暮らしを楽しむ工夫がいっぱい。機能美を宿した2階リビングの家

公開日:2025.10.22 最終更新日時:2025.10.17

Replanが取材した、福島の素敵な住まいづくりの話をご紹介します。 空間工房D.O.A / 福島県郡山市・Fさん宅 夫婦40代、子ども2人


こんな間取りにしたい。
あんなインテリアの部屋に暮らしたい。
この設備を使いたい。
あれこれ夢が膨らむ家づくりですが
その実現には「誰と建てるか」がとても重要です。

今回訪ねた住まいに暮らすFさんは
空間工房D.O.Aのインテリアーコーディネーター。

建築士の資格も持つ彼女が、
自らの知識と経験、センスを生かして
つくり上げた住まいを通して
同社の家づくりの魅力を探りました。

目指したのは、普遍的な空間の中に
自分の「好き」を盛り込んだ家

郡山市に立つ外壁のガルバリウムが印象的な家は、同市を拠点とする工務店の空間工房D.O.Aでインテリアコーディネーターを務めるFさんの自邸です。これまでたくさんのお客様の相談に乗って家づくりに携わってきた経験を生かし、「流行に左右されない、自分たちらしい家」をテーマに、間取りや内装を検討しました。

敷地は住宅密集地の中にあります。そこで採光やプライバシーを確保できるよう、2階にLDKを配置し、極力間仕切りをなくしたワンルームの空間に。階段を上るとダイニング・キッチン、その先にはダイナミックな勾配天井のリビングが現れ、開放感も抜群です。

グレーのガルバリウム鋼板の外壁材がシックな印象を与えるFさんの住まい。ご主人の希望で建物の前にカーポートを設けたことで、冬場の除雪や除霜の負担がなくなり、出勤時のストレスが減ったそう。カーポートの玄関側には板塀を組み合わせて、建物と一体感を持たせた
グレーのガルバリウム鋼板の外壁材がシックな印象を与えるFさんの住まい。ご主人の希望で建物の前にカーポートを設けたことで、冬場の除雪や除霜の負担がなくなり、出勤時のストレスが減ったそう
カーポートの玄関側には板塀を組み合わせて、建物と一体感を持たせた
カーポートの玄関側には板塀を組み合わせて、建物と一体感を持たせた
2階に配したリビングは、屋根なりの勾配天井が開放的をより一層引き立たせる
2階に配したリビングは、屋根なりの勾配天井が開放感をより一層引き立たせる

リビングの北側には子ども部屋、上部には吹き抜けでリビングとつながるロフト空間を設けました。「コロナ禍のアパート生活の経験から、家族の気配を感じながらも適度な距離を保てる家にしたいという希望がありました。2階LDKにした結果、ゆったりとした空間が実現できて良かったです」。

Fさんは、内装仕上げの素材も慎重に吟味。床は色味のコントラストが少ないアッシュ材、壁と天井は塗装のようなマットな質感のエコフリースを採用しました。

住空間を彩るのは、お気に入りの家具や調度品、照明たちです。「どんなインテリアのテイストでも合わせやすいよう室内は木と白でプレーンに構成し、置き家具を中心にコーディネートしました。その時々の気分や暮らしに合わせて、気軽に模様替えできるのが魅力です」。

アッシュ材の床とエコフリース仕上げの壁・天井の質感が心地よさを感じさせるLDK空間。天井高の違いによってリビングの開放感が増す
階段を上ると眼の前には、アッシュ材の床とエコフリース仕上げの壁・天井の質感が心地よさを感じさせるLDK空間が広がる。天井高の違いによってリビングの開放感が増す

苦手意識があった料理を
前向きに楽しめる工夫を随所に反映

「料理が好きではなかったからこそ前向きになれる場所にしたい」。そんな思いから、Fさんが特にこだわったのはキッチンです。

家の中で最も陽当たりの良い場所を割り当てて、セパレートタイプを採用。シンク側は回遊できるアイランド、調理台は壁付けにしてレンジフードの圧迫感をなくし、スムーズな動線と開放感を両立させました。「夫と二人でも作業しやすいですし、料理へのモチベーションも高まって今ではキッチンが一番好きな場所になりました。空間の持つ力に驚いています」と笑顔がこぼれます。

