キッチンから玄関土間を望む。果樹農家が多いというご近所さんが立ち寄ると、薪ストーブで暖を取りながらコーヒータイムを過ごすそう

第2子の誕生をきっかけに広い家で子育てをしたいとご夫妻が選んだのは、かつて養蚕農家だった築120年の古民家再生でした。当時の風合いはそのまま、銅板屋根、構造体、外壁はもとのものを利用。断熱の強化や床暖房を設置することにより、暖かく快適な空間に生まれ変わりました。ゆくゆくは3階に子ども室を設けるなど、住みながら改良していく楽しみに夢が膨らみます。

◎家族構成/夫婦30代、子ども2人
◎構造規模/木造(在来軸組工法)・3階建て
◎設計・施工/Magnifico建築スタジオ

玄関に入るとゆったりとした土間が広がる。元々は、障子のサイズほどしか天井高のない和室だった。薪ストーブから放出される暖かい空気がキッチンやリビングへと流れる

キッチン作業台は既存の状態と同じく窓に向けて設置。中央には木とコンクリートブロックを組み合わせて造作したカウンターがあり、明るく気持ちの良い家族の団らんの場所になった

改修前の古民家の様子
改修前の古民家の様子
和室二間をつなげ、古材や元からある建具を生かしてデザインされたリビングは、お子さんとワンちゃんが十分走りまわれる広さ。リビングのフローリングは、畳をはがして現れた床板と同じ色を選んだという
蚕を温めるための囲炉裏で燻された建具は120年の時を経て深い飴色に。ペンダントライトは古民家の雰囲気に合わせて裸電球を取り付けた
2階に配した子ども室。天井板が開くようになっていて、ゆくゆくは3階に子ども室を設けることも考えているとか
かつて養蚕農家だった築120年の古民家は、住まい手が増築や改修を施しながら大切に暮らしてきたことが伝わってきて、状態は良好だったという