管理建築士である阿武隈川哲郎さんが率いる、設計から施工まで一貫して請け負う小さな建築事務所「LITTLE NEST WORKS」。何度もお施主様と対話を重ね、ときには一緒に悩みながら「お客様の想い」をカタチにしていくことを大切にしています。

LITTLE NEST WORKSがつくる家は、洗練された美しいデザインが特徴。しかし、決してデザイン重視の家ではありません。暮らしやすさや手入れのしやすさ、後から必要になるコストまでをしっかり視野に入れて、プランニングを行っています。デザイン性とコスパの良さ、施主に寄り添う姿勢が評判となり、最近は県外からも問い合わせが相次いでいるとか。

Iさんご夫妻のお住まい。デザイン的な美しさはもちろん、中庭の床に手入れしやすいタイルを用いたり、落ち葉などの処理がしやすいよう外部への掃き出しを設けたりと、メンテナンスも考えられている。夜には、星空が眺められる贅沢なロケーション。冬は家の中にいても、雪が眺められる
Iさんご夫妻のお住まい。デザイン的な美しさはもちろん、中庭の床に手入れしやすいタイルを用いたり、落ち葉などの処理がしやすいよう外部への掃き出しを設けたりと、メンテナンスも考えられている。夜には、星空が眺められる贅沢なロケーション。冬は家の中にいても、雪が眺められる

中島村の市街地に建つIさん宅もそのひとつ。住宅街の中でひときわ目を引く洗練されたコートハウスの玄関ドアを開けると、目の前に奥行き約10m、幅2.7mの広い中庭が広がります。白い壁の上には、鮮やかな青空。夜には、星空が眺められる自然を身近に感じるお住まいです。

外壁は防火サイディングに白の塗装を施し、シンプルモダンに。夏は植栽が白い壁のアクセントとなる
外壁は防火サイディングに白の塗装を施し、シンプルモダンに。夏は植栽が白い壁のアクセントとなる
夜の外観。採光のための窓からこぼれる室内の明かりがアクセントに。 キッチン横には、バーベキューやキャンプの道具が出し入れしやすいよう、 外から中庭に出入りできる勝手口を設けた
夜の外観。採光のための窓からこぼれる室内の明かりがアクセントに。キッチン横には、バーべキューやキャンプの道具が出し入れしやすいよう、外から中庭に出入りできる勝手口を設けた

阿武隈川さんは、「施主のIさんが、スポーツやアウトドア、旅行が好きなアクティブ派と聞いて、リビングと一体化した使い方をすることで、家の中にいながらバーベキューやランチを楽しめる中庭のある家を提案しました」と話します。間取りは、中庭を中央に、右側にLDKなどのパブリックスペース、左側に主寝室や子ども部屋、水まわりなどのプライベートスペースを配置。平屋なので階段の上り下りも不要で、掃除・洗濯なども全て1階で完結できて、老後も快適です。

中庭に面した窓から陽射しが射し込むLDK。木製のテレビボード背 後の壁面は、システムキッチンまわりのタイルと同素材を使用。アクセ ントにダークグレーをバランスよく配置
中庭に面した窓から陽射しが射し込むLDK。木製のテレビボード背後の壁面は、システムキッチンまわりのタイルと同素材を使用。アクセントにダークグレーをバランスよく配置
LDKの反対側に設けた主寝室。中庭はリビングの音や気配を遮断し、 プライベートを確保するパーテーションの役割も果たしている。窓際 には、メイクスペースにもなるカウンターを設置した
LDKの反対側に設けた主寝室。中庭はリビングの音や気配を遮断し、プライべートを確保するパーテーションの役割も果たしている。窓際には、メイクスペースにもなるカウンターを設置した
子ども部屋は2室を用意。それぞれ収納が設けられている。子ども部屋も主寝室も、床はLDKと同じ無垢のオークでコーディネート
子ども部屋は2室を用意。それぞれ収納が設けられている。子ども部屋も主寝室も、床はLDKと同じ無垢のオークでコーディネート

内装は、リビングに置いたIさんお気に入りの「ジャーナルスタンダードファニチャー」のレザーソファに合わせ、白とダークブラウンで家全体をトータルコーディネート。ダイニングのアメリカンな照明は、家で友人とお酒を楽しむことが多いというIさんのライフスタイルに合わせて造作。間接照明とともにバーのような雰囲気を演出しています。

柔らかな照明の光で空間を照らし出す。照明計画は「日常生活に必要な 光」と「リラックスするための光」を使い分けて提案
柔らかな照明の光で空間を照らし出す。照明計画は「日常生活に必要な光」と「リラックスするための光」を使い分けて提案
ユーティリティの収納は、既製品のカゴにタオルや下着などを入れてしま うことを想定。収納計画は、必要な場所にしまう物に合わせて収納を設け ることを基本に設計した。しまったものがひと目で分かるよう、棚の奥行き もIさんが購入するカゴに合わせて造作している
ユーティリティの収納は、既製品のカゴにタオルや下着などを入れてしまうことを想定。収納計画は、必要な場所にしまう物に合わせて収納を設けることを基本に設計した。しまったものがひと目で分かるよう、棚の奥行きもIさんが購入するカゴに合わせて造作している
トイレの床もメンテナンスに配慮。キッチンまわりやユーティリティの床と 同素材のタイルでコーディネート
トイレの床もメンテナンスに配慮。キッチンまわりやユーティリティの床と同素材のタイルでコーディネート

デザイン性の高さに視線が向きがちですが、冷暖房効率を上げるため、断熱性の高い窓ガラスを採用したり、中庭のタイルをはじめ、将来の補修に備えて耐久性の高い素材を提案したりと、「住み続けてからのコスト」もしっかり視野に入れた印象的なIさん宅でした。