既存の煙突を再利用。心も体も温まる薪ストーブが長い冬のパートナー

公開日:2025.8.28 最終更新日時:2025.8.20

安心して、心地よく。薪ストーブとともにある日々を応援します。

仁木町・Sさん宅
家族構成/夫婦60代
薪ストーブ/[AGNI]AGNI-CC
設計・施工/(有)ビオプラス西條デザイン

神奈川県で暮らしていたSさんご夫妻は、ワイン好きが高じて2019年に仁木町に移住し、醸造用ブドウ農家として新規就農しました。数年かけて農地を見つけ、購入。その土地に立っていた築50年のコンクリートブロック造の2階建てを改修し、終の棲家にすることにしました。

改修工事を依頼したのはビオプラス西條デザインです。「西條社長が掲げる地域に根ざした自然派住宅という考え方が、私たちの理想のワインづくりに重なりましたし、コンクリートブロック住宅の改修実績の豊富さも依頼の決め手になりました」と、Sさんは当時を振り返ります。

果樹園が広がる地域の一角に立つSさんの家。春は一面の緑に、秋には豊かな実りと色鮮やかな紅葉に包まれる
果樹園が広がる地域の一角に立つSさんの家。春は一面の緑に、秋には豊かな実りと色鮮やかな紅葉に包まれる
外まわりは既存のコンクリートブロック壁に外断熱を施し、自然塗料で仕上げた道産カラマツ材の羽目板を外壁材として張った。玄関ドアは製作した高性能断熱ドア
外まわりは既存のコンクリートブロック壁に外断熱を施し、自然塗料で仕上げた道産カラマツ材の羽目板を外壁材として張った。玄関ドアは製作した高性能断熱ドア
玄関土間に敷いた江別産のレンガタイルやホタテ漆喰の塗り壁をはじめとする内装仕上げが、玄関まわりにほっとするような温かみをもたらす
玄関土間に敷いた江別産のレンガタイルやホタテ漆喰の塗り壁をはじめとする内装仕上げが、玄関まわりにほっとするような温かみをもたらす

ご夫妻が希望したのは、暖かくて2人暮らしにちょうどいい平屋的な住まいです。そこで西條さんは、1階のみを改修するプランを提案。また暖房には蓄熱性の高い構造体と既存の集合煙突が生かせる薪ストーブを勧めました。

Sさんは「薪ストーブには憧れがありましたし、改修コストの削減にもつながるので嬉しい提案でした。地域柄、周辺に果樹農家が多くて薪が手に入りやすいことも導入の後押しになりました」と話します。

未改修の2階は既存のコンクリートブロックの壁や躯体がそのまま残る。倉庫として活用するため、床のみを新たに張り替えた
未改修の2階は既存のコンクリートブロックの壁や躯体がそのまま残る。倉庫として活用するため、床のみを新たに張り替えた
燃料の薪は、農地更新で伐採したリンゴやサクランボなどの果樹。近隣の農家から定期的に分けてもらっていて、敷地内に数年分がストックされている
燃料の薪は、農地更新で伐採したリンゴやサクランボなどの果樹。近隣の農家から定期的に分けてもらっていて、敷地内に数年分がストックされている

2020年の暮れに改修を終えた1階は、ナラの無垢床にトドマツの造作家具、ホタテ漆喰の塗り壁と道産の素材をふんだんに用いた心地よい住まいに様変わりしました。広いLDKの中心に据えたのは、国産メーカー「アグニ」の薪ストーブ。大きな窓の奥に美しい炎が揺らぎます。

自然素材が心地よいリビングで薪火を眺めながらのんびりとくつろぐ時間が、農閑期のご夫妻の楽しみの一つに
自然素材が心地よいリビングで薪火を眺めながらのんびりとくつろぐ時間が、農閑期のご夫妻の楽しみの一つに
高い実用性とデザイン性を併せ持つアグニは、岐阜県の鋳物メーカーが製造する国産ブランド。Sさん宅では、床に耐熱性の高い鉄板、炉壁には蓄熱性に富むレンガタイルを用いた
高い実用性とデザイン性を併せ持つアグニは、岐阜県の鋳物メーカーが製造する国産ブランド。Sさん宅では、床に耐熱性の高い鉄板、炉壁には蓄熱性に富むレンガタイルを用いた
この機種は正面と側面の2方向から薪を入れることができる。「大きな薪もくべやすいので、薪割りの手間も減らせます」とSさん
この機種は正面と側面の2方向から薪を入れることができる。「大きな薪もくべやすいので、薪割りの手間も減らせます」とSさん
薪ストーブの熱の通り道となる廊下に沿って、寝室や水まわりがある間取り。パブリックとプライベートが緩やかに分離されている
薪ストーブの熱の通り道となる廊下に沿って、寝室や水まわりがある間取り。パブリックとプライベートが緩やかに分離されている

