2020年に茨城県つくば市に誕生した提案型建売分譲「CLASSCO倉掛」。「小さな森と、ここで暮らす」をコンセプトとした建売分譲住宅4棟からなるこのプロジェクトは、木材の小売業を前身とする地元の工務店「柴木材店」が手がけ、2022年にはグッドデザイン賞を受賞しています。販売から今年で3年目。緑が豊かさを増し、住まい手の暮らしが根づき始めたこの街の今を訪ねました。

建売分譲による家づくりの提案で
心地よいコミュニティーづくりを後押し

彩り豊かな緑に囲まれた住宅街の一角に、庭を介して点在する4棟の切妻屋根の家々。ここ「CLASSCO倉掛」は、つくば駅からわずか2.4㎞という利便性の良い市街地にあります。

このプロジェクトを企画し、設計・施工して販売した柴木材店代表取締役の柴 修一郎さんは、「50余年にわたる工務店としての経験と技術をベースに、最大公約数的な建売住宅とは一線を画す提案で、美しい街並みをかたちにしたいと思いました」と話します。

約370坪のL字型の敷地に4棟の住宅が立つ「CLASSCO倉掛」。各区画をまたぐように樹木が植えられ、隣同士で視線がぶつからないように建物の配置や窓の位置が考慮されている
約370坪のL字型の敷地に4棟の住宅が立つ「CLASSCO倉掛」。各区画をまたぐように樹木が植えられ、隣同士で視線がぶつからないように建物の配置や窓の位置が考慮されている

その理想の実現のため、同社は約370坪の敷地を「小さな森」とした植栽計画を立てます。全体で約120種類もの植物を植え、家と家の間や、各戸の内と外が緑で緩やかにつながるように設計。外構や庭を区画全体でまとめてデザインしたことで、1棟だけでは叶わない広がりや奥行きが生まれました。

各住宅には土間や薪ストーブ、ウッドデッキなどを採用。自然に寄り添う暮らしに価値を見出す人々が集い、心地よい近所付き合いの中でコミュニティーが醸成されていくことを期待しました。  

建売分譲をして3年を迎え、その願いは実を結びつつあります。「CLASSCO倉掛」では今、子育て世代の4組の家族が、順調に育つ緑の中を自由に行き来しながら暮らしています。各家の子どもたちにとっては、敷地の小さな森全体が楽しい遊び場です。  

柴木材店では購入者向けに、庭を維持管理していくための下草の剪定教室や、薪割りのワークショップを開催したとのこと。住まい手との関わりを積極的に持ち住人同士のつながりをつくることで、信頼関係はより強く、確かなものになっていると柴さんは実感しています。

4棟が庭でゆるやかにつながっていることで、住人同士のコミュニケーションが自然と深まる
4棟が庭でゆるやかにつながっていることで、住人同士のコミュニケーションが自然と深まる

「心地よいコミュニティーができることで、街は人が長く愛着を持って暮らせる場へと育ちます。それは地域の価値の向上につながりますが、私たちが目指したのはまさにそのような街づくりでした。採算性だけを考えると非効率かもしれませんが、周辺環境まで含んだこの地域らしい住まいを提案し、暮らしに関わり続けていくことも、地域工務店の大切な役割だと考えています」。  

3年を経て「CLASSCO倉掛」でまいた種は芽吹き、同じコンセプトのプロジェクトは着工前から問い合わせがあるそう。地域工務店ならではの「住」の提案として、光の方へ枝葉を伸ばしています。

【住宅実例】
自然体で安心して暮らせる
緑豊かな理想の住まい

■ 茨城県つくば市・Kさん宅
■ 家族構成 夫婦30代・40代、子ども2人

海外で長く生活してきたKさんご夫妻は2年前、オランダ在住時に「そろそろ日本で腰を据えて暮らしたい」と、インターネットで帰国後の物件探しを開始。双方の実家、都内の仕事先、いずれにも1時間圏内で、生活環境も良いつくば市に候補を絞り、見つけたのが「CLASSCO倉掛」の建売住宅でした。「小さな森と、ここに暮らす」というコンセプトにピンときたといいます。

