リビングは、家族の団らんの場所。家づくりでは特にこだわりたい空間のひとつです。お気に入りの家具や照明を選んで入れたり、色のトーンに変化をつけたり、リビングの演出方法はさまざまですが、私たちが取材先で目にすることが多いのが「アクセントウォール」を取り入れたお住まいです。

アクセントウォールは、壁紙の色柄を変えたり、鉄や石などの素材を使ったり、いろいろな方法が考えられます。中でも「木」は人気の素材。心が安らぐと感じる人も多い「木」は、くつろげることが大切なリビングにぴったりです。そこで今回は「木」のアクセントウォールを取り入れたリビングを、その特徴別にいくつかご紹介しましょう。

1.「色のトーン」に変化を持たせる

木をふんだんに使ったこちらのお住まい。柱と梁はカラマツ材、床はナラ材仕上げと全体的に明るい木の色で構成されているなか、テレビ背面の壁にはちょっと暗めのトーンのアカシア材を用いることで、空間にメリハリが出ています。無垢材は一枚一枚の板の色合いが微妙に異なり、暗いトーンのなかに明るい部分もあるため、全体としてナチュラルに調和が取れますね。

アカシアの落ち着いたトーンが、空間に心地よいコントラストを与える
アカシア材の落ち着いたトーンが、空間に心地よいコントラストを与える

サーフィンやスノーボードなど、外遊びが好きなご夫妻の住まいは、木を使いつつもポップな雰囲気に。塗装した板を組み合わせて仕上げたアクセントウォールは、ところどころにグリーンも混ぜて、この家らしさを引き立てています。

ところどころに塗装した板を混ぜて仕上げたリビングのアクセントウォール

2.「張り方」で変化を持たせる

木のアクセントウォールは多くの場合、板を組み合わせて仕上げます。そのため張り方をアレンジするだけでも、空間に変化を持たせることができます。マンションをリノベーションしたこのお住まいでは、リビングの壁の一部を16㎜厚のナラ材のアクセントウォールに。縦張りにすることで存在感が増しているようです。この方法なら、マンションでも木質感を楽しめますね。

縦張りにすることで、存在感が増したリビングのアクセントウォール
ナラ材を縦張りにすることで、存在感が増したリビングのアクセントウォール

木のアクセントウォールの場合、フローリング材を壁材として転用するケースも多いですが、厚みのある材をルーバーのようにデザインして仕上げたこんな例も。スギ材を、隙間を開けつつ等間隔に施工しています。この隙間に、造作した板をはめ込めば、飾り棚に。好きな場所に差し込むだけなので、飾るものによって簡単に位置を変えることもできるそう。おもしろいアイデアです。

杉材を、ルーバーのように等間隔に隙間を開け施工してつくられたアクセントウォール
スギ材を、ルーバーのように等間隔に隙間を開け施工してつくられたアクセントウォール
アクセントウォールは、玄関土間のほうまで続いている。隙間に造作した板を挟むだけで、飾り棚に
アクセントウォールは、玄関土間のほうまで続いている。隙間に造作した板を挟むだけで、飾り棚に

3.「素材感」に個性を持たせる

木のアクセントウォールは、仕上げに使う木の「素材感」によっても雰囲気がガラッと変わります。こちらは、築40年以上の戸建住宅をリノベーションしたお住まいのリビング。ラフな素材感が目を引く幅広の板は、リノベーションの過程で出た和室の畳の下地材をリユースしたものだそう。もともとこの家にあった素材ということもあり、空間の雰囲気に自然と馴染んでいます。ビンテージ感がいいですね。

構造材を現しにしたリノベ空間に、リユースの板材のラフな感じがよく似合う

素材感、ということで注目なのが「ウッドタイル」。これは、その名のとおり木のタイルで、板張りの仕上げとはまた異なる風合いを楽しめます。この家のリビングは、壁の一部を不規則な凹凸が特徴的なウッドタイルで仕上げました。インダストリアルテイストにまとめた空間に個性をプラスしています。

板張り仕上げのアクセントウォールとはまた違う風合いを楽しめるウッドタイル
不規則な凹凸と素材感が、空間に変化をもたらす


このように「木」だけに注目して見ても、リビングのアクセントウォールの仕上げ方にはさまざまな方法があります。自分たちの好みのテイストに合った樹種や色、かたちを見つけて、自分たちらしい「くつろぎのリビング」をつくってくださいね。

(文/Replan編集部)