薪ストーブを中心に家を設計。薪火に憩い楽しむ家族の時間

公開日:2025.8.19 最終更新日時:2025.8.18

安心して、心地よく。薪ストーブとともにある日々を応援します。

東川町・Kさん宅
家族構成/夫婦40代、子ども1人
薪ストーブ/[HWAM]3630
設計・施工/アーケン(株)

旭川市でアパート暮らしをしていたKさんご夫妻が、ご主人が生まれ育った東川町に帰郷したのは2年前のこと。町内の自然豊かなエリアに土地を見つけ、新たな住まいを構えました。

新居で叶えたかったのは、薪ストーブのある暮らしです。「父の生家に薪ストーブがあり、そこで手間をかける楽しさや炎がもたらす豊かさを知り、ずっと憧れていました」と、Kさんは語ります。

シラカバが自生する緑豊かな敷地に立つKさん宅。ダイナミックな片流れ屋根とカラマツ材を用いた外壁が人の目を引く
シラカバが自生する緑豊かな敷地に立つKさん宅。ダイナミックな片流れ屋根とカラマツ材を用いた外壁が人の目を引く
オールステンレスの対面キッチンが、木をふんだんに用いた空間のアクセントに。天井の高低差が空間に奥行き感を与える
オールステンレスの対面キッチンが、木をふんだんに用いた空間のアクセントに。天井の高低差が空間に奥行き感を与える
キッチンの背面収納をダイニングの端まで伸ばし、長尺で大容量の収納を造作。横長の窓が外の緑を切り取って、自然の心地よさを室内に呼び込む
キッチンの背面収納をダイニングの端まで伸ばし、長尺で大容量の収納を造作。横長の窓が外の緑を切り取って、自然の心地よさを室内に呼び込む
木質感あふれるLDKとは対照的に、ユーティリティは白を基調としたデザイン。水まわりは機能を一直線上に配して、シンプルで使いやすい家事動線としている
木質感あふれるLDKとは対照的に、ユーティリティは白を基調としたデザイン。水まわりは機能を一直線上に配して、シンプルで使いやすい家事動線としている

家づくりの依頼先に選んだのは、東川町に拠点を置くアーケンです。親族が専属大工として勤めているという縁もありましたが、「最終的には、意匠性の高さと薪ストーブの豊富な施工実績が決め手になりました」といいます。

プランニングの要は、もちろん薪ストーブ。採用した機種は、円筒形の美しいフォルムや、三方向から炎を眺められるガラス面が特長的なデンマーク製のワム「3630」です。

シンプルで美しいフォルムが人気の機種。離隔距離を確保できれば炉壁が不要で、窓の前に置いても美観を損ねない
シンプルで美しいフォルムが人気の機種。離隔距離を確保できれば炉壁が不要で、窓の前に置いても美観を損ねない
燃焼室の下は炉と完全に分離されていて熱も伝わらないため、ガラス掃除用のペーパータオルなどが収納できる
燃焼室の下は炉と完全に分離されていて熱も伝わらないため、ガラス掃除用のペーパータオルなどが収納できる

設置場所は薪動線を考慮して、豊かな自然の風景を望む大きな窓がある玄関土間にしました。リビングの床は、ベンチのように腰かけて炎を楽しめるよう高めに設計。土間とひと続きにデザインされたLDKは、どこからでも炎の揺らめきを感じられる開放的な空間です。

Kさん宅は、薪ストーブが主暖房。薪ストーブの熱はサーキュレーターを用いて効率的に家全体に循環させており、LDKと水まわりを配した1階から、渡り廊下のある大きな吹き抜けを介して2階の各部屋へも行き渡ります。

