キッチンの奥には奥さんが手芸を楽しむワークスペースを設置。以前の家はここに大きな押し入れがあったそう

平屋の暮らしへの憧れを、空き家となっていた中古住宅のリノベーションで実現したご家族。薪ストーブが置かれた土間空間から連続するLDK、床レベルを上げた間仕切り壁が囲む子ども部屋など、限られた空間の中でパブリックとプライベートをうまく切り分けた空間設計が魅力的です。既存の小屋組みを現しにした天井がアクセントとなり、唯一無二の住まいとなりました。

◎家族構成/夫婦30代、子ども2人
◎構造規模/戸建て(築29年)
◎設計/小坂裕幸建築設計事務所
◎施工/(有)田中建築

現しの天井と白い余白という新旧が美しく同居する空間。断熱を考慮して外周をふかしている

将来的には室内に間仕切りを設け、子ども部屋を2つにすることも可能。キッチン側、土間廊下側と、出入り口も2つ設けている

写真が趣味というKさんのための書斎や、広々と使えるように壁付けにしたナラ材の造作キッチンなど、限られたスペースをやりくりしながら空間を豊かに使う工夫がそこここに。室内に設けた南北2つの庭をつなぐ通り土間は、軒下に保管している薪を運んだり、春からはじめる畑仕事にも大活躍しそう。大胆な間取り変更が、空き家として眠っていた既存住宅を生き生きと蘇らせる。
裏手の階段に置かれた薪をストーブまで運ぶ動線は、土間廊下でつながっている。「薪ストーブのある暮らしは八雲町に引っ越してからやってみたかったことです。毎朝、誰よりも早く起きて、薪をくべています」とKさん
 
高低差のある土地に建つKさん宅。裏口の扉から出ると、本来は1階である地下室にたどり着く。「来客は正面玄関を、私たち家族は車を停めているこの裏口を使っているんです」と奥さん。春からは裏庭で畑も始める予定