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*家づくり安心知識 [メンテナンス編]

メンテナンスの大切さ

メンテナンス編 メンテナンスの大切さ


家は建てて終わり? 答えはNO。
どんな家でも「メンテナンス」が必要になります。

家は放っておけば古びる一方。補修が手遅れとなった箇所を直すには、相当な費用が必要になります。
逆にきちんとメンテナンスを行えば、余計な費用をかけずに、品質の保たれた家に長く住まうことができます。

どちらが良いかは一目瞭然。
ならば建てる前にちょっと勉強してみませんか?
本コーナーでは、全4回に分けて「メンテナンスの大切さ」についてお伝えしたいと思います。

第3回無償修理・有償修理の違い(2015年12月29日〜2016年3月28日まで公開)

無償か、有償か

 家に暮らし始めて気になるのが、不具合の修理が無償なのか有償なのか。基本的に、施主の責任(間違って壊すなど)による不具合は有償修理となります。しかし、その責任の度合いにも左右されます。例えば建具が壊れた時、乱暴な使用が原因なのか、常識の範囲内だったかによって有償・無償が異なるケースもあります。
 生活を始めて現れる不具合において、その要因が明らかに施工の拙さである場合は期間限定で無償修理を要求できるでしょう。施工の拙さとは、一般的で常識的な施工方法から逸脱した案件、例えば下地が不完全な床や壁、天井の歪みや床鳴りなどです。

経年変化によるメンテナンス費用

 経年変化とは、年数が経つことで自然に劣化する状態をいいます。そのため本来は有償なのでしょうが、無償としている会社もあったりとさまざまです。総じて家づくりを依頼する際の契約条項によることが大きいようです。例えば、フローリングなどの床材は、陽当たりによる経年変色の激しい建材ですが、何年保証などの約束事があれば費用負担が軽減される場合がありますので、契約前に確認すると良いでしょう。
 なお、施主にとってナーバスになりやすいヒビや隙間ですが、これらは自然の成り行きである場合もあります。集成材や乾燥機の無かった昔の木造住宅は、自然乾燥させた無垢の木材で建築されていました。この自然乾燥木材の含水率は約30%にも及びます。昨今は木材乾燥機が普及し、含水率15%の人工乾燥木材が一般的となりました。それでも通常の家屋では乾燥収縮を繰り返し、9%以下まで含水率が低下していきます。つまり木材は家が完成してからも息づいているのです。ですから、構造材と建材との突き合わせなどに隙間ができるのは自然なこと。大きなサイズの自然乾燥無垢材は、バシッ!という音を出して縦ヒビが入る場合もあり、そういった木材の息づかいを楽しむのも無垢材を使った家の醍醐味となります(欠陥住宅でない限り、ヒビが入っても構造的に心配はありません)。
 また、漆喰や珪藻土、貝殻粉末などの塗り壁は自然素材特有の細かいヒビなどへの配慮が必要ですが、新建材にはない上質な風合いが魅力。すべては一長一短ですから、最終的にどんな建材を選択するかは施主次第。北欧などでは、外壁や窓枠を施主自ら塗装するなど、メンテナンスを楽しむ住文化もあります。高所作業など危険が伴わないのであれば、自分で行うことで家への愛着がより一層深まるのではないでしょうか。

瑕疵(かし)の補修費用

 瑕疵とは、「ミス、間違い、過失」などという意味で、明らかに施工者の責任による不具合です。
 一方、瑕疵担保履行法で定めている瑕疵とは、「構造体の不具合」と「雨漏り事象」の2項目限定で、これらについては10年間にわたって施工者が責任をもって補修することが定められています。例えば、屋根の施工不良による雨漏りや、基礎コンクリートの大きなヒビ割れ、土台や柱の欠損などです。
 瑕疵担保履行法が適用される瑕疵はあくまで前述の2項目のみで、一般のミス、間違い、過失などの瑕疵で生じる不具合は法制化されていませんが、施工者が責任を持って補修するのが通常です。

依頼先の見極めが大切

 家に不具合が生じた場合は、経年によるもの、誤って壊してしまったもの等々、有償、無償、瑕疵担保履行法の適用か否かを問わず、まずは直接お金を支払った施工会社に連絡をします。その後、施工業者は不具合の程度を調査し、関係する協力業者を通じて資材、器材メーカーに対応を指示する、というのが通常のメンテナンス対応順序です。そのため施工会社とは、不具合を率直に伝えられるような対等で友好的な関係を保持しておきたいものです。
 家づくりに限らず、人間誰しもミスや間違いはあるものですから、施主に信頼されている施工会社というのは、万が一ミスがあったとしてもその後の対応が信頼できるものなのでしょう。長く安心して住み続けられる家づくりをするには、家に対する希望を叶えてくれるかどうかだけではなく、信頼できる会社かどうかの見極めがとても大切です。

