真正面から見ると外観はいたってシンプルな長方形だが、側壁の斜めのラインが不可思議な印象を与える。道路や隣家に面した3方向は極力窓をなくして閉じることで、プライバシーに配慮した

ダウンフロアやワークスペース、縁側などL字型の間取りの中に、居心地のいい居場所がたくさんある住まい。家の中央に据えたキッチンからは、外の景色も室内も一望できます。大空間のLDK、広くてシンプルなつくりの縁側や中庭など、暮らしの楽しみを自分たちで発見し、自由に創造していける余白に満ちた平屋住宅です。

◎家族構成/夫婦20代、子ども1人
◎構造規模/木造・平屋建て
◎設計/(株)建築工房DADA
◎施工/共栄ハウジング(株)

対面キッチンは家のほぼ中央に位置し、外も室内も一望できる。リビングや外にいる家族の様子がよく見えて「取り残された感がなくなりました」と奥さん。暖房は床下エアコンで、キッチンをはじめ家全体を快適な室温に保てるという

キッチンは好みのものを自分たちで探してセレクト。デザインにも使い勝手にもこだわったスペースに、料理の楽しみも広がる。玄関土間から家族用玄関を介して、そのままつながる動線が機能的

大きな窓と縁側が、中庭や空など外とのつながりを感じさせるとともに、家のどこにいてもお互いの気配が伝わる住空間をつくり出している
キッチンから寝室方向へ続く廊下。外壁から続く塀が、プライベートゾーンにも安心感をもたらす

Nさんたっての希望で採用したダウンフロアのリビングは、幼いお子さんの遊び場や、家族や友人たちとの団らんの場として大活躍。ソファを置かない分スペースが広々使えるうえ、段差がベンチ代わりになって座る場所がたくさんあるのも便利だという。今後は、夫婦で好きな映画鑑賞を楽しむために、プロジェクターやスクリーンなどを設置してホームシアターの環境を整えていく予定

子ども部屋の上部に設けたロフト。収納や遊び場などフレキシブルに活用できて、暮らしやすさに欠かせない余剰スペースだ

ダウンフロアやワークスペース、縁側などL字型の間取りの中に、居心地のいい居場所がたくさんあるNさんの住まい。時間や季節、天候によってお気に入りの場所を見つけて過ごすことができる。リビングとワークスペースは程よく離れて、緩やかにゾーニングされているので、奥さんとお子さんがリビングで遊んでいても、テレワークや作業に集中しやすい

子ども部屋の建具は、採光とプライバシー確保の両方の機能を得るためにアクリル板を用いて造作。戸を開けると中庭が目に飛び込んでくる

洗面カウンターはモールテックス仕上げ。「今どきのおしゃれな旅館のような雰囲気」という奥さんのイメージをかたちにした。鏡や照明もご夫妻で探したというお気に入りの空間
リビングから洗面脱衣室へ向かう廊下に設けたワークスペース。外の気配を感じながら仕事や勉強ができるほか、ランチやお茶を楽しむスペースにもなる
垂木を現しにした深い庇に守られた縁側は、床幅1.3mとゆとりの設計。サッカーが趣味のNさんが汚れて帰宅した際には、玄関から洗面脱衣室に直行するための通路としても重宝している
オリーブグリーン色の塗り壁と垂木を見せた庇、木の玄関ドアと木調のタイル床でコーディネートされた玄関まわりは、どことなく和の趣が漂う

縁側を挟んですべての部屋が庭とつながるNさん宅。広い縁側や玉石と人工芝を敷き詰めた中庭は、気分転換で外とつながるための大事な接点。周囲を気にせずに外の空気を満喫できる家族の憩いの場となっている。今はまだ娘さんが幼いため「日向ぼっこを楽しむ程度」というご夫妻だが、おうちキャンプやバーベキュー、プール遊びなどこれからの楽しみは尽きない

中庭を囲む塀が空を大きく切り取って、住まいと中庭のプライベート感を高めている。隣地は電力会社の敷地で、これから先も住宅や高い建物が立つ心配がなく、広い空が見える住環境を維持できる

外壁をそのまま延ばしたような塀で中庭を囲う設計で、安心感のある住まいに。上空に送電線が通っているため高さ制限があったが、約89坪という敷地の広さで、ゆとりある平屋が実現した