佐善工務店 / 角田市・Iさん宅 夫婦60代、子ども1人

暮らしやすさを叶えるために
田の字型の間取りを大幅に変更

Iさんの祖父が建てた築67年の木造2階建ては、一尺のケヤキ大黒柱を中心に和室が続く典型的な田の字型の家。これまで何回か内装などのリフォームを重ねましたが、石場建て(礎石の上に柱を乗せただけの昔ながらの基礎)で床下に湿気がこもり、構造材がシロアリにむしばまれていました。そこでIさんは、隣家の新築工事をしていた佐善工務店に相談。調査をすると被害が深刻であることが分かり、建て替えを決意しました。

当初はコンパクトな平屋をイメージしていたIさんでしたが、息子さんが「こんなに立派な柱があるのにもったいない」とリノベーションを希望。最終的に「老いては子に従え」と思い直し、家づくりを方向転換しました。  

リノベーション前の外観
リノベーション前の外観

ガルバリウム鋼板を横張りに仕上げて、装い新たに生まれ変わった
2階は水害対策も考えて残し、1階を減築しリノベーションした
2階は水害対策も考えて残し、1階を減築しリノベーションした

自社でも設計を手がける佐善工務店ですが、今回は建物の築年数やリノベーションの内容から、古民家リノベに定評のある建築家の洞口苗子さんにプランニングを依頼。既存の住宅の間取りや状態、ご家族のライフスタイルを考慮して洞口さんが提案したプランをベースに、新居への希望を反映させていきました。  

その結果、阿武隈川の浸水被害対策として2階をそのまま残し、1階を減築しつつ間取りを一新することに決定。既存の和室二間と縁側をつなげたゆとりの広さのリビング・ダイニング、陽当たりの良い南側の寝室、コンパクトでスムーズな家事動線など、暮らしやすさを追求したプランが出来上がりました。

屋内は、既存の構造材や建具をできる限り生かしながら、これから長く快適に暮らせる空間になった
屋内は、既存の構造材や建具をできる限り生かしながら、これから長く快適に暮らせる空間になった
キッチンはセミオープンスタイルで、手元を隠しつつ、リビング・ダイニングの様子が見えやすい設計
キッチンはセミオープンスタイルで、手元を隠しつつ、リビング・ダイニングの様子が見えやすい設計
北側にあった階段と和室の一部を浴室・洗面脱衣室に変更。隣家からの視線に配慮して高窓を設置している
北側にあった階段と和室の一部を浴室・洗面脱衣室に変更。キッチンの並びにあって、家事動線が改善された。通風のための窓は、隣家からの視線に配慮してハイサイドライトに
「来客宿泊用に和室があるといい」というIさんの希望で洋間を和室に変更。琉球畳で、他の部屋と調和する和モダンな雰囲気に仕上げている
「来客宿泊用に和室があるといい」というIさんの希望で洋間を和室に変更。琉球畳で、他の部屋と調和する和モダンな雰囲気に仕上げている

自社職人の確かな技術力で
古材を活かして住宅性能を向上

生まれ変わった住まいの外観は、ガルバリウム鋼板でモダンな雰囲気に。屋内は、極太の柱や梁、板張り天井が築67年の趣を感じさせます。

施工にあたり佐善工務店が徹底したのは、古材を活かしながら住宅性能を高めること。「隙間だらけで冬は寒い」という悩みを解消するために断熱改修を施すとともに、構造用合板による壁の補強で耐震性も向上させました。

床下に砂利とコンクリートを敷き詰め、ベタ基礎に変えたことで、シロアリ対策も万全。シロアリ被害に遭っていたケヤキの柱は、新しい木を根元に継いで再利用しました。使える建具や欄間はそのまま活かし、新設した玄関の化粧梁や造作建具などは飴色に塗装して、古材の風合いになじませています。

6・8・8畳の和室と縁側だった空間は…

6・8・8畳の和室と縁側を、家族の歴史を刻んできた極太の柱と重厚な梁を生かした明るく広いLDK空間にリノベーション。床の間と押入れは、2方向から出入りできる収納スペースとした
家族の歴史を刻んできた極太の柱と重厚な梁を生かした明るく広いLDK空間にリノベーション。床の間と押入れは、2方向から出入りできる収納スペースとした
シロアリ対策のため、床下に砂利とコンクリートを敷いてベタ基礎に
シロアリ対策のため、床下に砂利とコンクリートを敷いてベタ基礎に

