立地条件から導き出したのは、寄棟屋根の建物を上から斜めにカットしたような形の家。庭と海へ向けて開いた大きな窓が、内と外を融和的につなぐ

海が望める住宅街に立つ住まい。「庭にテントを張るなど、アウトドアを楽しめること」「海を望む景色を楽しみながらの生活」という要望のもと、外部環境を楽しめる工夫が凝らされています。25坪とコンパクトな室内は、庭に面する吹き抜けを介したワンルーム空間。1階のダイニング・キッチンの床は土間にして外とのつながりを持たせています。

◎家族構成/夫婦30代
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/ヤマシタ建築計画
◎施工/(有)協和ハウス

ダイニング・キッチンは庭に対して斜めに大きく開き、外からの視線を気にすることなくくつろげる。土間の一角に置いた薪ストーブは、冬の室内を暖めるとともに、日常の楽しみの一つ

室内は吹き抜けを介したワンルーム空間。キャンプ好きでアクティブなご夫妻のライフスタイルに合わせ、ダイニング・キッチンの床は玄関まわりと一続きのコンクリート土間仕上げとした
土間と、その奥の階段や水まわりへ続くフロアを区切る段差は、ダイニングのベンチとしても使える設計。木の素材感が空間を優しく包む
キッチンの作業台は省スペースな壁付けで、背面収納を兼ねた造作のカウンターは配膳にも重宝する。棚付きの広いパントリーを併設し、キッチンがすっきりと片付きやすい
階段下のデッドスペースを収納にするなど、設計の工夫で約25坪の限られた空間を有効活用。ご夫妻が気に入って選んだタイルは、キッチンと玄関の洗面台の2ヵ所に用いた。目地の色が異なると見た目の印象が変化する
階段下のデッドスペースを収納にするなど、設計の工夫で約25坪の限られた空間を有効活用。ご夫妻が気に入って選んだタイルは、キッチンと玄関の洗面台の2ヵ所に用いた。目地の色が異なると見た目の印象が変化する
階段を上がると正面の窓を介して、街並みとその先に広がる海を一望できる。北面道路側に開けたテラスの開口で風景がつながり、よりパノラミックな視界を実現している
吹き抜けに面して、3人がゆとりを持って並べる長さのカウンターを造作。現在はクローゼットのように使っているスペースは、間仕切り壁を立てれば個室のようにも使える
高さを抑えた勾配天井が、心地よいこもり感を生むラウンジ。窓の先に続くバルコニーは実用性を重視して、一部に雨雪や陽射しを遮ることができる屋根を架け、ベンチも設けた
北面道路側からは屋内が見えにくいよう配慮。壁面と一体化するように出入り口を設けた。北面の眺望を取り込むための屋根部分の開口が、外観に個性を添える
庭にテントを張って、家でもキャンプを楽しめるよう「家はコンパクトに、庭を広く確保したい」というAさんご夫妻の要望を踏まえ、建物を敷地の西側に寄せて配置。木部の外壁材は道南スギで、山を背負う周囲の景観に調和している