「家は三角屋根が好き」という奥さんのこだわりを反映し、通り庭が貫く二つの箱はモルタル左官仕上げの外壁に三角屋根を採用。緑の中に小さな建物が並ぶ街並みのような景色が、周りにも賑わいを与えている

二つの三角屋根がかわいらしく並ぶ外観が特徴的な住まい。木製ルーバーで外部の目線を遮った通り庭のほか、中庭やウッドテラス、物干し場、植栽コーナーなど、小さく囲われた趣の異なる屋外空間が点在しています。室内には、外部空間と緩やかにつながる開口が効果的に配され、日常的な利便性だけでなく、ガーデニングやインテリアなど趣味的な暮らしを楽しく彩ります

◎家族構成/夫婦60代
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/堀部太建築設計事務所
◎施工/(株)宮﨑組

二つの三角屋根の箱をつなぐように配された陸屋根の箱は、スギ下見張りで外壁を仕上げた。ナチュラルな外壁はウッドテラスから庭の緑に違和感なくつながる

二つの三角屋根の箱をつなぐように配された陸屋根の箱は、スギ下見張りで外壁を仕上げた。ナチュラルな外壁はウッドテラスから庭の緑に違和感なくつながる

横張りのルーバーが美しい陰影を描く通り庭。雨や雪を遮る屋根が設けられているため、Mさんは天候を気にせず、自宅と会社を行き来できる
通り庭とリビングの間には、アウトドアリビングとして活用できる中庭を設けた。キッチンからもアクセスしやすいため、料理用の香草類もここで育てている
匠龍木工社の造作収納でゲストとご夫妻の動線を分けた玄関。ご夫妻用の玄関土間には靴やコート類がしまえる収納が設えられている
玄関脇には客間を兼ねた和室をレイアウト。地窓から外光を採り入れ、落ち着いた雰囲気で仕上げた空間は離れの趣

中庭に面したリビングはダイニング・キッチン、水まわり、パントリー、外の物干し場へとつながる。高さを抑えた造作棚はTV台も兼ね、インテリア好きな奥さんのコレクションが飾られている

L字型のキッチン&収納は、匠龍木工社の造作。壁にはタイル、面材にはタモ無垢を採用。雑貨や器、かご類などのコレクションを飾りたいという奥さんの希望で、オープン棚を多く設えた。「好きな空間で好きなものだけを眺めて暮らしたいという願いも叶いました」と奥さん。キッチンの窓からは、通り庭を往来するMさんの姿もよく見える

平屋造りを設計の基本としながら「寝室は2階がいい」というMさんの要望も叶え、ダイニング・キッチンの上にスケルトン階段で結んだ専用の個室を設けた
ダイニングからリビングを見るとウッドテラスの緑が見える。テラスの植栽も、インテリアの一部になって「緑あふれる暮らし」を演出

通り庭の向こうは、会社の駐車場。往来する人や車の目線を遮るため、ルーバーフェンスを設置した。ルーバーは奥さんが横張り仕上げにこだわった