既存の和室二間と縁側をつなげたゆとりの広さのリビング・ダイニング
隠れて見えない部分まで丁寧に気を配った施工で、長く安心して暮らせる住まいに生まれ変わった
大きな開口で採光を確保。壁にはキャットウォークを造作している
リビング・ダイニングは、大きな開口で採光を確保。壁にはキャットウォークを造作した

自然素材を積極的に使い、高性能で快適な注文住宅を手がける同社ですが、隠れて見えない部分まで気を配り、現場での変更にも柔軟に対応できるのは、熟練した自社職人の技術力があってこそ。Iさん宅でも、当初の設計図にはなかった建具やキャットウォークの造作などを、現場で相談しながら進めたといいます。

玄関ホールの上部は、開放感のある吹き抜けに。ハイサイドライトからの光が空間に明るさをもたらす。大容量の玄関収納の上は神棚を祀るスペースになっている
玄関ホールの上部は、開放感のある吹き抜けに。ハイサイドライトからの光が空間に明るさをもたらす。大容量の玄関収納の上は神棚を祀るスペースになっている
以前より広くなった玄関土間の一隅には、帰宅後に便利な手洗い場を設置
以前より広くなった玄関土間の一隅には、帰宅後に便利な手洗い場を設置
玄関とリビング・ダイニングを仕切る引き戸には、キャットドアを造作。建具は熟練の職人が内装に合わせてつくるため、細かな要望にも応えられる
玄関とリビング・ダイニングを仕切る引き戸には、キャットドアを造作。建具は熟練の職人が内装に合わせてつくるため、細かな要望にも応えられる

茶の間だった部屋を寝室に変え、玄関側と廊下側の2方向へ行き来ができるようにした
茶の間だった部屋を寝室に変え、玄関側と廊下側の2方向へ行き来ができるようにした
台所は、5帖のウォークインクローゼットへ様変わり。衣類以外の物も収納できる十分な広さを確保した。廊下を挟んで隣が寝室で、使い勝手も良い
台所は、5帖のウォークインクローゼットへ様変わり。衣類以外の物も収納できる十分な広さを確保した。廊下を挟んで隣が寝室で、使い勝手も良い
既存の階段の位置を移動し、はしごのようだった急階段を緩やかに付け替えた。寝室から玄関裏の廊下を通って直接、水まわりやキッチンへ行くことができる
既存の階段の位置を移動し、はしごのようだった急階段を緩やかに付け替えた。寝室から玄関裏の廊下を通って直接、水まわりやキッチンへ行くことができる

「うまく想像できなかったけど、出来上がると素晴らしいね。きっと暮らしやすくなるだろうし、せっかく残した家なので大事に使います」と、Iさんはこれから始まる新しい生活を楽しみにしています。

/Renovation Point.1/
水まわりを集約して、家事動線をコンパクトに

間取りを見直して水まわりを北側に横並びに配置し、家事動線をコンパクトに集約。キッチンは2方向からアクセスできる回遊動線を採用し、利便性を高めた。トイレは寝室から近い場所に設け、シニア世代が安心して暮らしやすいよう配慮されている

/Renovation Point.2/
古材の趣を活かして仕上げた構造材や天井

一尺のケヤキ大黒柱をはじめ、8寸、7寸角の材を惜しげもなく使用した築67年の木造2階建てからは、Iさんの祖父の家に対する強い思いが感じられる。シロアリ被害の少なかったケヤキ柱は根元を継いで再生。LDKの極太の梁や、板張り天井はそのまま使い、飴色に変化した古材の表情を最大限に活かした

Data
角田市・Iさん宅
家族構成/夫婦60代、子ども1人

■建築データ
□リノベーション面積 121.90㎡(約36坪)
□主な外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板
外壁/ガルバリウム鋼板 一部スギ板張
建具/玄関ドア:断熱ドア、窓:LIXIL アルミ樹脂サッシ
□主な内部仕上げ
床/オークフローリング
壁/クロス
天井/スギ板張・クロス
■工事期間 約5ヵ月