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*家づくり安心知識 [メンテナンス編]

メンテナンスの大切さ

メンテナンス編 メンテナンスの大切さ


家は建てて終わり? 答えはNO。
どんな家でも「メンテナンス」が必要になります。

家は放っておけば古びる一方。補修が手遅れとなった箇所を直すには、相当な費用が必要になります。
逆にきちんとメンテナンスを行えば、余計な費用をかけずに、品質の保たれた家に長く住まうことができます。

どちらが良いかは一目瞭然。
ならば建てる前にちょっと勉強してみませんか?
本コーナーでは、全4回に分けて「メンテナンスの大切さ」についてお伝えしたいと思います。

第2回瑕疵(かし)と経年変化の違い(2015年9月29日〜2015年12月28日まで公開)

瑕疵とは何?

 「瑕疵」とは、通常備わっているはずの、本来あるべき機能、品質、性能、状態が、ミスや手抜きなどで備わっていない状況をいいます。
 平成12年4月1日から「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行され、新築住宅に10年間の保証が設けられました。保証されるのは「構造耐力上主要な部分(土台、柱、梁、基礎など)」と「雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁)」についてで、これらに瑕疵が見つかった場合には住宅事業者が無料で補修を行わなければなりません。これを「瑕疵担保責任」といいます。
 しかしながら住宅事業者が倒産などで補修責任を果たせない事件が多く生じたため、平成21年10月1日に「住宅瑕疵担保履行法」が施行。住宅事業者に対して保険に加入したり保証金を預けておくなど補修費用を確保することが義務づけられました。住宅事業者がその責任を果たさない場合は、各地域(主に弁護士会)に設置された住宅紛争審査会に、1万円の申請手数料で紛争処理(調停・斡旋・仲裁)が利用できます。

 なお、この義務化された瑕疵担保責任と一般的な瑕疵責任は区別されています。瑕疵担保責任では、「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分」についてだけ業者に補修の責任があると明確化しました。つまりそれ以外の事象については、法制化されていないのです。例えばギシギシと床鳴りがする、建て付けが悪い、内装仕上げの拙さ、電気関連設備、給排水設備の不具合などは瑕疵担保責任の対象外となるため、施主と業者とで交渉が必要です。また、雨漏りによく似た例として、生活空間から出た水蒸気が屋根面で結露し、水滴となって落ちてくるケースがありますが、これは瑕疵担保責任の範囲となりません。しかしながら、生活空間からの湿気を上昇させない防湿シートの施工をしていなかったり完璧でなかったなどの要因が考えられ、施工業者との交渉が伴います。
 長く安心して住むことのできる家を持つには、新築を依頼する業者のアフターメンテナンスや施工の腕にも注目したいものです。

瑕疵とは異なる経年変化と生活変化

 経年変化とは、時間や年数が経過するうちに品質や性能が劣化するなどして変化していくことです。紫外線の影響を受けて住宅の外装材が色褪せするのは、経年変化の典型的な例。その一方で無垢の木材などは経年変化が独特の味わいとなって風合いが深まることもあります。
 住宅内では、居住者が生活することで内装建材、建具、家財、器材、設備品などに傷みが生じることはどうしても避けられません。生活空間で人が接する場所に関しては、消耗品的な要素があるということを意識したいもの。設備関連の備品などは、経年変化というスパンでなく時間単位の「経時変化」で機能や性能が劣化する場合もあります。
 どのようなものにも経年変化があるからこそ大切なのが、定期的なメンテナンス。基礎にヒビが入っていないか点検したり、外壁の塗装やコーキングの打ち直しをしたりなど、自分でも点検を行い、気になる箇所が見つかった場合には施工業者と連携しながら対処していきましょう。
 そのほか、台風や暴風雨、豪雪など自然災害による傷みや不具合は、施工業者に直接責任を求めるのは困難な事象。このような自然災害に備えて災害保険などに加盟しておくことも必要です。

不具合が発生したらどうすればいい?

 瑕疵担保責任で明確化された「構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分」に不具合が発生した場合は、まずその住宅を施工した工務店や購入した販売業者に連絡します。顔見知りの業者がいても、基本は購入資金を支払った業者への告知から始めます。順序を間違えると瑕疵保険の適用を受けられなくなる場合もあります。
 もちろん瑕疵担保責任の対象・対象外にかかわらず、不具合の補修において施主と施工者の連携は不可欠ですから、お互いに信頼できるような関係を常日頃から築き上げていくことがとても重要となります。つまりは、施工者や購入業者を選択する際には、この末長い信頼関係の保持が可能かどうかが、大切な基準になるといえそうです。

部位別に紹介 主な点検ポイント外装編

<外壁>

外壁は、雨や風、太陽から家を守る重要な存在。劣化によって建物に雨水が浸入すると構造体の腐朽につながります。点検の目安は1年に1度。主な点検ポイントをご紹介しましょう。