外壁は、ガルバリウム鋼板+ジョリパット仕上げがこの建売住宅の標準仕様。1棟あたりの区画は約90坪超とゆとりの広さ。多種多様な植栽に彩られた広い庭に加え、車2台分の駐車スペースも備えている
外壁は、ガルバリウム鋼板+ジョリパット仕上げがこの建売住宅の標準仕様。1棟あたりの区画は約90坪超とゆとりの広さ。多種多様な植栽に彩られた広い庭に加え、車2台分の駐車スペースも備えている
軒の出が深い玄関ポーチは、ご近所さんとのコミュニケーション空間。雨に濡れずに行き来ができる外物置も各戸に設けられている
軒の出が深い玄関ポーチは、ご近所さんとのコミュニケーション空間。雨に濡れずに行き来ができる外物置も各戸に設けられている

カーテンを開けると庭の緑が広がる住まいは、ご夫妻にとって理想的。「外構や庭までつくり込まれ、一般的な建売住宅とは違う提案だったので、これを良しとする似た感性の人が集まるだろうというコミュニティーに対する安心感もありました」と、奥さんは購入の決め手を話します。

長期優良住宅の基準を満たす建物は、基礎や構造を合理化し、シンプルで開放的な空間を実現する「木造ドミノ工法」を採用。断熱・気密性能が高く、暖房は薪ストーブ一台で賄えている
長期優良住宅の基準を満たす建物は、基礎や構造を合理化し、シンプルで開放的な空間を実現する「木造ドミノ工法」を採用。断熱・気密性能が高く、暖房は薪ストーブ一台で賄えている
ウッドデッキとつながる掃き出し窓が、陽の光と緑豊かな庭の風景を室内に採り込む。建売住宅であることを感じさせない無垢の木を活かした地域工務店らしい意匠も、住まいの大きな魅力に
ウッドデッキとつながる掃き出し窓が、陽の光と緑豊かな庭の風景を室内に採り込む。建売住宅であることを感じさせない無垢の木を活かした地域工務店らしい意匠も、住まいの大きな魅力に

入居後にKさんが思いがけず夢中になったのが、住まいにあらかじめ設置されていた薪ストーブです。「薪火の暖かさが心地よく、火を眺めるのも楽しくて、すっかりハマってしまいました。家自体が高性能なので、暖房は薪ストーブだけで賄えます」と笑顔で話します。また夏は庭の木々と長い庇が陽射しを遮り、湿度が高すぎなければ冷房いらずの涼しさだといいます。

来客時や帰宅時の手洗いがしやすいよう、トイレの手洗い場は外に造作した。シックなタイルづかいが、シンプルナチュラルな空間のアクセントに
来客時や帰宅時の手洗いがしやすいよう、トイレの手洗い場は外に造作した。シックなタイルづかいが、シンプルナチュラルな空間のアクセントに
2階ホールに配したワークスペースは、子どもたちの勉強や遊び場のほか、リモートワークにも重宝する
2階ホールに配したワークスペースは、子どもたちの勉強や遊び場のほか、リモートワークにも重宝する
玄関から庭への動線を兼ねる土間空間の一角にはワークスペースを造作。薪の搬入もスムーズに行える
玄関から庭への動線を兼ねる土間空間の一角にもワークスペースを造作。薪の搬入もスムーズに行える

室内とつながりの良い庭は、今やご家族の生活の一部に。「外へ出ると自然にお隣との会話が生まれて、植栽や子どもの話など、いろいろな情報交換ができます。子どもたちもみんな仲良しで、家の近所や庭を毎日走り回っているんですよ」と奥さん。周辺環境までデザインされた建売住宅が、ご家族の心豊かな日常を優しく見守っています。

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家づくりを始める際に重要となるのがパートナー選び。自分に合ったパートナーにたどり着くためには、まず、どのような選択肢があるかを知ることが重要です。

大きな住宅展示場にモデルハウスを持ち、多数のメディアで大々的に広告している大手ハウスメーカーに比べ、地域の「工務店」は、興味はあってもなかなかその実情を把握しにくいのが現状です。

そこで今回は、それぞれに特徴や強みの異なる工務店との家づくりをご紹介。工務店をパートナーに選んで建てた実例と住まい手の声を通じ、その魅力を紐解きます。

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