は建具などの狂いが発生します。これは木の乾燥による収縮などが原因で、木造住宅の場合はよくあること。弊社では含水率10%前後の木材を使用していますが、それでもある程度木は動きます。これは木が自然の素材である証拠とも言えます。そのため、影響を受けるサッシや内部建具の開閉状態を確認。同時に木の動きによって壁・天井の入隅や出隅に隙間が出る場合があるため、ここも丁寧に確認します。フローリングの板と板の間にも隙間が生じたりしますが、湿度が上がる夏には戻ることが多いため、それについての説明を工事前に行っています。そのほか、暖房・換気などの設備や外まわり、床下など、家全体に不具合が出ていないか確認するのが1年点検です。
Q ちょっとの不具合も心配。よくある症状とその対策は?
A1 木材の乾燥による壁・天井の隙間は、都度適した材料で対応 木の乾燥に伴って発生する壁や天井などの隙間は、コーキングや同じ仕上げ材を使うなど、その都度適した材料で対応しています。隙間ができるのは、仕上がってしまうと見えない壁内部の柱なども動くため。木が落ち着く1〜2年は発生するものですので、ご安心ください。

A2 乾燥による建具の反りは調整可能 お引越ししてしばらく経つと、ドアや襖が開け閉めしづらくなることがあります。木造住宅の場合は季節の温度変化や湿度に大きく影響を受けるため、それによる壁や天井のゆがみが原因として挙げられます。A1でもお伝えしたとおり、木は動くもの。何度か調整をしつつ、木が落ち着くのを待つ必要があるのです。
Q メンテナンスの時、心がけていることは何ですか?
A1 直接訪問すること 新築時の営業担当や現場担当がご訪問し、きちんと顔を合わせて様子をうかがうことを大切にしています。家づくりに大切なことは信頼関係。だからこそ、必要なときにお施主様が声をかけやすいような対応を心がけています。

A2 暖房費など光熱費の確認 北海道の住宅では光熱費、特に暖房費の割合が大きいため、その金額を確認することも設計・施工を担当した会社の大切な役割です。シミュレーションしていた金額と大きな違いがないか、お施主様が初めて使用する設備だと適切な使い方がされていない場合もあるため、光熱費の確認をさせていただいています。

A3 1年間生活した感想 お引き渡しの時期はそれぞれ違うため、1年を通して暮らされての感想をお聞きするようにしています。実際に暮らしている方の声を直接お聞きすることで、良かった部分・改善したい部分、両方を今後の家づくりに積極的に生かしていこうというのが弊社の考えです。

A4 定期点検のタイミング 1年点検はできる限り時期をはずさないよう注意しています。1週間くらい前には電話でご連絡し、実施するのが基本。お施主様もお忙しいのですが、どうしてもタイミングがずれるとずるずると後回しになりがちです。大切な住まいですから、計画的にメンテナンスや調整ができるようお施主様の協力もいただきつつ実施しています。

A5 プランについての確認 設計者として提案したことがどのようになっているのかを確認。実際にどう暮らされているかがいつも大変気になっています。狙いどおりだったら自信が確信に変わり、そうでなければ現在進行中のものからすぐ改善するなど生の声を聞けるチャンスだと考えています。

A6 他のお施主様のお話も 経験やアドバイスとして、他の住宅であったことなどをお話しすることがあります。そのまま注意点などを伝えるよりも現実的・具体的で、家について考えていただけるようです。みなさん、大切なわが家のことなので、真剣に聞いてくれますね。
Q お施主様へ行っているメンテナンスや管理のアドバイスはありますか?
A 設備の使い方なども細かくアドバイス たまに「もったいないから」と換気システムを止めてしまうお施主様がいらっしゃいます。換気システムは24時間、必ず使用していただくようお伝えし、その他、些細なこともご相談いただけるよう、お声がけしています。不安なこと、わからないことはいつでも聞いていただきたいと思っています。


1年点検を終えたお施主様にもお話をうかがいました!
■北広島市・Hさん  SUDOホームさんからは、「気になったことがあれば何でも聞いてくださいね」と声をかけていただいていたので、1年点検の前にも何度か相談をしていました。素人では判断がつかないことが多いので、「何でも聞いて」と言ってくれるのはとてもありがたいです。
 また、必ずわが家の施工を担当してくださった方が対応してくれるので話がスムーズに通じますし、これまでのメンテナンス経緯を知っているというのも心強いです。
 自然素材が魅力でSUDOホームさんに家づくりをお願いしましたが、きれいな状態をキープしておきたいという気持ちが強くて、実は最初はちょっとの傷や汚れに敏感になっていました。ですが最近は気持ちに少し変化が出てきて、例えばフローリングには子どものおもちゃの傷がどうしてもつきますから、それも味わいだと、良い意味で鈍感になってきたんです。自分でもできるメンテナンスは自分で行って、愛着を持って住んでいけたらいいなと思っています。

*家づくり参考コンテンツ

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