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*家づくり安心知識 [メンテナンス編]

メンテナンスの大切さ

メンテナンス編 メンテナンスの大切さ


家は建てて終わり? 答えはNO。
どんな家でも「メンテナンス」が必要になります。

家は放っておけば古びる一方。補修が手遅れとなった箇所を直すには、相当な費用が必要になります。
逆にきちんとメンテナンスを行えば、余計な費用をかけずに、品質の保たれた家に長く住まうことができます。

どちらが良いかは一目瞭然。
ならば建てる前にちょっと勉強してみませんか?
本コーナーでは、全4回に分けて「メンテナンスの大切さ」についてお伝えしたいと思います。

第4回不具合の早期発見のために

 生活し始めてから生じる不具合は、経年劣化をはじめ、天候や自然災害などの外的要因、機材の故障、施工業者の技術的な要因、施主の住まい方や使用方法の誤りなど、実にさまざま。不具合が現れるタイミングも一軒一軒異なります。それゆえに建てた後も時おり家のことを気にかけたいもの。ここでは、大事に至らないように特に点検しておきたい場所をお伝えしたいと思います。

床下点検が最重要

 戸建住宅で特に点検しておきたいのが、床下です。「家が腐る」事象は、床下に何らかの要因があるのがほとんど。住宅が腐朽菌によって浸食されていたとしたら大変なことになります。
 点検の方法は簡単です。時おり床下点検口を開けて床下を覗き込むことで、不具合が発生していないかどうかのおおよその見当がつきます。カビ臭い匂いがしたり、床下面に青カビや白カビが見えるような時は、家を支える土台や柱、間柱などに腐食が進んでいることが伺えます。このような事象に至った要因として予想されることはいくつかに絞り込めます。主な2つを紹介しましょう。
1.給排水管や機材からの漏水  例えば、給排水管の接続部が何らかの原因で緩んでしまったり、食洗機のホースが外れていたり。そういったときは床下に排水が垂れ流し状態となってしまいます。発見した場合は早急に施工会社や設備会社に連絡して漏水箇所の補修が必要なのは当然です。それと同時に、床下をできるだけ速やかに完全乾燥させる必要があります。溜まった水を汲み出し、場合によっては拭き取ってから床下換気口などを大きく開け、送風機(扇風機でも良し)などで急速に乾燥環境をつくり出します。放置しておくと断熱材などにも浸透して断熱劣化などを誘発します。
2.地盤面からの雨水の透湿  もっとも厄介な事象ですが、水の浸透性の悪い地盤において、床下面よりも外部地盤面のほうが高くなっている敷地で起き得る事象です。家づくりでは、できる限り外部地盤面より床下面が高くなるような設計・施工をするべきなのですが、諸般の事情でそのような施工ができなかった家でこのような事象が発生することがあります。回避方法もありますが、建てる前に施工会社とよく相談することをおすすめします。

小屋裏点検でわかること

 床下の他に気にかけたい場所は、小屋裏です。万が一、雨漏りや屋根面結露が発生した場合、小屋裏を定期的に点検していれば早めにその症状を見つけられる可能性があります。なお、小屋裏(屋根裏ともいう)と天井裏の違いに明確な定義はないようですが、ここでは、天井の上の断熱層と天井との間が天井裏で、その上が小屋裏と定義します(図1)。天井断熱の場合は、小屋裏を外部に近い状態にすることが理想です。屋根断熱の場合でも断熱層と屋根材との間に通気層を必ず設けます。これは90度にもなる太陽の日射熱で屋根材や断熱材が熱劣化を引き起こすのを避けるためで、通気層と棟換気口から熱を排出できるようにします。
 屋根断熱を施した屋根は、屋根面結露を発生させることがありませんが、天井材に直接断熱材を載せた天井断熱の場合では屋根面結露が発生する場合があります。雨漏りと結露は対策が異なりますので、正しく見分ける必要があります。
1.雨漏りの見分け方と対策  雨漏りの多くは、屋根垂木(図2)から母屋材を通じて滴ってくることがほとんどです。屋根材を受ける垂木に沿って水が流れていると屋根材の雨漏りと断定できます。早急に施工会社に連絡して補修を依頼しましょう。
2.屋根面結露の要因と対策  屋根面結露は、屋根材を受けている野地板(図2)全般で湿り気を帯び、温度の低い軒先付近から水が滴る事象です。生活空間で発生した湿気が小屋裏まで上昇してしまった時、露点温度になった屋根材に触れることで発生します。
 屋根面結露は、寒冷地ではスガ漏り(※)と漏水箇所が同じなため間違いやすい事象です。屋根全体の湿度が高く、屋根の下地材が湿気で色が変わっているときには屋根面結露を疑います。いずれにしても対策を施す必要がありますので、施工会社に連絡しましょう。
※スガ漏り…屋根上の雪解け水が軒先で凍ってしまい、流れていくはずの水をせき止めることがあります。この時、せき止められた水が屋根の内部にしみ込み、雨漏りのようになる事象のことをスガ漏りといいます。


