むかわ町穂別地区で明治時代から代々農業を営んできたNさん一家。2年ほど前、後継者となる息子さんの結婚が決まり、役場勤めをしていた奥さんが定年になったのを機に、住まいを一新したいという機運が盛り上がりました。リプランやインターネットを眺め、新築依頼先を探していた奥さんは、武部建設の存在を知りました。

雑木林に包まれるようにして建つNさん一家の住まい。外壁は、1階に施主支給のカラマツ板を張り、2階はカラマツ材と色合いを合わせたモルタルで仕上げられている
雑木林に包まれるようにして建つNさん一家の住まい。外壁は、1階に施主支給のカラマツ板を張り、2階はカラマツ材と色合いを合わせたモルタルで仕上げられている
玄関とは別に、農家玄関的な勝手口を設置。畑から戻った家族は、勝手口前にある下駄箱で靴を履き替え、作業着用ウォークインクローゼットにアクセス。外壁と同じカラマツ材を使った造作扉を採用し、外観をスマートに見せる工夫も目を引く
玄関とは別に、農家玄関的な勝手口を設置。畑から戻った家族は、勝手口前にある下駄箱で靴を履き替え、作業着用ウォークインクローゼットにアクセス。外壁と同じカラマツ材を使った造作扉を採用し、外観をスマートに見せる工夫も目を引く
建物の中に組み込むようにしつらえた玄関ポーチは、勝手口にもつながる。雨や雪が当たりにくいポーチは、薪置き場にも活用されている
建物の中に組み込むようにしつらえた玄関ポーチは、勝手口にもつながる。雨や雪が当たりにくいポーチは、薪置き場にも活用されている

「穂別は北海道屈指の林業のまち。新築するなら、地元の木を生かしたいと思いました。造材・製材からスタートした武部建設は、北海道の木を大切にした家づくりをしていると知り、ここなら家族の願いがかなうと思いました」と奥さんは語ります。2018年3月、ご夫妻はお母さんと、息子さん夫婦との同居を前提にした新居の建築を武部建設に依頼。幾度も重ねた家族会議でまとめた要望の第一は、一緒に暮らす80代のお母さんが今まで通りに生活できる環境づくりを最優先にすることでした。そのうえで、家族みんなが快適に過ごせ、家事効率の良い住まいを実現するプランを希望しました。また、内装に用いるナラと外壁用のカラマツの原木を地元の森林組合から購入し、材の施主支給を行いたいと伝えました。「武部建設さんは手間のかかる地元材の採用を快諾してくれただけではなく、親身になって私たちのさまざまな希望に耳を傾け、きめ細かい対応をしてくれました。やっぱり、地域の工務店は良いなぁと思いました」と奥さん。

勝手口から最短の動線で結ばれた作業着用ウォークインクローゼットには、予洗い用の洗濯機とスロップシンクを設置。土汚れを家の中に持ち込まない設え、動線は奥さんのこだわりの一つだった
勝手口から最短の動線で結ばれた作業着用ウォークインクローゼットには、予洗い用の洗濯機とスロップシンクを設置。土汚れを家の中に持ち込まない設え、動線は奥さんのこだわりの一つだった
高い吹き抜けと化粧梁、薪ストーブが開放的な雰囲気をつくりだすリビング。薪ストーブは「暖かさが違う」と、息子さんがどうしても実現したかったものの一つ。冬には炎のまわりに家族が自然と集まる
高い吹き抜けと化粧梁、薪ストーブが開放的な雰囲気をつくりだすリビング。薪ストーブは「暖かさが違う」と、息子さんがどうしても実現したかったものの一つ。冬には炎のまわりに家族が自然と集まる
吹き抜けに面した2階階段ホールには、奥さんお気に入りの雑木林と小川を望む読書コーナーが設けられている。造作机は可動式
吹き抜けに面した2階階段ホールには、奥さんお気に入りの雑木林と小川を望む読書コーナーが設けられている。造作机は可動式

さらに、町内の古民家修復現場で働いていた若い大工さんが15年の時を経て、棟梁として新築現場を担当することになったのにも、ご夫妻は「武部建設さんとの縁を感じた」といいます。8月末、上棟式を経て、建て込みが始まるとNさん家族は現場へ日参。「お陰で大工さんとすっかり仲良くなって、造作部分の使い勝手を調整してもらいました。9月の震災時、穂別は震度6強でしたが、大工さんがすぐに現場を見に来てくれ、とても心強く感じました」と、奥さんは当時を振り返って語ります。

