高低差約2.5mの2階と1階は、屋外と屋内それぞれに設けた階段で行き来できる設計。外部につくった屋根付きのコンクリート土間やテラスは、天候や泥汚れ、水で濡れることなどを気にせずに植物の世話ができて便利だという。ここに生まれ育ち、建築にあたって眺望を重視したHさんにとって、目線の高さによって景色の見え方が変化するのもこの地形ならではの楽しみ。「敷地の高低差を生かす」という条件から、大きなボリュームとなる2階にLDKと水まわり、コンパクトな1階に寝室と子ども室を配置。作業性を考えた大きなアイランドキッチンの隣には、温室にもなる植栽空間を確保。2階の土間と1階のテラスは外階段で行き来でき、季節に応じた植物の世話や庭仕事のしやすさにも地形が生かされています。

◎家族構成/夫婦40代、子ども1人
◎構造規模/木造(在来工法)・2階建て
◎設計・施工/(株)ADX

外のコンクリート土間から植栽空間を介してダイニング・キッチンを望む。流し台はアイランド部に設け、通路を挟んで奥の個室空間にガスコンロや冷蔵庫、ゴミ箱置き場を配した

ダイニング・キッチンには、水はけまで考えた温室を兼ねる大きな窓。Hさんが選りすぐった植物たちが青々とした葉を茂らせている

スキップフロアを取り入れたLDK。流し付きの四角い大きなアイランドキッチンはステンレス製の天板で、買ってきた食料品などをすぐに広げられ、植物の水やりにも便利。植栽空間は窓を閉めるとショーケースのよう

自分にとって馴染み深い場所に家を建てることは、その土地の記憶や想い出を受け継ぐことにもなる。このお住まいでは、Hさんの原風景ともいうべき竹林を日常のなかで自然に眺められるよう、リビングと浴室に大きな窓を設けた。また2階から1階へ下りるとそこにも大きな窓があり、旧宅の面影を今に伝える石垣が目に入るよう考えられている。
自分にとって馴染み深い場所に家を建てることは、その土地の記憶や想い出を受け継ぐことにもなる。このお住まいでは、Hさんの原風景ともいうべき竹林を日常のなかで自然に眺められるよう、リビングと浴室に大きな窓を設けた。また2階から1階へ下りるとそこにも大きな窓があり、旧宅の面影を今に伝える石垣が目に入るよう考えられている。

緩やかに弧を描く回り階段。直線的なデザインのなかに有機的なラインを用いることで、空間の緊張感を和らげる

トイレへの通路を兼ねた玄関ホール。新築時は道路から丸見えだったが、植栽が育ったことで明るくほっとできるスペースに
暮らし始めて3年が経って植物が生長し、当初の想定どおり生活道路に面したガラス窓を覆う目隠しになった
田んぼと竹林が広がる古い集落の一角にあるHさん宅。西側からは、総2階建てのように見える

外部のフレームが目を引くこの住宅は、敷地内にある約2.5mの高低差に沿うように設計されている