家に愛着を持って

 家は生活の基盤であり、大きな財産。かけがえのない家が定期的な点検を行わないためにどんどん劣化してしまったら…。
 定期的な点検とメンテナンスは家への愛情のひとつです。わからないことは施工会社に相談しながら、愛着を持ってわが家を見守っていきましょう。

部位別に紹介 主な点検ポイント設備編

<暖房設備>

石油式やガス式の燃焼暖房機器は、常に完全燃焼していることが重要です。燃焼暖房機器は、炎の色ムラや揺らぎが大きくなり、外部に出たときの臭いが強くなっていると、不完全燃焼の可能性が大きいと判断すべきです。素人では危険なため専門店での修理調整が必要です。おかしいと思ったら早めに施工会社や設備会社に連絡をしましょう。

<給湯設備>

昨今のエコキュートの多くは、故障の際にエラーランプで故障個所を表記する機能がついています。石油式やガス式の燃焼給湯機器は、燃焼音に微妙な濁音が混ざる場合があります。その場合は不完全燃焼の前触れであり、燃費が悪いことを示しています。施工会社や設備会社に連絡して点検してもらいましょう。

<換気設備>

第3種換気では、排気口のフードにゴミが詰まり、まれに鳥の巣ができている、なんてこともあるようです。定期的な点検、掃除を行いましょう。第1種換気では、熱交換素子(エレメント)の手前に設置しているフィルターの清掃が重要になります。給気側に詰まりが出ると熱交換がされなくなりますので、2〜3ヵ月に一度はフィルター掃除を行いましょう。

エリア特有の点検ポイント積雪地・極寒地・酷暑地編

●積雪地

落雪防止のために取り付ける「雪止め金具」。屋根本体を傷つけない配慮とスガ漏り防止のため、軒先より1m以上間隔をあけて上部に設置します。雪解け後はこれらの総点検が必要です。外れていないか、サビが発生していないかを点検しましょう。

●極寒地

開閉式の床下換気口は、冬期間は寒さを防ぐために完全に密閉させましょう。春先には必ず開放することを忘れずに覚えておきましょう。

●酷暑地

温暖地であっても沖縄以外では暖房の要らない地域はありません。床下換気口も含め、寒冷地域と同様の備えは必要です。
■協力
NPO住宅110番 アドバイザー 福地 脩悦さん
http://npo.house110.com

わが家を長持ちさせるためのメンテナンス〜築後10年以上編〜

たくさんの夢を詰め込んで、ようやく完成した大切なわが家。
季節ごとにインテリアを楽しんだり、庭や家庭菜園を始めたり。
楽しみがたくさん待っていることでしょう。

だからこそ、大切なのは家のお手入れ。
アフターメンテナンスが必ず必要になってきます。
よく言われることですが、家は建てて終わりではなく、完成後がスタートなのです。

長く愛着を持って住み継げる家にするために、
ここでは優秀なビルダーたちのアドバイスをご紹介します。
ぜひ、長く愛着を持って住み継げる家づくりを。
あなたの家を守るのは、あなた自身なのです。