金属系サイディング

■点検内容/汚れや変形、錆が出ていないかを確認 ■ポイント/金属サイディングのひとつ「ガルバリウム鋼板」は、アルミニウム、亜鉛、シリコンから成るアルミ亜鉛合金をメッキ処理した鋼板で、トタン板の4倍の防錆性能があると言われ、30年のメーカー保証がついた製品もあります。水洗いなどのメンテナンスを適時施すことで一生涯張り替えが不要という評価もありますが、金属の切り口が重なる接合部分には錆が生じる場合も。接合部分には防錆塗料を塗るなど念入りなメンテナンスが必要です。

木板張り

■点検内容/汚れや色褪せ、反り、ヒビ割れ、腐朽がないかを確認 ■ポイント/木板張りの外壁は、時が経つほどに味わい深くなるのが魅力。あえて無塗装で仕上げる場合もありますが、塗装した場合は3年を目安に塗装メンテナンスを。傷みが激しい部分は張り替えましょう。

窯業系サイディング

■点検内容/汚れや色褪せ、剥がれ、シーリング目地のヒビ割れなどがないかを確認 ■ポイント/窯業系サイディングの屋外側には、紫外線や風雨に強い塗料が塗られているものが多いのですが、屋内側から浸透した湿気でサイディングが積層剥離を起こした場合、屋外側の塗装は意味をなしません。素材ごと剥離した場合は張り替え時期のサインです。

塗り壁

■点検内容/汚れや剥がれ、ヒビ割れがないかを確認 ■ポイント/風合いが人気の塗り壁は、施工技能を必要とする素材。構造に悪影響を及ぼすようなヒビ割れの発生率は施工の腕や天候によって大きく左右されます。下地がしっかり施工されていれば、定期的なメンテナンスで長期間その風合いを保つことが可能です。

<屋根>

屋根の点検は高所ということもあって自分で点検するのは危険。施工会社の定期点検は必ず受け、外や窓から見える範囲で確認して気になる症状は施工会社に相談しましょう。

金属系

■点検内容/色褪せや錆が出ていないかを確認 ■ポイント/ガルバリウム鋼板の場合は、外壁と同様。トタン板屋根の場合は、タイミングよく防錆塗料を塗布する必要があります。タイミングは海岸に近いなど建設地によって大きく異なり、塗料がツルツルで傷んでいない時期に塗布しても、くっ付きが悪く剥がれやすくなり、錆が浮き出てからでは遅すぎに。指先に唾をつけてトタン板の表面を擦り、指先にザラザラとした感触があったときが絶好の塗布タイミングです。

スレート系(化粧スレートの場合)

■点検内容/色褪せや割れ、浮き上がりなどがないかを確認 ■ポイント/化粧スレートは安価で軽量、多彩なカラーバリエーションがあるのが魅力ですが、紫外線や風雨による経年劣化を抑えるために定期的な塗布メンテナンスが欠かせません。10年に1度程度を目安に塗装を行いましょう。

エリア特有の点検ポイント地震頻発エリア編

 日本列島は常に地震のリスクと隣り合わせ。地震が起きた後に特にチェックしたいのは、不同沈下と基礎のヒビです。
 不同沈下とは、敷地の軟弱部分に家の重量がかかって家が傾くこと。傾いてしまった場合は、セメントミルクや摩擦杭などを用いて地盤補強を行うジャッキアップ工法や、軽微な傾きはクサビ打ち込み工法などの対応策があります。
 基礎のヒビは、長く放置しておくと中の鉄筋が錆びて大きな補修が必要になってしまいますので、早めに点検を。
 地震保険に加入している場合は保険金が支払われる場合がありますので、まずは保険会社に連絡しましょう。
■協力
NPO住宅110番 アドバイザー 福地 脩悦さん
http://npo.house110.com

わが家を長持ちさせるためのメンテナンス〜築後5年編〜

たくさんの夢を詰め込んで、ようやく完成した大切なわが家。
季節ごとにインテリアを楽しんだり、庭や家庭菜園を始めたり。
楽しみがたくさん待っていることでしょう。

だからこそ、大切なのは家のお手入れ。
アフターメンテナンスが必ず必要になってきます。
よく言われることですが、家は建てて終わりではなく、完成後がスタートなのです。

長く愛着を持って住み継げる家にするために、
ここでは優秀なビルダーたちのアドバイスをご紹介します。
ぜひ、長く愛着を持って住み継げる家づくりを。
あなたの家を守るのは、あなた自身なのです。