アイランドキッチンと一体的にレイアウトされたダイニングスペース。レンジフードで空間を分断しないことで、空間に一体感が生まれている
アイランドキッチンと一体的にレイアウトされたダイニングスペース。レンジフードで空間を分断しないことで、空間に一体感が生まれている
Fさんが「シンプルでお気に入り」と話す、明るくて気持ちがいいキッチン。複数人で立っても使いやすいゆったりとした広さも魅力
Fさんが「シンプルでお気に入り」と話す、明るくて気持ちがいいキッチン。複数人で立っても使いやすいゆったりとした広さも魅力
キッチンの壁には細長い縦長の採光窓を設けた。飾り棚は「見せる収納」。デザイン性の高いアイテムはインテリアとしても効果的
キッチンの壁には細長い縦長の採光窓を設けた。飾り棚は「見せる収納」。デザイン性の高いアイテムはインテリアとしても効果的
北面にある階段室の窓が抜け感を生んで、空間をより広く感じさせる。勉強机の隣は、収納兼情報ステーション。ロフトへの階段下を有効利用した
北面にある階段室の窓が抜け感を生んで、空間をより広く感じさせる。勉強机の隣は、収納兼情報ステーション。ロフトへの階段下を有効利用した
子ども部屋の裏側にあたるリビングの一角には勉強机を置いて、宿題などに取り組みやすい環境をつくっている
子ども部屋の裏側にあたるリビングの一角には勉強机を置いて、宿題などに取り組みやすい環境をつくっている

動線や湿気といった洗濯家事の不便さや不満も、ユーティリティの近くに外干しできるテラスを配置して解決。深い軒の出とオーバーハングした壁を設け、天気や周囲の視線を気にせずに洗濯物を干しやすい環境を整えました。

1階廊下の突き当たりの窓からはテラスへ出られる。この動線により、洗濯して干すという一連の作業の効率が良くなった
1階廊下の突き当たりの窓からはテラスへ出られる。この動線により、洗濯して干すという一連の作業の効率が良くなった
1階のユーティリティとは別に、LDKのある2階にも造作の洗面台を設置。帰宅後の手洗いもスムーズに行える
1階のユーティリティとは別に、LDKのある2階にも造作の洗面台を設置。帰宅後の手洗いもスムーズに行える

空間工房D.O.Aの家は、住宅性能の高さも折り紙付きです。空調・換気は同社オリジナルのダクト式暖冷房と第一種換気システムを組み合わせた「DECAS(デカス)」を採用し、天井裏のエアコン1台のみで制御する仕組み。

高断熱・高気密施工も相まって、家の中の温度ムラも少なく、一年中カラッと快適です。「光熱費はアパート時代より少ないぐらい。高性能な家の心地よさや燃費の良さを実感しています」。

自身の家づくりを経て、お客様へのアドバイスの幅も広がったというFさん。この家は、空間工房D.O.Aの家づくりの魅力をスタッフ自らが伝える、最高のモデルハウスともいえそうです。

Owner’s Favorites

Favorite Point 01
多目的に使える和室

玄関の正面に配した和室は、来客を気楽にもてなしやすく多目的に使える部屋。「子どもたちに、昔ながらの日本間の伝統文化を伝えたい」との思いもあり、内装は和紙の障子、い草の畳、ふすまなど本物の素材を用いた仕上げにこだわった。また、坪庭を眺められる地窓も設置。将来、夫婦二人暮らしになった際には、今の和室を寝室に、寝室まわりをLDKに改装し、平屋的な生活ができるプランに変更することも視野に入れている。

Favorite Point 02
出入りしやすいロフト空間

リビングと子ども部屋の間に設けた階段を上ると、こもり感が心地よいロフト空間が広がる。ご主人のマンガスペースの予定だったライブラリーは、今は子どもたちの遊び場に。屋根裏収納は十分な広さを確保。上り口をはしごではなく階段にしたことで、物の出し入れがしやすい“使える”空間にできた。階段脇の壁は子どもたちの絵を飾れるよう、シナベニヤを採用。階段下も情報ステーションとして活用するなど、空間を余すことなく使っている。

Favorite Point 03
やわらかな明かりの計画

プレーンなデザインを意識したというFさん宅。ダウンライトは極力減らし、スタンドライトやペンダントライトなどを用いて、やわらかな明かり空間をつくっている。例えば寝室は、ヘッドボード側のエコカラットの壁に間接照明を埋め込んで、心安らぐやわらかな光が魅力の空間を演出。プロの視点で検討された照明計画とFさんの審美眼で選ばれた数々の灯具が、一日を通して気持ちよく暮らせる空間を実現している。

■建築データ
□構造規模:木造(在来工法)・2階建て
□延床面積:119.65㎡(約36坪)
□主な外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板
外壁/ガルバリウム鋼板・湿式塗壁・板張
建具/玄関:木製断熱ドア、窓:木製サッシ・樹脂サッシ
□主な内部仕上げ
床/複合フローリング
壁・天井/エコフリース
□断熱仕様 充填断熱+付加断熱
基礎/ビーズ法ポリスチレンフォーム90㎜
壁/ビーズ法ポリスチレンフォーム135㎜+高性能グラスウール20㎏105㎜
屋根/ウレタンフォーム61㎜+高性能グラスウール20㎏230㎜
□性能数値 UA値:0.23W/㎡K
□暖冷房方式:DOAオリジナル暖冷房

■工事期間
令和2年8月〜令和3年3月(約7ヵ月)

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