ブルーのアクセントウォールが目を引く息子さん夫婦の個室。事務机は造作、好きな場所に動かして使うことができる
ブルーのアクセントウォールが目を引く息子さん夫婦の個室。事務机は造作、好きな場所に動かして使うことができる
息子さん夫婦の部屋には、多目的に利用できるロフトも完備。これから、掃き出し窓の向こうに、6帖程度のウッドテラスも設けられる予定
息子さん夫婦の部屋には、多目的に利用できるロフトも完備。これから、掃き出し窓の向こうに、6帖程度のウッドテラスも設けられる予定
2階階段ホールに設けた家族共用の造作本棚には、アルバムや蔵書を収め、図書館のような雰囲気に
2階階段ホールに設けた家族共用の造作本棚には、アルバムや蔵書を収め、図書館のような雰囲気
採光窓からこぼれる西陽が美しい2階洗面所。洗面台は造作。3世代同居のNさん宅は、1階に設けた水まわりとトイレ、キッチンは共用だが、家族が多いため、2階にも洗面とトイレを別途設けている
採光窓からこぼれる西陽が美しい2階洗面所。洗面台は造作。3世代同居のNさん宅は、1階に設けた水まわりとトイレ、キッチンは共用だが、家族が多いため、2階にも洗面とトイレを別途設けている

そして12月下旬、待望の新居へ引っ越し。家族で選んだナラ原木を床や腰壁に生かした新居は、玄関からそのままつながる大きなLDKが暮らしの中心になりました。料理好きなお母さんが自慢の腕を振るえるよう、キッチンは旧宅とほぼ同じ仕様で造作し、みんなで作業がしやすいよう広さも十分にとりました。「居心地の良いキッチンと食卓は、みんなが自然と集まる談話室のようです。来客の多いわが家の顔ともいえる場所になり、期待以上の新築ができました」と、奥さんは笑顔で話してくれました。

Nさん宅の室内には、施主支給の穂別産ナラで仕上げた腰壁、フローリングが採用されている。1階LDと2階階段ホールを貫く親柱も、地元の神社裏に生えていた樹齢80年超のナラ。木が好きな親戚が伐採後大切に保存していたものを譲りうけたのだそう
Nさん宅の室内には、施主支給の穂別産ナラで仕上げた腰壁、フローリングが採用されている。1階LDと2階階段ホールを貫く親柱も、地元の神社裏に生えていた樹齢80年超のナラ。木が好きな親戚が伐採後大切に保存していたものを譲り受けたのだそう
料理が好きなお母さんのために、キッチンは造作で旧宅と同じような環境、設備を整えた。大鍋で煮炊きがしやすいよう、ガスコンロを置く台は低めに設えた。背面の造作収納は使い勝手をより良くするため、施工中に大工さんと何度も調整をした。突き当たりは、畑の野菜や保存食をたっぷりしまえる土間仕様の食品庫
料理が好きなお母さんのために、キッチンは造作で旧宅と同じような環境、設備を整えた。大鍋で煮炊きがしやすいよう、ガスコンロを置く台は低めに設えた。背面の造作収納は使い勝手をより良くするため、施工中に大工さんと何度も調整をした。突き当たりは、畑の野菜や保存食をたっぷりしまえる土間仕様の食品庫
キッチンと水まわりは最短の動線で結ばれている。脱衣室は洗濯室も兼ね、大型の物干しスペースと収納棚を併設。衣類を脱ぐ、洗う、干す、仕舞うまで、1ヵ所で完結できる洗濯室は、長年共働きをしてきた奥さんがどうしても実現したかった家事スペースだった
キッチンと水まわりは最短の動線で結ばれている。脱衣室は洗濯室も兼ね、大型の物干しスペースと収納棚を併設。衣類を脱ぐ、洗う、干す、仕舞うまで、1ヵ所で完結できる洗濯室は、長年共働きをしてきた奥さんがどうしても実現したかった家事スペースだった



\2022/12/28発売!「Replan北海道 vol.139」/

自分らしさや好みを反映できる要素として、「選ぶ」のが楽しくて「決める」のが難しい住まいの色と素材。別々の要素のように見えますが、色と素材は相互に大きく影響し合います。

今回は色と素材の選び方がとても上手な住まいの事例や、色と素材の基本を紹介しています。好みがはっきり分かれる色と素材。あなただけの正解を見つけてみてください。

北海道の書店にて発売中!
〈インターネット購入〉Replan webサイトAmazonFujisanマガジン
※インターネット購入・方法についての詳細はこちらからご確認ください