部位別に紹介 主な点検ポイント建具・内装編

<窓>

昨今はほとんどがサッシ窓となっています。サッシ枠にはまったガラスはビートと呼ばれるゴム状の部材で固定されています。そのビートが硬化して隙間ができたり、引き違い窓の引き違い部分の防水・漏気部材が擦り減ったり、劣化した場合にはメンテナンスが必要です。

<玄関ドア>

玄関ドアは重量があるため、普段開け閉めする時の振動や地震などで前のめり状態になるなど、建て付けに狂いが生じる場合があります。昨今の玄関建具の建て付け調整は、素人でもドライバー1本で簡単に調整できるようになっています。施工会社に教わり、自分で行ってもよいでしょう。

<無垢の木材フローリング>

無垢材のフローリングは、空間を質感豊かに演出してくれるのが魅力。一方で陽が当たる部分は紫外線で色が変化しやすいですが、それも無垢材の良さとして採用している方も多くいます。気になる場合は、専用のワックスを定期的に塗って抑えることも可能です。

<室内建具>

木製の建具は、構造体の収縮などで建て付けに隙間が生じる場合があります。これは、竣工間もない家における自然事象であり、施工会社もその期間内で調整を無償で行うのが普通です。気になる箇所は施工会社に相談しましょう。

<クロス>

内装の仕上げにクロスを用いる場合は、その下地素材の暴れが顕著に表面に出てしまいます。下地の継ぎ目で凸凹が生じた場合には、クロス材を凸凹の目立たない柄物に張り替えるしか対策はありません。クロス仕上げの際は、あらかじめこの下地材の吟味が重要となります。

<塗り壁>

自然素材である漆喰の塗り壁。白い漆喰は汚れが目立ちやすいですが、水性の無機質塗料で補修することができます。自分で補修する場合は施工会社にどんな塗料を使えば良いのかを教えてもらうのがおすすめ。また、珪藻の殻の化石が原料の珪藻土や、木粉と自然土でできた聚楽(じゅらく)も、同じ素材で上塗り補修が可能です。

エリア特有の点検ポイント軟弱地盤エリア編

 軟弱地盤に建築した住宅は、「不同沈下」といって家が傾いてしまう場合があります。そうならないために行うのが地盤調査と地盤補強です。当然、不同沈下の際の地盤保証が付与されます。
 万が一、不同沈下によって基礎コンクリートに構造クラック(数ミリの亀裂)が入っても、補強用の強力接着剤をカーボン繊維に練り込む補修方法があります。ですがまずは地盤補強を施すことが先決。すでに建物が建っている状態での地盤補強は、摩擦杭を家の周りに打ち込む方法がありますが、相当の振動を伴うため隣家の承諾が必要です。他にはセメントミルク注入法があり、こちらの方法だと振動はありませんが、地盤地質などとの兼ね合いで採用できない場合もあります。
 しっかりとした地盤補強を施した基礎に亀裂が入る確率はとても低いものです。とはいえ、念のため地震の後には基礎のクラックと傾きの確認を行いましょう。
■協力
NPO住宅110番 アドバイザー 福地 脩悦さん
http://npo.house110.com

わが家を長持ちさせるためのメンテナンス〜築後10年編〜

たくさんの夢を詰め込んで、ようやく完成した大切なわが家。
季節ごとにインテリアを楽しんだり、庭や家庭菜園を始めたり。
楽しみがたくさん待っていることでしょう。

だからこそ、大切なのは家のお手入れ。
アフターメンテナンスが必ず必要になってきます。
よく言われることですが、家は建てて終わりではなく、完成後がスタートなのです。

長く愛着を持って住み継げる家にするために、
ここでは優秀なビルダーたちのアドバイスをご紹介します。
ぜひ、長く愛着を持って住み継げる家づくりを。
あなたの家を守るのは、あなた自身なのです。