Q 竣工後5年目。具体的にどんなところを点検するのですか?
A 外壁のコーキング目地、軒天、基礎、ウッドデッキ、玄関ドアや内部建具の開閉状態、暖房や換気などの設備類、クロスの隙間、床下など、家全体を点検 家全体を点検します。新築工事をしっかり行っていれば、5年目の点検で大きな補修が必要な箇所は無いのがほとんど。木の乾燥収縮によるクロスの隙間もほぼ発生しなくなります。とはいえ、各部材が経年で少しずつ劣化していくのは避けられません。5年で不具合が無かったからといって放っておかず、お施主様自身でも定期的に上記の箇所を点検し、不調は早めに見つけることが大切です。
Q 建築後5年の間によくある症状とその対策は?
A 知識の無い外構工事が起因の不具合 新築後、玄関前のアスファルト工事やインターロッキング工事をお施主様が外構会社に直接依頼するのは一般によくあるケースです。ですが、アスファルトなどを住宅の基礎や玄関ポーチの階段にぴったりと隙間無く施工してしまうと、基礎や階段に亀裂が入ってしまいます。これは、凍結などで地面が動いたときに基礎や階段もその動きに引っ張られてしまうためです。そうならないように、外構工事部分と住宅の基礎や階段部分の間にスペーサー(絶縁部材)を入れる必要があるのですが、そういった知識の無い外構会社もあります。当社では、外構工事をする旨の連絡をいただいた際には、前述の注意点を外構会社に伝えるようにしていますので、気軽に相談いただきたいですね。

Q メンテナンスや管理について、お施主様に行っているアドバイスはありますか?
A1 換気装置、レンジフード、蓄熱暖房器のファン部分の清掃について 吸い込みが悪かったり、異音がしたりといった症状の多くは、清掃をしていないことが原因です。レンジフードに電動ダンパー(換気の際に開閉する弁)がついているタイプは、清掃を怠ると油汚れがこびりついてダンパーが開閉できなくなり故障につながることも。そうなるとレンジフードごと交換しなければならず、その工事費や設備費などはお施主様の負担となります。清掃していない場合は、一度プロの清掃業者に清掃を依頼することをおすすめしています。費用はかかりますが、そのときに清掃の仕方を見て覚えておけば、以降はお施主様のほうで作業ができると思います。

A2 ウッドデッキや玄関ドアなど木部の塗装 外部にさらされる木部は、劣化を防ぐために3年周期で塗装をしなければなりません。5年目点検の際にヒアリングをして、塗装していない場合はすぐに塗装いただくようお伝えしています。

A3 玄関ドアの開閉状態の確認 玄関ドアの締まりが何となく甘いと思いつつも、そのまま使用されている方がいます。ドアのパッキン部分には、小石や砂が挟まってしまうことがありますので、定期的な点検、清掃をアドバイスしています。

A4 配管の詰まりによる水漏れ 排水口が集中している脱衣室やキッチンで、まれに水漏れを起こしていることがあります。その原因は、排水口にゴミを流してしまい、それが積もり積もって配管が詰まることで引き起こされるものです。専用の洗剤を使用して詰まりを解消し、あらためてゴミは流さないようにお伝えしています。

A5 設備の動作不良は電池切れの可能性も トイレの温水洗浄便座用リモコンは、早くて3年〜5年で電池が切れるため、リモコンが動作しない時はまず電池切れを疑ってみることをお伝えしています。慌ててメーカーのメンテナンスを呼んで出張料がかかってしまうこともありますので。

Q メンテナンスにおいて、心がけていることは何ですか?
A 点検チェックリストの精査 当社では、社長、専務、社員大工が手分けして各住宅を訪問するため、どのスタッフが出向いても同じ精度で点検できるよう、点検チェックリストを作成しています。リストに基づいて点検を行った後は、社内で情報共有の打ち合わせを行い、その都度リストの内容も精査しています。


建築後5年目の点検を終えたお施主様にもお話をうかがいました!
■帯広市・Aさん  点検には岡本社長が来てくださり、基礎や外壁、軒天など、点検箇所を一緒に見てまわりました。結果、玄関ドアに隙間があったのでその調整をしてもらい、あとは温水洗浄便座のリモコンとお風呂の止水栓の電池交換のみ。不具合と呼べるものは無く、あらためて岡本建設さんに建築をお願いして良かったと思っているところです。点検の際は、今後も定期的にチェックしたほうがいいところを説明してくれましたので、自分の家ですから、しっかり管理していきたいですね。
 岡本建設さんは連絡をしてから対応までスピード感があります。新築して間もない頃は、慣れないことやわからないことが多く、いろいろな症状が出るものなので、その都度すぐに対応していただき安心して暮らしています。ウッドデッキを塗装するときも相談して、おすすめの塗料を教えてもらってから自分たちで塗装しました。
 構造がしっかりしていて暖かく、子どもたちの様子がわかるキッチンも気に入っているポイントです。岡本建設さんに新築してもらって大正解でした。

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