間仕切り壁を取り払って空間を再構成することで、家族がそれぞれにくつろげる住まいを実現

美容師のSさんが独立を機に購入したのは、立地を優先的に考えて選んだ店舗付きの住宅。購入当初に最低限のリフォームを施して住みはじめたものの、「細かな間取りの狭小住宅は動線が悪く、冬に水が凍るくらい寒かった」ことから、暮らす部分を大幅にリノベーションすることに。限られた空間と設備を最大限に生かすため、スケルトン状態にしてから各生活空間をゾーン分けし、回遊できる動線としたワンルーム型プランに。さらに冷気が入る開口は塞ぐなどして断熱にも配慮しました。リノベーションによって、風通しも良く冬も快適に過ごせるようになった職住一体の住まいです。

◎家族構成/夫婦40代、子ども1人
◎構造規模/木造2階建て
◎設計/柏田淳建築設計事務所
◎施工/(株)西建

寝室とリビング・ダイニングの中間には、ご夫妻のワークスペースを造作。娘さんの勉強コーナーにも活用できる

構造上外すことができない柱と筋交いはそのままに、すっきりとした空間が広がる家族の団らんの場。天井で空間全体がつながっているので、別々の場所にいてもなんとなく家族の気配が感じられる

 

つい立て壁で囲んだこもれるキッチンは、奥さんのお気に入りの場所。作業台まわりは、省スペースと掃除のしやすさにこだわって造作した。寝室や水まわりにつながる動線で、家事効率も改善

キッチンの内側には、既存の柱を生かしながら大容量の収納棚を造作。ストック食材から食器までキッチンまわりのモノがすべて収まる

吹き抜けにしたダイニングは開放感たっぷり。床を取り払ったことで既存の鉄骨梁や採光窓が生きた
既存のロフトを半分の広さにし、テレビ裏に納戸を設けた

間仕切り壁を取り払って空間を再構成することで、3人家族と2匹の愛犬がそれぞれにくつろげる住まいを実現

照明のスイッチはすべて、トグルスイッチに。シンプルなデザインが、空間に映える

キッチンから寝室につながる廊下の左手には造作収納。壁面を有効活用して、収納が少ないという悩みを解消した。右側は、既存の設備を生かした水まわり
既存の和室スペースも取り込んでゆったりとしつらえた主寝室。将来的に、一部を仕切って子ども部屋として使うことも想定した
リズミカルな鉄骨階段が、1階の玄関から2階の居住スペースへと誘う。涼しい玄関の土間は、暑さが苦手な犬たちのお気に入りの寝床に
玄関ドアまわりにだけ手を入れ、外観は既存のまま。かつて玄関内にあった店舗への出入り口はふさぎ、生活空間と店舗は完全に分離した