料理好き家族のためのコンパクト住宅

公開日:2025.11.12 最終更新日時:2025.11.11

Replanが取材した、北海道・東北の素敵な住まいづくりの話をご紹介します。
STUDIO DESSERT(株) / 仙台市・Kさん宅 夫婦、子ども1人


自然素材に包まれた小さな空間に
夫婦のこだわりを存分に散りばめて

結婚を機に仙台市内の賃貸アパートで暮らし始めたKさんご夫妻。コロナが落ち着き、周りも家を建て始める中で、マイホームへの憧れが増していったといいます。「自然を身近に感じながら暮らしたい」というKさんの希望を受け、泉ヶ岳にもほど近い仙台市北部の造成地の一角にある土地を入手しました。

自然豊かな立地のKさん宅。オフホワイトのガルバリウム鋼板の外観に、玄関まわりの木がアクセントを添える。南側にはパッシブ設計の要となる大開口をレイアウト。冬はダイニング深くまで日光を届け、夏は庇で陽射しを遮る
自然豊かな立地のKさん宅。オフホワイトのガルバリウム鋼板の外観に、玄関まわりの木がアクセントを添える。南側にはパッシブ設計の要となる大開口をレイアウト。冬はダイニング深くまで日光を届け、夏は庇で陽射しを遮る
見晴らしのいい北側に設けられたテラス。夏は日陰になるのでアウトドアリビングとしても最適。木を交互に編むように施工する、通称「うねうねフェンス」も造作。外からの視線をカットし、内側からは外の景色が見える高さに設定されている
見晴らしのいい北側に設けられたテラス。夏は日陰になるのでアウトドアリビングとしても最適。木を交互に編むように施工する、通称「うねうねフェンス」も造作。外からの視線をカットし、内側からは外の景色が見える高さに設定されている

設計は、オリジナル家具製作から住宅・店舗の設計まで手がける仙台市の「STUDIO DESSERT」が担当しました。Kさんは以前、同社に家具職人として勤めていたことがあり、当時から自然素材の使い方や造作の美しさ、間取りの自由度の高さなどに惹かれていたそう。「任せて安心という確かな信頼感もありました」と振り返ります。参考までに他の設計事務所にも話を聞いたものの、最終的には迷わず依頼を決めました。

玄関を入ると、視線の先には「永田格子」と通称される建具をはめ込んだ小窓が。格子から漏れる光の変化も心地よい
玄関を入ると、視線の先には「永田格子」と通称される建具をはめ込んだ小窓が。格子から漏れる光の変化も心地よい
吹き抜けを通してつながる上下階。寝室も内窓を介して吹き抜けと緩やかにつながり、心地よい距離感を生み出している。2階ホール奥のスタディコーナーは、顔を上げれば窓越しに外の風景が目に入り、リフレッシュできる
吹き抜けを通してつながる上下階。寝室も内窓を介して吹き抜けと緩やかにつながり、心地よい距離感を生み出している。2階ホール奥のスタディコーナーは、顔を上げれば窓越しに外の風景が目に入り、リフレッシュできる

お二人が要望したのは、自然素材をベースに、造作もふんだんに盛り込んだ「STUDIO DESSERT」らしい住まい。2025年春、24坪というコンパクトな空間の中に、こだわりを詰め込んだ新居が完成しました。

2階南側に設けられたキャットウォークは、窓拭きや外物干しのためのもの。構造の補強も兼ねている
2階南側に設けられたキャットウォークは、窓拭きや外物干しのためのもの。構造の補強も兼ねている
コンパクトながらも、窓のおかげで開放感のある洗濯・脱衣室兼トイレ。跳ね上げ式の作業台の下にトイレを配置してスペースを節約する工夫も
コンパクトながらも、窓のおかげで開放感のある洗濯・脱衣室兼トイレ。跳ね上げ式の作業台の下にトイレを配置してスペースを節約する工夫も

広く見せる工夫が盛りだくさん
のびやかな暮らしが叶う快適空間

室内に足を踏み入れると、無垢の床と塗り壁が織りなすナチュラルな空間が広がります。1階は洗面・トイレを除いて仕切りのないワンルーム構成で、LDKは約21帖。吹き抜けと梁を見せた天井、南北の大開口が開放感を生み出し、おおらかな暮らしを叶えてくれます。

階段の手すりには、グレージュに塗装した細いアイアンを施工。意匠性も高く、軽やかに空間に溶け込んでいる
階段の手すりには、グレージュに塗装した細いアイアンを施工。意匠性も高く、軽やかに空間に溶け込んでいる
暖冷房用のエアコンは1階と2階に1台ずつ設置。1階は階段下に埋め込まれており、基礎を通って床のガラリから温風を送り込む「床下エアコン」
暖冷房用のエアコンは1階と2階に1台ずつ設置。1階は階段下に埋め込まれており、基礎を通って床のガラリから温風を送り込む「床下エアコン」

このLDKの中で存在感を放つのが、料理好きなKさんがこだわった長さ3.5mmの造作アイランドキッチン。大きな魚をさばける広いシンクと作業スペースを備えており、武骨なステンレスの天板と黒の背板が空間を引き締めます。「家族や遊びに来た友人たちと会話を楽しみながら料理ができるのが嬉しいです」とKさん。北側の全開口サッシの先に広がるテラスでは、豊かな森を眺めながらバーベキューなどを楽しめるのも魅力です。

この家の顔ともいえる3.5m幅の造作アイランドキッチン。細部に至るまでKさんとSTUDIO DESSERTのこだわりが息づいている
この家の顔ともいえる3.5m幅の造作アイランドキッチン。細部に至るまでKさんとSTUDIO DESSERTのこだわりが息づいている
室内の随所に家具づくりで培ったノウハウとセンスを生かした造作が設えられている
室内の随所に家具づくりで培ったノウハウとセンスを生かした造作が設えられている

断熱・気密などの住宅性能面や暖冷房設備はSTUDIO DESSERTの標準仕様を採用しており、「アパート時代からは考えられないぐらい快適です」とお二人。季節の移ろいを感じながら、心地よい暮らしを満喫しています。

郊外ならではのおおらかな暮らしを叶えた室内。テラスに直結する北側の大開口は景色を楽しむためのもので、南側の窓は輻射熱を取り込むためのものと、用途を明確に分けて窓を配置している
郊外ならではのおおらかな暮らしを叶えた室内。テラスに直結する北側の大開口は景色を楽しむためのもので、南側の窓は輻射熱を取り込むためのものと、用途を明確に分けて窓を配置している

 

デザイン性の高さや細かいつくり込みは、家具工房を持つ「STUDIO DESSERT」ならでは。壁はスタッフの皆さんにも手伝っていただきながら自分で塗りました。自らの手仕事の跡が残り、住まいへの愛着が日々深まっています。(Kさん談)

 

周囲を気にせずゆったりと暮らせる家になりました。2階に水まわりをまとめたのも大正解。子どもの入浴から寝かしつけがスムーズに行えます。家中どこを見てもかわいくて、テンションが上がりますね。(奥さん談)

会社情報
社名 STUDIO DESSERT 株式会社
URL https://dessert-furniture.com

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