左右対称の整ったデザインが、コンパクトでもゆとりのある暮らしの場を形づくっている

南に大きく開いた立地条件を生かして全室を南向きに配置し、広さが感じられる内装仕上げやコンパクトな動線計画など、30坪以下でも家族がのびやかに過ごせる2階建ての住宅。キッチンとダイニングテーブルが横並びのレイアウトは使い勝手が良く、すぐ裏に水まわりがあるので家事動線もスムーズです。

◎家族構成/夫婦40代、子ども3人
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/(株)建築工房DADA
◎施工/(有)菅工業

後方から見る外観は、正面からとはまったく異なる印象。実家と行き来のしやすさを考えて玄関を配置した
正面から見ると、コンパクトさをまったく感じさせないRさんの住まい。ガルバリウム鋼板の大きな急勾配の片流れ屋根と、それを横長にくり抜いた2階の開口が、外観の個性を強く印象づける
居室はすべて、田んぼのある南面に向けて開くよう設計。LDKの中央2ヵ所は掃き出し窓で、全面開放できる。屋久島地杉の軒天はそのままLDKの天井へとフラットに続き、外と室内がつながる感覚をもたらすRさんご夫妻は、田園地帯の一角にある実家の敷地内の畑を農地転用して、家族5人で暮らす家を新築しました。奥さんが依頼先を探す中で出会った建築工房DADAの渡辺恭兵さんは、要望をもとに、限られた予算の中でも暮らしやすい住まいの姿を模索。南に大きく開いた立地条件を生かして全室を南向きに配置し、広さが感じられる内装仕上げやコンパクトな動線計画など、30坪以下でも家族がのびやかに過ごせる2階建てを導き出しました。キッチンのすぐ裏手が水まわり。リビングにいる家族の気配を近くに感じながら、効率良く家事ができる
 
 
 
 
玄関の正面には、帰宅後にすぐ手洗いできる洗面台を配置。隣にあるトイレの手洗いとしても使う
2階廊下は通路とファミリークローゼットを兼ねた設計。「洗面と脱衣室を分けたい」という要望を受けて設けた造作の洗面台は、家族が歯磨きや洗顔などに使っている
キッチンとダイニングテーブルが横並びのレイアウトで、配膳や片付けの動線を短縮。背面の造作棚には食器類やキッチン家電などを収納しているLDKの大開口の外に広がる、青い空と田園の風景。視線の抜けが、実際以上の室内の開放感を感じさせる。天井材を張らずに構造を現しにし、圧迫感を軽減した
リビングとダイニング・キッチンを緩やかに仕切るスケルトン階段が、生活動線の要。LDKの中央にあることで、家のどこからでもアクセスしやすい
階段の吹き抜け上部の採光窓は、景色を切り取るピクチャーウインドウとして視界を広げ、家族の目を楽しませる
高校生の長女の部屋はわずか4.5帖ながら、高い勾配天井の効果で窮屈さを感じない。窓辺の造作カウンターも省スペース化に一役買っている
中学生と小学生の兄弟の子ども室。ドアを中心としたシンメトリーで、将来的に間仕切りしやすい可変性を持たせた