北海道帯広市・Iさん宅
家族構成/夫婦40代・30代 子ども4人
薪ストーブ/[HETA]NORN soapstone
設計・施工/石塚建設(株)

豊かな自然の中で子育てをしたいと考えたIさんご一家は、2年前に東京から奥さんの生まれ育った帯広に移住。4人の娘さんたちとともに、のびのびと過ごせる家を建てようと考えました。東京にいた頃からキャンプで焚き火をするのが大好きだったというIさん。「薪ストーブを入れて、帯広での暮らしを楽しみたい」と薪ストーブの導入を決めました。

外壁の塗壁材は天然素材のホタテ貝殻を主原料としたビオシェルを採用。落ち着いたトーンの洗練された外観となっている
落ち着いたトーンで洗練された外観デザインのIさんの住まい。外壁の塗壁材は天然素材のホタテ貝殻を主原料としたビオシェルを採用した

家づくりを依頼したのは、帯広市の石塚建設です。「地域に根ざした会社で家づくりをしたいと考えていたので、理想的でした。断熱・気密性能もしっかりしていて、北海道産にこだわった自然素材の家であることも、アレルギー持ちの私たち家族にとって、大きな決め手となりました」と奥さんは振り返ります。

玄関ホールからLDKヘ向かうと、出迎えてくれるのは美しい炎のゆらぎ。薪ストーブを据えた土間は薪小屋のある中庭へとつながり、薪の持ち運び動線が短くてとても便利です。庭の一角に置いた薪小屋は同社でデザインして造作したもので、省スペースながら収納力抜群です。

玄関からリビングへと続く廊下の真正面に、薪ストーブ。木や塗り壁などの自然素材を生かした心地よい家に帰ると、揺らぐ炎が暖かく迎えてくれる
HETAのノルンは奥さんのセレクト。「丸みを帯びたフォルムが、LDKの雰囲気に合っていて気に入りました」
ヒタの「ノルン ソープストーン」は奥さんのセレクト。「丸みを帯びたフォルムが、LDKの雰囲気に合っていて気に入りました」
多方向からアクセスができるように配慮した造作の薪小屋。横一列にした薪棚より省スペースで使いやすい
3方向からアクセスができる設計の薪小屋は、石塚建設でデザインし、造作。横一列にした薪棚より省スペースで使いやすいとIさんにも好評

「憧れの薪ストーブですが、知識はほとんどありません。その点、石塚建設さんは薪ストーブの施工実績も多く、的確なアドバイスをくれてとても心強かったです」と話す奥さんは、当初は薪ストーブの導入に消極的でした。しかし新居では付属のオーブンでパンを焼いたり、夜にゆっくりと炎を眺めたりと日常的に薪ストーブに親しみ、次第に愛着が増しているといいます。

庭には、薪棚のほかにも、畑や自作のピザ釜が。「薪ストーブが使えない夏の間は、自分たちで育てた野菜を使ってピザを焼いています」と奥さん。移住先の帯広で、夏も冬も、炎のある暮らしを目いっぱい楽しんでいます。

中二階は子どもたちのワークスペースとご主人の書斎を兼ねている
天井が高く、階段を介して2階ともつながる大空間は、高い住宅性能と暖房計画で均一な暖かさ。リビングの隣には多目的に使える和室、中2階には家族用のワークスペースをレイアウトしている
家族が集うリビングの中心に薪ストーブの炎。LDKのどこにいても炎を眺めることができる
家族が集うリビングの中心に薪ストーブ。LDKのどこにいても炎を眺めることができる。煙突は設計上、壁出しとした

キッチンからも薪ストーブが楽しめる。ゆったりとした大空間に、比較的大きいサイズ感のHETAの薪ストーブがバランスよく調和している
キッチンからも薪ストーブが楽しめる。ゆったりとした大空間に、比較的大きいサイズのヒタの薪ストーブがバランスよく調和している
室内用の薪棚もHETAの商品。オブジェのようにスタイリッシュで、使い勝手も良い
室内用の薪棚もヒタの商品。オブジェのようにスタイリッシュでインテリア性が高く、使い勝手も良い
Iさん宅の煙突設置は壁出しで、白と黒のモノトーンの外観に煙突がうまく調和している。庭には、造作の薪小屋とご主人が自作した自慢のピザ釜
奥へ長い敷地を生かした広い庭は、Iさん宅の特徴。物置や家庭菜園、薪小屋のほか、Iさんが研究して自作したピザ窯も。薪ストーブを使わない夏場はこの窯でピザを焼いて、家族みんなで炎に親しんでいる

DATA

◆家のこと
構造規模/木造(在来工法)・2階建て
延床面積/206.60㎡(62坪)
◆薪ストーブのこと
機種/ヒタ[ノルン ソープストーン]
炉台/土間コンクリート
炉壁/なし
役割/補助暖房(パネルヒーター併用)
使い方/起床時に着火し、昼頃に自然に消して余熱で過ごし、夕方に再び着火し、就寝中に自然に消す
使用期間/10月~5月
メンテナンス/年に1回(専門業者へ依頼)
◆薪のこと
ひと冬あたりの使用量/4㎥
使用樹種/ナラ材
調達方法/専門店より1シーズン分まとめて購入

PLAN

薪の搬入動線を考慮して、道路に面したカーポートと庭に薪棚を設けた。薪ストーブは中庭に面した土間に据え、寒さ厳しい冬でも庭先の薪小屋からスムーズに薪を運び込めるようにしている。

間取りのポイント① 購入した薪の一部は、住宅と一体化させたカーポートにつくった薪棚にストック。小割りにしてサイズを調整するのはIさんの役目。玄関まわりには、物置や自転車置き場も組み込まれている
中庭への出入り口がある土間に薪ストーブを設置。薪を運ぶ動線が短くて便利
間取りのポイント② 中庭への出入り口がある土間に薪ストーブを設置。薪を運ぶ動線が短くて便利

owner’s voice

薪ストーブは想像していた以上に楽しいです。縦長の大きな窓から見る炎を、子どもたちが寝静まった夜に眺めるのが至福のひととき。上段のオーブンを使ってつくるトーストは焼き上がり加減が絶妙で、とてもおいしいんです。夏は中庭に設置した自作のピザ釜でピザを焼いて食べて、季節を問わず炎のある暮らしを楽しんでいます。薪ストーブは今、補助暖房として使っていますが、冬の暖かさは相当なものだったので、いずれはメイン暖房で使いたいと考えています。薪棚は当初、庭だけに置くつもりでしたが、石塚建設さんのアドバイスを受けてカーポートにも設置しました。今後薪を使う機会が増えることも考えると、大正解だったと思っています。(Iさん談)

炉とオーブンが別構造になっていて、調理がしやすいそう
オーブンを使ってつくるトーストは絶品。炉とオーブンが別構造になっていて調理しやすい