窓の外の自然とダイレクトにつながる

長年、野菜や花を育てることを趣味にしていたご夫妻の希望は「もっと土に近い暮らし」。菜園を囲むように緩やかな曲線を描く母屋と茶室のある離れは通路を挟んで建ち、地域の景観にすんなり溶け込んでいます。フラットな屋上のある堅牢なRC造は、積もった雪が断熱材代わりになり、冬も暖かく快適。夏には庇が陽射しを遮り、窓を開ければ涼しい風が吹き抜けます。日々季節の移り変わりを感じ、思い立ったらすぐ土いじりができる理想の環境が整いました。

◎家族構成/夫婦70代
◎構造規模/壁式RC造・平屋建て
◎設計/荒内要建築設計事務所
◎施工/丸喜(株)齋藤組

ワンフロアながら、グレーを基調とした落ち着いた雰囲気のリビングと、光あふれるダイニング・キッチン。美しい空間のコントラストが、暮らしにリズムをもたらす

本を読んだり、テレビを見てくつろげるリビングは、グレーの壁や天井の効果で程よい明るさ。窓の下は造りつけのベンチになっている
壁と天井はすべて消臭効果のあるホタテ貝殻の粉末を混ぜ込んだ漆喰。ダイニング・キッチンは真っ白かつ高い天井に窓から入る外光が回って明るい。キッチンは、ダイニング側から座るカウンターテーブルの高さに合わせて一段低くなっている
リビングのキッチン寄りの壁には、台所仕事をしながらでも会話や飲み物の受け渡しができる窓がある
寝室の天井高は2.2m。床はバリアフリー。壁面収納が充実しているため、ベッドとテレビ以外、物は置かれていない
バスルーム(洗面所)もバリアフリー。清潔感のある白いタイルとガラスで構成されている。大きな窓がリゾートホテルのバスルームを思わせる
やわらかな曲線で構成され、天窓からの明かりでほのかな陰影を演出する、むら染めのような壁が落ち着く茶室。帰郷した家族や友人・知人の宿泊部屋としても活用されている
離れは奥さん用の茶室と、Aさん用のトレーニングルームに分かれ、間に茶室の躙口へ続く露地がある
離れの屋根が斜めに切り立っているのは、トレーニングルームでゴルフの素振りをするのに必要な高さを確保するためと、茶室に雪で塞がれない天窓を設置するため
経年変化を演出するざらりとした表面の仕上げと、緩やかな曲線を生かした設計で、温かみのある表情を見せるRC造の家
庭に面したトリプルガラスの大きな木製サッシは特注。できるだけ枠が視界を妨げず、庭が一望できるようにした。軽量で、片手で簡単に開け閉めができる。床はチーク材。ミツロウで手入れがされており、ピカピカに