新たな住まいに託した
家族がくつろぎ、楽しめる空間

北海道で農業を始めたいと考えて、Uさんご夫妻が東京から移住したのは10年以上も前のこと。音更町の農家で経験を積み、後継者募集の知らせを聞きつけて7年前に富良野市へとやってきました。研修期間を経てメロン畑と築70年の住居を受け継いだUさんご一家。

来客や普段使いの表玄関は、玄関まわりと同じくブラック系の石材で仕上げている。右手に農家玄関、左手にリビング、突き当たりはトイレとその手前には洗面台がある
来客や普段使いの表玄関は、玄関まわりと同じくブラック系の石材で仕上げている。右手に農家玄関、左手にリビング、突き当たりはトイレとその手前には洗面台がある
農家玄関には農作業で汚れた作業着などを洗うための専用の洗濯機や手洗いを設置。土埃を払い、身なりを整えてから室内に入ることができる。大容量の収納も確保
農家玄関には農作業で汚れた作業着などを洗うための専用の洗濯機や手洗いを設置。土埃を払い、身なりを整えてから室内に入ることができる。大容量の収納も確保
玄関ホールに配置した洗面台とトイレ。洗面台の壁面やトイレの腰壁にはキッチン同様テラゾを採用し、雰囲気を統一している
玄関ホールに配置した洗面台とトイレ。洗面台の壁面やトイレの腰壁にはキッチン同様テラゾを採用し、雰囲気を統一している

畑仕事は忙しいながらも順調だったものの、「7年暮らした古い家は傷みがひどく、使える部屋も限られていました」と、日々の暮らしは悩みが尽きなかったそう。長女の小学校入学を機に、思い切って敷地内に新築を検討することにしました。

地域に根差した会社との家づくりを考えていたUさんご夫妻が新築を依頼したのは、リプランを読んでいて目に留まったアクト建築工房。「オープンハウスで見た家が酪農を営む農家住宅だったので、自分たちの暮らし方を具体的にイメージすることができたのも、大きな決め手になりました」と、奥さんは話します。

リビングへと向かう廊下は、キッチンの壁に入れたガラスと、突き当たりの開口から光を取り込むことで、明るさを確保
リビングへと向かう廊下は、キッチンの壁に入れたガラスと、突き当たりの開口から光を取り込むことで、明るさを確保

常に自然と向き合い、畑から離れることができないというUさんご一家。新居に託したのは「家族の一員である愛猫も含め、みんながくつろぎ楽しめる家にしたい」という願いでした。

リビングの開口の先にはご夫妻の職場である畑が広がる。テレビの壁面は旧宅の廊下で使用していた無垢材を再利用している。「古いものを有効活用できて非常に嬉しいです」とUさん
リビングの開口の先にはご夫妻の職場である畑が広がる。テレビの壁面は旧宅の廊下で使用していた無垢材を再利用している。「古いものを有効活用できて非常に嬉しいです」とUさん
リビングの大きな吹き抜けは開放感抜群。天井と同じく2階の格子にもアクセントカラーを取り入れてトーンを合わせた
リビングの大きな吹き抜けは開放感抜群。天井と同じく2階の格子にもアクセントカラーを取り入れてトーンを合わせた

洗練されたデザインに加え
高い機能性が暮らしに豊かさを

山々の稜線を背景に広がる豊かなメロン畑とともに佇む、Uさんご一家の新たな住まい。ご夫妻の仕事と暮らしの快適さを考えて、表玄関と農家玄関を配置。洗濯や手洗いなど、農作業後の一連の動作をスムーズにし、汚れを室内に持ち込まないように計画しています。

ダイニングの天井にアクセントカラーを取り込み、空間にメリハリをつけている。存在感のあるダイニングのペンダントライトは、奥さんが選んだジャスパー・モリソンのスミスフィールド
ダイニングの天井にアクセントカラーを取り込み、空間にメリハリをつけている。存在感のあるダイニングのペンダントライトは、奥さんが選んだジャスパー・モリソンのスミスフィールド
キッチンと背面収納の天板は、それぞれステンレスとテラゾに。突き当たりの壁はマグネットになっていて、子どもの学校のプリントなどを貼り付けることができて便利
キッチンと背面収納の天板は、それぞれステンレスとテラゾに。突き当たりの壁はマグネットになっていて、子どもの学校のプリントなどを貼り付けることができて便利

Uさん宅のキッチンは独立型。これは留守中に猫がキッチンに入り怪我をしないようにするためですが、「料理に集中できて、効率が良くなりました」と、使い勝手も抜群だそう。ダイニングテーブルは、以前から使っていたものをリメイクしました。テレビの背面にはこれまで暮らしていた築70年の住宅の床材を再利用し、古材ならではの味わいを生かしています。

ハイサイドライトから望む景色が楽しめるワークスペースは、家で事務仕事をするためにUさんが希望したもの。照明はArtekのペンダントライトをセレクト
ハイサイドライトから望む景色が楽しめるワークスペースは、家で事務仕事をするためにUさんが希望したもの。照明はArtekのペンダントライトをセレクト
子ども部屋の壁はイエローで仕上げた。窓の向こうは広いバルコニー
子ども部屋の壁はイエローで仕上げた。窓の向こうは広いバルコニー

ワークスペースや寝室、子ども部屋からなる2階には広いバルコニーを設置。西側に広がる山々を眺めながらBBQを楽しむなど、家族がアクティブに過ごせる大切な空間です。仕事を支える機能性と洗練されたデザインが共存する新たな住まいがもたらしたのは、暮らしの楽しみと快適さ。そのおかげで、忙しくも充実した毎日を過ごすUさんご家族でした。

多目的に使える屋根付きのバルコニー。「以前の家は2階が使用できなかったので、同じ敷地内でも視界が上がると景色が異なり新鮮です」と奥さん
多目的に使える屋根付きのバルコニー。「以前の家は2階が使用できなかったので、同じ敷地内でも視界が上がると景色が異なり新鮮です」と奥さん
メロン畑を背に建つUさん宅。カーポートと玄関ポーチが一体化しているので、雨や雪に濡れることなく車と家を行き来できるのが便利。左手は表玄関、右手が農家玄関となっている
メロン畑を背に建つUさん宅。カーポートと玄関ポーチが一体化しているので、雨や雪に濡れることなく車と家を行き来できるのが便利。左手は表玄関、右手が農家玄関となっている

家具や家は、新品の状態を保たなければならないと考えていた私に、「経年変化も魅力の一つ」と教えてくれたのが、代表の澤田さんでした。良いものを末長く使い続けることを想定して、澤田さんと相談を重ねながら素材や家具を選ぶのはとても楽しく、家が完成した後もインテリアは私の大切な趣味の一つに。農家を営む忙しい日々の中でも、ほっとくつろげる家になりました。(奥さん談)