「必要十分な断熱改修と躯体のコンクリートブロックに薪ストーブの熱が蓄えられる効果で、真冬もこの1台で室内の隅々まで暖かいです」とSさんが言えば、奥さんも「春先は朝に薪を燃やすだけで一日中快適。薪火による暖かさはやわらかい感じがして、その心地よさにも驚きました」と声を弾ませます。薪ストーブはお2人の日常に欠かせない長い冬のパートナーとして、その力を発揮していました。

リビング・ダイニングとひとつながりのキッチンは、道産のトドマツ材を用いた造作仕様。収納棚も充実していて使い勝手がとても良い
リビング・ダイニングとひとつながりのキッチンは、道産のトドマツ材を用いた造作仕様。収納棚も充実していて使い勝手がとても良い
ワイナリー「North Creek Farm」を営むSさんご夫妻の住まい。LDKの一角に置かれた薪ストーブは、寒い季節の暮らしに欠かせない大切な存在
ワイナリー「North Creek Farm」を営むSさんご夫妻の住まい。LDKの一角に置かれた薪ストーブは、寒い季節の暮らしに欠かせない大切な存在

DATA

◆家のこと
構造規模/コンクリートブロック造・2階建て
リノベーション面積/124.00㎡(約37坪)
◆薪ストーブのこと
機種/アグニ「AGNI-CC」
炉台/鉄板
炉壁/レンガタイル
役割/主暖房、料理
使い方/朝起きたら着火  
使用期間/11月上旬〜4月上旬  
煙突掃除/年に1回(業者に依頼)
◆薪のこと  
ひと冬あたりの使用量/約10㎥  
使用樹種/リンゴ材、サクランボ材 など  
薪の調達方法/主に近隣の果樹農家で出た剪定木や伐採木

PLAN

「料理にも使いたい」という奥さんの要望をふまえ、 薪ストーブはキッチンから目が届いてアクセスしやすく、 個室以外の空間の暖房としても効果的なLDK空間の中央に設置した。

外に広がる田園風景と冬の陽射しをたっぷり採り込むリビング・ダイニングの大きな窓には、ペアガラスの断熱サッシを採用。薪ストーブの暖気も逃しにくい
間取りのポイント①:外に広がる田園風景と冬の陽射しをたっぷり採り込むリビング・ダイニングの大きな窓には、ペアガラスの断熱サッシを採用。薪ストーブの暖気も逃しにくい
薪ストーブの熱が1階全体に行き渡るよう、LDKと廊下はダイレクトにつながる設計に。一方で、階段の入り口には造作の断熱ドアを設け、2階の冷気を遮断
間取りのポイント②:薪ストーブの熱が1階全体に行き渡るよう、LDKと廊下はダイレクトにつながる設計に。一方で、階段の入り口には造作の断熱ドアを設け、2階の冷気を遮断

owner’s voice

コンロのように使えるストーブトップは、大きめの鍋を置いてもゆとりのある広さ
コンロのように使えるストーブトップは、大きめの鍋を置いてもゆとりのある広さ

使い勝手の良さとインテリア性を兼ね備えたデザインに加え、クッキングストーブとしても使えることがアグニを選んだ大きな決め手になりました。薪ストーブの設置場所も絶妙で、キッチンから煮炊きの様子がよく見えます。料理をするのに安心ですし、とても効率がいいですね。薪ストーブに火を入れる季節にはストーブトップに鍋をかけて、おでんやカレー、小豆、マーマレードなどをゆっくりと煮込むのが日課になりました。

去年から畑で実ったブドウを使って、ナチュールワインの醸造を始めました。薪火を眺めながら、薪ストーブで仕込んだ料理と自家製のワインをゆっくりと楽しむ。その時間を思い描くだけで、冬の訪れが待ち遠しくなります。(奥さん談)

 


 

会社情報
(有)ビオプラス西條デザイン
ビオプラスのBio(ビオ)は、体と健康にやさしいオーガニックな自然派商品の意味。選びぬいた自然素材を使い、人も地球も元気になるナチュラルなライフスタイルを目指しています。その点で考えるのは、家のことだけではありません。庭や菜園、寒さや雪対策、エネルギー循環など、家を取り巻くさまざまなものに心を配り、ご家族の暮らし全体をデザインします。「安心」を追い求めてかたちづくられた、ビオプラスの自然派住宅は、構造の見えないところまで素材にこだわり、暮らしに寄り添う設計と丁寧な手仕事で、肌に心地よい住まいです。
対応エリア
北海道、道央、道南

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