Q 建築してから10年程度でメンテナンスを検討したほうが良いところは?
A 外壁に張った木板、屋根など 当社では外壁に板材を張る住宅が多くあります。板材は年数を重ねるごとに色褪せや割れが起きたり、節が抜けたりすることがあり、状態を見ながら交換や塗装を行います。その時期がだいたい建築後10年前後になることが多いですね。
また、屋根材に使用するガルバリウム鋼板も建築後約10年での塗装を検討します。ガルバリウム鋼板は外壁にも使用していますが、屋根には雪が載りますので外壁よりも短いスパンでの塗装を行う必要があります。
ただ、住宅ごとに経年変化の度合いが異なり、同じ住宅でも陽の当たる方角によって塗装の色褪せ具合が変わることがあります。当社では折りにふれて年に1〜2回はお客様の家を訪問しているので、その都度外部を確認するなどして、遅すぎず早すぎず、適切なタイミングでメンテナンスできるように心がけています。
Q メンテナンスや管理について、お施主様に行っているアドバイスはありますか?
A メンテナンス方法をデモンストレーション 当社の住宅は、無垢のフローリングや塗り壁など内装にも自然素材を使用します。生活の中で傷や汚れがつくのはごく普通のことですし、自然素材はそれもまた風合いとして良いものですが、気になる箇所はお施主様ご自身でも補修可能ですので、実際にデモンストレーションをしながら補修方法をご説明しています。
フローリングであれば紙やすりで表面を削ってオイルを塗るだけ。漆喰の壁は消しゴムやスポンジを使って汚れを目立たなくできます。また、当社ではダイニングテーブルを製作することが多く、こちらも木を使用しますが、汚れが付いてもやすりをかければずっと長く使えます。汚れの範囲が広かったり難しい場合には気軽にご依頼いただいています。

Q メンテナンスにおいて、心がけていることは何ですか?
A1 新築時の打ち合わせから、メンテナンスに関する情報を提供 メンテナンスフリーと謳っている建材がありますが、どんな建材でも経年変化は起こり、メンテナンスをしなくていいものはありません。適切なメンテナンスをしてこそ、長持ちする住まいとなります。当社では木製サッシをおすすめすることが多いのですが、経年で塗装が剥がれたままにすると建物の腐食につながってしまいます。そのため新築の打ち合わせ当初から塗装の重要性やメンテナンスにかかる費用などをお話しし、ご納得いただいた上で採用しています。

A2 素材の選択 住宅に使用する素材は、メンテナンスのしやすさも考慮してご提案しています。例えば、外壁もできる限り自分でメンテナンスを行いたいといった方には、足場を組む必要のない1階を木板張りとし、2階は木板よりもメンテナンススパンの長いガルバリウム鋼板張りにします。ウッドデッキも使う木の種類によって価格や耐久性が違い、安価なものは腐食も早めなので交換にかかる費用も勘案しながら決定いただけるようご提案しています。

A3 築年数を限定しない対応と、毎年の訪問 建物にメンテナンス症状が現れる時期は一軒一軒異なるため、当社では築年数ごとに定期点検の時期を設定するのではなく、何か気になるところがあれば、その都度ご連絡いただき対応しています。また、そういった訪問の際にはご連絡いただいた部分以外にも、建物外周や室内の温度、湿度、換気の状態をはじめとする要所をチェックしつつ、使い方やメンテナンス時期についてお話ししています。
このほか、不具合などがなくても毎年カレンダーをお届けしにお客様の家を訪問し、家の状態を確認しています。

A4 建物の状態とお施主様のライフスタイルに合わせたメンテナンス時期の提案 ご家庭によっては、お子さんの進学と重なり、どうしてもメンテナンスの費用を捻出できない時期というのもあると思います。そういった場合には、建物の腐食につながらない程度でメンテナンス時期の延期をご提案することもあります。

A5 補助金情報の提供 旭川市では現在、住宅の長寿命化などの観点から、築5年以上を経過した住宅でメンテナンス工事を行う場合、費用の一部を補助してくれる制度を実施しています。こうしたお施主様の負担が少なくなるような情報も提供しつつ、メンテナンス工事を行っています。

A6 協力業者の固定 当社では、建築工事に関わる協力業者さんを固定しています。新築時から関わっている業者さんですと、あらかじめ家の仕様が把握できていますので、お施主様からご連絡が来た時にスムーズに対応することができます。



建築後13年目を迎えたお施主様にもお話をうかがいました!
■旭川市・Sさん  地元でライフスタイルに合わせた住宅をつくってくれる会社を探しに探して見つけたアクト建築工房さん。無垢のフローリングは完成当時の雰囲気も好きでしたが、現在の味わいが増した感じもよくて、とても満足して暮らしています。家も私たち家族と一緒に時を重ねて生きているような気がして、家の中に誰もいなくても「ただいま」「行ってきます」と声をかけているんです。
 今年は新築してから初の屋根の塗り替えで、外壁の板張り部分やサッシ、ウッドデッキの塗装も同時に行いました。塗装屋さんは新築時からずっとわが家の塗装を担当してくれている方。ウッドデッキは自分でも塗ろうと思えばできるのですが、職人さんに会って何気ない世間話ができるのも楽しみなので、いつも来ていただいています。
 そして年末に澤田さんがカレンダーを持ってきてくれるのも楽しみのひとつ。困ったことが無くても家のことを気にかけてくれているので頼もしいです。気軽に相談できるのは、こういったコミュニケーションがあってこそだと思います。

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