側面からでも薪ストーブの炎が見えるのは、3方向に窓がある「3630」ならでは。階段のアイアンとも意匠的に調和している
側面からでも薪ストーブの炎が見えるのは、3方向に窓がある「3630」ならでは。階段のアイアンとも意匠的に調和している
吹き抜けを真っすぐに伸びる煙突。大きな室内窓の向こうに見えるのは、レザークラフトを趣味とする奥さんのアトリエ
吹き抜けを真っすぐに伸びる煙突。大きな室内窓の向こうに見えるのは、レザークラフトを趣味とする奥さんのアトリエ
LDKのどこからでも見える位置に薪ストーブを設置。階段やリビングの床など、家族それぞれがお気に入りの場所に腰を下ろし、炎を囲む
LDKのどこからでも見える位置に薪ストーブを設置。階段やリビングの床など、家族それぞれがお気に入りの場所に腰を下ろし、炎を囲む

使い勝手、暖かさ、炎のある日常……。薪ストーブライフに欠かせない要素がすべてそろった快適な住まいで、まもなく3度目の冬を迎えるKさんご一家。オフシーズン中は煙突掃除を依頼したり、薪づくりに励んだりと来たる冬に備えながら、炎を眺める冬の時間を心待ちにしています。

オフシーズン中は、先々に備えて薪づくりに精を出すKさん。広い敷地で薪割りをし、たくさんの薪を積んで乾燥させている
オフシーズン中は、先々に備えて薪づくりに精を出すKさん。広い敷地で薪割りをし、たくさんの薪を積んで乾燥させている
階段から見下ろすと玄関土間と薪ストーブがよく見える。土間床は汚れがあまり気にならず、木くずや灰の片付けもしやすい
階段から見下ろすと玄関土間と薪ストーブがよく見える。土間床は汚れがあまり気にならず、木くずや灰の片付けもしやすい

DATA

◆家のこと  
構造規模/木造・2階建て  
延床面積/116.75㎡(約35坪)
◆薪ストーブのこと
機種/ワム「3630」  
炉台/コンクリート土間  
炉壁/なし  
役割/主暖房  
使い方/朝起きたら着火し、帰宅後に再度火を入れる  
使用期間/11月~4月  
煙突掃除/1シーズンに1回
◆薪のこと  
ひと冬あたりの使用量/約5㎥  
使用樹種/ナラ材 など  
薪の調達方法/祖母が所有する森の木で自作、業者から購入

PLAN

薪ストーブの使いやすさと楽しみやすさ、 暖房としての機能などをトータルに考えた、薪ストーブが中心のプランニング。

雪や雨風をしのげる玄関ポーチの一角に一定量の薪をストック。大雪の日でも手軽に室内へ薪を搬入できる
間取りのポイント①:雪や雨風をしのげる玄関ポーチの一角に一定量の薪をストック。大雪の日でも手軽に室内へ薪を搬入できる
間取りのポイント②:各部屋を結ぶ渡り廊下を設けた吹き抜けを介して、薪ストーブの熱が2階まで行き渡る
間取りのポイント②:各部屋を結ぶ渡り廊下を設けた吹き抜けを介して、薪ストーブの熱が2階まで行き渡る

owner’s voice

小割りにした長さの短い薪は焚き付けに使用。整理整頓が得意な奥さんが、取っ手付きのオーバル型のバケツにきれいに並べてストックしている
小割りにした長さの短い薪は焚き付けに使用。整理整頓が得意な奥さんが、取っ手付きのオーバル型のバケツにきれいに並べてストックしている

シーズン中に使用する薪は、だいたい5立米ほど。薪の半分は祖母が所有する森で伐採した木で自作し、半分は町内の業者から購入しています。薪づくりは苦にならない程度にとどめることで、ストレスなく楽しむことができています。火を入れるタイミングは、起床時と帰宅時の1日2回。住宅性能の高さも相まって、薪を次々とくべなくても、室内は終日快適な暖かさを保っています。

リビングのソファに腰を下ろし、揺らめく炎を眺めるのが至福のひととき。当初は薪ストーブの導入に不安を感じていた妻も、今ではすっかり使いこなせるようになり、息子も率先して薪運びを手伝ってくれるなど、家族で薪ストーブライフを満喫しています。オフシーズン中も薪を割ったり、乾燥させたり、ストーブの掃除をしたりと、冬の支度も生活の楽しみになっています。(Kさん談)

 


 

会社情報
社名 アーケン 株式会社
URL https://www.ahken.jp

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