スタイルある暮らしを叶える[造作編]
家づくりの最前線で活躍するプロを訪ね、これからの家づくりにあらかじめ知っておきたい考え方や基礎知識をうかがう取材シリーズ。
目次
今回ご登場いただくのは、札幌市に拠点を置くケント・ハウス(株)建築プロデュース部・ 設計課の三本木佳那さん。デザイン性と機能性を兼ね備えた住まいを実現するポイントの一つとなる「造作」について、これまでの実績やモデルハウスのケーススタディとして語っていただきました。

建築プロデュース部 設計課
三本木 佳那さん 札幌市出身。2011年、北海学園大学建築学科を卒業後、新卒でケント・ハウスに入社。一級建築士。建築プロデューサーとして社内のスペシャリストを取りまとめ、住まい手のニーズを最大限に反映した造作プランを作成し、お客様に提案している
オリジナリティーを追求し、繊細に空間全体をデザイン
1993年の創業以来、ケント・ハウスは、「時を重ねるほどに価値と愛着が増す家づくり」を追求し、設計からアフターサービスまで一貫して自社で行ってきました。
その要で在り続けているのが、多種多様な造作です。キッチンや水まわり、収納、階段や建具、家具、さらに庭や外構に至るまで、住まい手の好みや暮らし方、敷地条件に合わせたオリジナル。その割合は、住まい全体の9割にも及びます。空間にすっきりと納まる造作の数々が、デザイン性と機能性を兼ね備えた住まいを実現します。
造作プランは空間設計の段階から、建築プロデューサーをはじめとするスペシャリストが集結し、住まい手と対話を重ねながら、要望の一つひとつを形にしていきます。近年はSNSの普及によって「空間全体にこだわりたい」という住まい手が増え、造作アイテムも多様化しています。
例えば、時計やジュエリーのコレクションを眺めて楽しめる収納家具を設えたブティックのようなウォークインクローゼット、お掃除ロボットをスマートかつ機能的に格納できる収納、日常空間に溶け込むデザインのお仏壇など…。そうしたパーソナルな要望に応えられる自由度の高い造作は、自社設計ならではの強みです。プラン時には1/100のスケールで図面に家具や造作を落とし込み、サイズ感を確認。併せて、品質やコストバランスを社内チームで調整し、最善のプランをご提案しています。
長く快適に愛着を持って、使い続けられる造作キッチン
私たちが造作プランを考える際に最も大切にしているのは、時代を超えて愛される普遍的なデザインと機能性や耐久性。その象徴ともいえるのがキッチンです。ケント・ハウスといえば、アイランド型にダイニングテーブルを組み合わせたキッチンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。このスタイルは、21年前に建てたモデルハウスでご提案して以来、長らく愛される基本形の一つになっています。
日々の営みの中枢であるダイニング・キッチンを住まいの中心に設え、そこに取り入れる造作家具には、木目の美しい天然木の突板を創業当時から使い続けてきました。これは質のいい空間を誂えるための、ケント・ハウスの変わらぬこだわりです。
私たちは美しく使いやすいキッチンを実現するため、統一感のある背面収納やパントリーの併設など、ゆとりを持たせた収納計画をご提案しています。また、天板には耐久性と清掃性、質感に優れた人工大理石・セラミック・クォーツ素材などを採用。長期間使用していく中で万が一、天板にヒビや割れが生じても、傷んだ天板だけを交換できるよう設計し、大がかりな工事をしなくても更新がしやすいつくりを心がけています。
このほかにも、キッチンや壁付け収納の高さ、収納ボリューム、コンセントの数と位置など、住まい手の身長や暮らし方によって細部まで配慮が求められます。たくさんの要望に応えながら、コストバランスの良いキッチンを実現できるのが造作の大きな魅力です。
ライフサイクルの変化に寄り添う永遠のスタンダード
家は住まうご家族の生活、人生そのものです。新築時にランドセルを背負っていたお子さんも巣立ち、やがて夫婦だけの静かな暮らしへと移ろいます。私たちは、住まい手のライフサイクルの変化にもロングスパンで思いを寄せながら、造作プランを計画しています。
時代のトレンドに左右されないシンプルで普遍的なデザインと質のいい素材、変化を受け入れる余白を心がけることも、一緒につくり上げた住まいをいつまでも愛していただくために欠かせない要素です。ケント・ハウスで家づくりを行ったお宅からこれまで大がかりなリフォームのご相談が少ないのも、飽きのこない色やデザインで仕上げた数々の造作が、暮らしの変化に寄り添い続けている証だと考えています。
札幌市豊平区にあるモデルハウスは、私たちの設計思想を凝縮した一棟。このモデルハウスのために調色したオリジナルカラーで塗装した収納扉や建具・家具・階段、パントリーを併設するオープンキッチン、ソフトクローズの収納扉や引き出しなど、質感の良さとメンテナンスのしやすさを考慮した素材選びで、室内のほぼすべてに造作を採用しています。また大開口でLDKとつながる中庭には、自然を呼び込む要素としての水盤や暖炉を設えるなど、屋外にも造作を用いて一体的な空間を演出しています。私たちは造作ならではの魅力と、時を経ても鮮度を失わない空間デザインを、これからもご提案していきたいと思っています。
Case.1 KENT COLLECTION’2015
素材の魅力も生かしながら全体の統一感を意識して設えられた造作は、それぞれの空間を有機的につなぐ役割も果たし、室内の各空間が一体となって流れるような連続性を持つデザインの一助となる。ケント・ハウスのモデルハウスは、リビングやダイニング・キッチンをはじめとしたパブリックゾーンのみならず、個室にも造作をふんだんに取り入れている。空間にフィットするつくり付け家具ならではの機能性の高さは、日々の暮らしやすさに直接的に影響し、より豊かな暮らしの実現につながる。
Case.2 お客様の住まい
上/キッチン天板から立体的な曲線を描くダイニングテーブルは人工大理石を現場で一体成形した滑らかな造形。家電収納を兼ねるカップボードの大型ミラーはスライド式。
中/腰かけながら衣服をセレクトできるようゆったりと開放的に設えたウォークインクローゼットに、ハンガーや引き出しタイプの収納を造作。奥には引き出し付き造作デスクも設置。
下/シームレスボウルを採用したフロートタイプの洗面化粧台は、高い清掃性がポイント。メイクや身支度もしやすい全身鏡を完備。
- ケント・ハウス株式会社
- ケント・ハウスの家づくりは、コンダクターとなる建築プロデューサーがお客様の夢をトータルに把握。プランナーが快適な住空間をつくり、デザイン・構造・法規のスペシャリストたちが完成形へと進化させます。建物のすべてを自社施工することにより、設計・監理だけでは得られない施工力・アフターサービス・コストパフォーマンスの経験技術が進化を遂げます。それぞれのスペシャリストたちが責任を持って管理・施工するというこのシステムこそが品質のムラをなくし、完成度の高い住宅を世に送り出す「本物の家づくり」になると確信しています。
- 対応エリア
- 札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、苫小牧市

