2階の建物の隙間、屋根の上からイヌエンジュの木がのぞき、地域の人たちにその存在を伝える。枝葉は屋根に陰をつくるので、日射熱が建物に与える影響を軽減できるという側面もイヌエンジュの木を囲うように建てられたコートハウス。道路から敷地の約1.6mの高低差を利用し、一番低い位置にある玄関から一番高いキッチンまで裏山に向けて視線が上がっていくようにフロアレベルが構成されています。個々の空間同士は階段やデッキでつながっているため、空間を移動するたびに中庭を通して家族間で視線や気配を感じる楽しい住まいです。

◎家族構成/夫婦、子ども2人
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/(株)ATELIER O2
◎施工/(有)葉沢工務店

2階北側の階段室から見る。古レンガや小石で区画したかわいらしい中庭は、 少しずつ手を加えて育てていく予定。何も植えていない地面には、熊手でライ ンをつけるという一工夫が

敷地の裏に迫る森を大胆に切り取ったピクチャーウィンドウ が印象的なリビング。室内の明るさがほどよく抑えられ、裏山 の緑がより映える。通風は窓の左右の開口からとることがで きる

リビングの中庭に面した開口は、上下に分けてレイアウト。庇 もついているので、真夏にもかかわらず室内はしっとりとした 落ち着いたトーンの光。一方の冬は降り積もった雪が光を反 射し、明るさに包まれる
玄関を入ってすぐの階段室。吹き抜けの空間にこぼれる木漏れ日と枝葉の影 のゆらぎが心地よく、椅子に腰掛けて読書をしたり、ただぼんやりと眺めてい たくなってしまう
ダイニングから階段室越しにリビングを見る。窓ガラスで囲わ れた階段室の壁材と外壁材は素材を統一し、内と外の境界を 曖昧にして空間を連続させている

子ども部屋と向かいにあるアトリエとで、親子の視線が つながり、お互いの様子がわかる中庭の夕景。家族同士のつながり、家と地域のつながり をつくるイヌエンジュの家