東日本大震災の体験を経た家づくりで大切にしたのは、高台の土地、薪ストーブのある暮らし、大屋根の日本家屋という安心感でした。地場の木材を使った無垢の床や壁、木戸、立派な梁や柱に加えて、自然素材を使った壁紙やタイルなど、昔から家づくりで使われてきた素材がふんだんに採用されています。

◎家族構成/夫婦40代・30代、子ども2人
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/(有)ササキ設計
◎施工/(株)興建ハウジング

勝手口から雨風を気にせず出られる下屋は、Hさんのちょっとした仕事をする場所として活躍する
大屋根が家族と暮らしを支える、安住の地としての家
玄関を入ると目に飛び込んでくるのは天然木をふんだんに使った空間。樹種を違えて張られた壁の裏側は外からの汚れをさっと落とせる手洗いスペース
手洗いスペースは奥さんのセンスとこだわりが光る場所に。造作の収納上には気に入っている作家さんによる陶器の手洗いボウルが鎮座する
客間にもなる和室からリビング・ダイニングを見渡す。右手の木戸は、実家の納屋に保存されていたものをサイズを調整して再活用した
リビングには長い軒に守られたサンデッキが設けられ、Hさんが働く海が遠くまで見通せる開放感に富んだ空間に
真南に大きく開けられた窓からの景色は、Hさん家族を支える海と山と川が見渡せる絶景。安らぎを感じさせる仕掛けのひとつだ
多目的ルームには屋根裏部屋を設け、Hさんは夜空を見ながらの晩酌、子どもたちは秘密基地として楽しめる空間に。昼間は天窓やハイサイドライトからの陽射しが届く、居心地のいい場所のひとつ
2階主寝室は家族みんなが眠る場所として、梁を現しにした落ち着きのある空間に。将来は2つに間仕切れるように設けた扉は、木目を綿密に合わせた手仕事ならではの技が