Q 建築してから10年以上を経過して、メンテナンスが必要になるところは?
A 主には設備機器や外壁、屋根 設備機器は、使用頻度や使用環境によって寿命が異なるため一概には言えませんが、だいたい10年前後で交換を要するケースが多くなります。
外壁や屋根は、常に雨風や紫外線などに晒されるため、経年劣化の避けられない部分です。何もメンテナンスをせずに放置しておくと、雨漏りや凍害などの家を傷める原因になってしまうため、適切な時期のメンテナンスが大切です。
窯業系の外壁サイディングや鋼板屋根などは、一般的に竣工後10年前後で塗装やコーキングの打ち替えを行うことでそれらの機能を長持ちさせることができます。その後は5年目くらいから、外壁のコーキングにヒビが発生していないか、屋根の塗装が剥がれていないかなどを確認します。
金属系の外壁の場合は窯業系よりも経年劣化の速度がゆるやかで、だいたい竣工後20年くらいまではメンテナンスをせずに保つことが多いです。ただ、その間にもサビが出ていないか、へこみがないかの確認は行い、それらを発見したら早めに施工会社にメンテナンスの相談を行いましょう。
なお、それぞれメンテナンス時期の目安はありますが、住宅が建っているエリアはもちろん、1軒の家でも方角によって陽当たりや風雪に晒される度合いが異なるため、経年劣化の速度も変わってきます。点検の際は家の外周をぐるりと点検することをおすすめします。また、施主・施工者共に負担が大きくなる積雪時の工事を避けるため、点検は春に行っておくと、現場確認や打ち合わせも経て、遅くとも年内には工事を完了させることができるでしょう。
経年劣化以外にも、昔は一般的な工法だったものの不具合を発生してしまうことが判明しているのが、換気フードの設置方法です。室内の暖かく湿った空気が外壁材の裏側にまわって凍害を起こさないように、現在はその取り付け方法が改善されています。中古住宅を取得する際や、築年数の経った家にお住まいの方は、換気フードまわりの外壁に異常がないかを確認することをおすすめいたします。
Q メンテナンスにおいて、心がけていることは何ですか?
A1 建てて終わらないお付き合い「道具箱訪問」 当社では新築後のお付き合いも大切にして、しっかりとアフターメンテナンスを行っていくことをポリシーとしています。そのひとつが、「道具箱訪問」です。
当社の新築後の定期点検は、建築後1年と2年。その後は「道具箱訪問」と言って、申し込み制で冬から春の比較的工事の少ない時期に大工さんが訪問して、その場でできるような小さな不具合を無料で修理するサービスを行っています。例えば、ドアの建て付けを直したり、クロスの隙間をコーキングしたりなどです。別途部品や材料、業者の手配が必要になる場合は有料となりますが、かれこれ10年継続しているサービスです。こういった訪問の際に、普段気になっている家のことを相談いただくことも。もちろん、これに限らず住んでいて気になることはその都度ご連絡いただいて解決し、安心して長く住んでいただいております。

A2 経年劣化以外に不具合を起こしているところがないかのチェックと、その原因の究明 他社の建築物件のメンテナンスを承ることも多く、経年劣化以外に不具合が起きていないかのチェックを実施しています。そしてもし不具合があれば、その原因を突き止めて修繕を行うことはもちろんですが、その原因と対策については社内で共有してその後の施工に生かしています。というのも、建築技術は日々進化しており、以前は常識だったことも今では改善しなくてはいけないことがあったり、より良い施工方法が見つかる可能性があるからです。常に最善を尽くし、今以上に良い住まいを提供していきたいと思っています。

Q メンテナンスや管理について、お施主様に行っているアドバイスはありますか?
A1 ご自身でも点検いただくこと お施主様には、外まわりや内部、床下などの各部位を定期的に点検いただき、異常が見られる場合は早めにご連絡いただき、メンテナンスを行っていただくようにお伝えしています。前述のように、当社での定期点検は建築後1年と2年ですが、それ以外の時期でも気になることがあればお気軽にご連絡いただいています。

A2 室内の温度と湿度のバランスを保つこと 特に冬期において、室内の温度と湿度のバランスについて、気にかけていただきたいとお伝えしています。
加湿器を使いすぎたり洗濯物を室内に干したりなど部屋の湿度が高くなりすぎると、室内の温度が低いところで結露が起きやすくなり、カビや家を傷める腐朽菌も発生しやすくなってしまいます。
また、換気も重要です。冬になるとつい部屋の換気口を塞いでしまう方がいらっしゃいますが、換気量が減ってしまい湿度が上がる原因にもなります。換気フィルターにホコリが詰まっていても換気量が減ってしまいますので、定期的な掃除も行いましょう。

A3 新築時に各素材の特徴を説明 例えば当社ではガルバリウム鋼板や板張り、塗り壁などの外壁を採用していますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、メンテナンスのスパンやその内容が異なります。お施主様にはそれらの特徴をご説明した上で、デザインの好みやご予算とのバランスもみて、決定いただいています。


建築して20年を迎えたお施主様にもお話をうかがいました!
■札幌市・Kさん  三五工務店さんで家を建てて、はや20年。これといった不具合はまったくありません。これまでを振り返って覚えているのは、玄関ドアの建て付けを直してもらったことくらいで、壁のクロスすら何ともありません。本当に良い家です。建てたのは当時の先進的な工法の家で、三五工務店さんでは初めて取り組むものだったそうですが、それがこうして今の快適な暮らしにつながっています。
 メンテナンスという点では、築後10年を過ぎたくらいから外壁と屋根の塗装を検討して、実際に行ったのは5年ほど前。三五工務店さんは、昔も今も連絡をするとすぐに来てくれるので安心ですよ。
 いい工務店に建ててもらって、住んでからも安心。何も言うことがありません。とても満足しています。

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