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Vol.2:渋谷直角さん

リプラン妄想住宅

妄想住宅とは

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渋谷直角さん

1975年生まれ、東京都出身。ライター、漫画家、コラムニストとして多方面で活躍中。雑誌『食べようび』『EYESCREAM』『SPA!』などで執筆するかたわら、WEB連載や単行本の執筆など、精力的にこなし、数多くの作品を世に送り出している。マンガ『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』が2013年7月に発売され、爆発的な売れ行きを見せている。

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渋谷直角さんの暮らし

ライター、漫画家、コラムニストと幅広く活躍されている渋谷直角さん。前回は妄想全開の「りそうのいえ」のお話をおうかがいしました。今回は現実の今のお住まいについてきいてみます。

いまはどちらにお住まいですか?

祐天寺です。7年くらい住んでます。

ご出身は東京ですか?

練馬区です。あと所沢に住んでいたこともあって、そのあと中目黒に10年くらい住んだんですが。中目黒がおしゃれすぎる街になってしまって…それで、祐天寺に来ました。

おしゃれすぎるというのは…?

昔からあるお店みたいなものがどんどんなくなって、古い喫茶店もなくなっておしゃれなカフェとかになってしまったし、業界の人もたくさんいるし、あんまり落ち着かない街になってしまって。もっと普通のなんでもないものがある場所のほうがいいなと思って。中目黒に住んでいたときにも祐天寺が好きでぶらぶら歩いて来ていたりはしたし。

祐天寺はおしゃれすぎない?

実は意外と、東横線沿線の中でもいなたい街というか、中目黒と学芸大学に挟まれているわりには、あか抜けないところが好きで。70年代からそのままのホコリかぶったステッカーを売っている文房具屋さんがあると思えば、突然流行っぽいブックカフェみたいなお店ができてすぐ潰れたり、見た感じそんな雰囲気ないのにHIPHOPが大好きなタイ料理屋さんができたり、なんか街としてブレまくってるところが面白いんですよ。

わりと地味にひっそりと暮らしたいというお気持ちがあるんですかね?

できればそうしたいですよね。もっと年をとったら、近所のそば屋のおばちゃんに「あら、先生いらっしゃい!」って呼ばれたいっていう夢もなくはないんですけど、基本、あんまり誰にも話しかけられたくないっていう…。祐天寺でも、やっぱり「あっ、直角さん」的なこともなくはないので、それがちょっと、気を使いながら過ごさなきゃいけないところがあって。

直角さんの妄想住宅

「オレが直角だ!」というような気持ちはぜんぜんない、と。

あー、まったくないっすね。なるべく目立たないようにしてて。変な人とかいたらボーッと観察してたりしたいので(笑)。あとは、「メシの問題」というのがあって...。祐天寺ではあまりあちこち食べにいくところがないから、中目黒とか行くじゃないですか。でも、そうすると業界の人がとにかく多い。

知り合いに会って声をかけられることもけっこうありますか?

僕はすごい人見知りなので、「挨拶したほうがいいかな…でも覚えてるのかなあ?」というくらいの人だったら、基本は気付かないフリで逃げますよね。逃げられない場合は「気付かれませんように…」という気持ちを抱えながらメシを食うっていう、あんまりよろしくない状態で。もしくは「!!!絶対話しかけんな!!!」っていうオーラをめちゃくちゃ発してます(笑)。だから、極力知り合いが来なさそうな定食屋とかに行くようにはしてるんですけど。

業界の人にも会いたくないし、そういう人とも見られたくない?

苦手なんですよね。コミュニケーション取りたくないわけではないんだけど、とにかく下手なんです。道でばったり会って世間話するとか、店で偶然会って平然と同席して話しはじめるみたいなのが上手にできない。でも、向こうの意識としては「いい人だ」的な位置には置いておいてほしいみたいな。勝手なんですけど(笑)。

住む場所や家に対するこだわりというのはありますか?

基本的に古いマンションに住みたいので、古いマンションが存在できる街がいいですね。新築とかおしゃれっぽい打ちっ放しとかは落ち着かなくて。前に中目黒で住んでいたマンションもすごくボロくて、「耐震の基準をまるでクリアできていないので、立ち退いてください」って言われちゃって、それで引越したんです。水まわりもひどくて、シンクで洗い物してたら水が全然流れていかなくなって、風呂で全裸で食器を洗ったりしてました(笑)。

それでも「嫌だな…」という感じでもなく?

いや、すげえ嫌ですよ(笑)。そんなの。でも、ストレスではあるんですけど、落ち着くというか。

家には物が多いほうですか?それともすっきりしている?

めちゃくちゃ多いです。いま妹と一緒に住んでるんですけど、荷物を入れていた部屋に妹が越して来たので、そこにあったものがけっこうそのまま溢れ出て大変なことになっていますね。だから最近の「物が少ないのがオシャレ」みたいな風潮にはまったく乗れないっていう。古いマンションで、物が多いのが心地良いということもあって。

家にいる時間がわりと長いと思いますが、家にいるのは好きですか?

外での打ち合せや取材以外はほとんど家です。外に出ていてもすぐ家に帰りたくなっちゃうし、家に帰りたくないってことはありませんね。ネズミが出たとき以外は(笑)。逆に家にいる時間が長いので、家にいるのがいやになってしまうような仕事のしかたとか量とかにならないようにっていうのはあります。

特に多いものとか、つい買ってしまうものとかあります?

いま趣味と呼べるものがいっこだけしかなくて、それが「風呂でサッカーの雑誌を見る」っていうことなんです。だから毎日なにかしらサッカー関連の雑誌や新聞を買って来て、それを風呂に入りながら1時間くらいかけてじっくり読むっていうのが唯一の趣味なんです。

サッカー自体もご覧になる?

観ます。でも、プレーを観るというよりはキャラクターとか、チームの予算とか監督や選手の移籍による変化、とかそういうのが好きで。このチームにこの監督が来て、この選手を補強して、チームの財政状況がどうなっててみたいなことがスリリングでおもしろい。それってライターと雑誌の関係に似ているなと思ったりして、編集長(監督)が変わると雑誌(チーム)がよくなったりまたは悪くなったり、ライター(選手)が放出されたり……。すごい他人事じゃない感じがするんですよ(笑)。

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