「緑あふれる広々とした土地に家を建て、自然を身近に感じられる暮らしを楽しみたい」。理想の暮らしを実現するため、3年前に埼玉県から故郷、北海道へUターンしたKさん一家。その1年後、ご夫妻は南幌町のみどり野きた住まいるヴィレッジと出会いました。「緑豊かな田園風景に包まれたゆったりとした宅地、公園や小学校も近く、まさに思い描いたとおりの環境でした」。そう語る奥さんの目に留まったのが、武部建設と建築家、櫻井百子さんのコラボレーションで完成していた2棟の住まいでした。

設計/アトリエmomo
端正な木組みが印象的なKさん宅。「木を生かした空間にしたい」というご夫妻のご要望のもと、階段も木製にこだわり、手すりはヒバ、段板材は武部建設でストックしている道産のナラ、タモ、マカバ、カツラの4つの樹種を使い分けている
玄関はそのままLDKにつながる。開口から差し込む外光や吹き抜けが、くつろぎ空間に開放感と広がりを与える

土地探しと並行して依頼先を検討するなかで「木にこだわりがあって、扱いにも慣れており、薪ストーブを採用できる工務店がいい」と考えていました。そうした点でも武部建設はご夫妻の要望とぴったりマッチし、すぐに新築を依頼しました。「ヴィレッジの土地の仮押さえや購入などの手続きもスムーズにでき、コミュニティーの様子なども詳しく説明してくれたのも心強かったです」。プランづくりにあたって武部建設は、設計は建築家の櫻井さんに依頼することを提案。「櫻井さんのやわらかな雰囲気に、何でも気兼ねなく話せそうだと思いました」。

庭とアクセスしやすく、家族みんなで料理をするときに使い勝手がいいように、キッチンのシンクはカウンター横にレイアウトした
「家族みんなが使いやすく」と、造作キッチンは建具なしの見せる収納に。「家事スペースをキッチンに隣接して設けたおかげで、いつでもオープンな空間がすっきり見えて気持ちがいいです」。
土間の中央にレイアウトされた薪ストーブ。昼は大開口からの陽射し、朝晩は薪ストーブの炎が土間を暖めている

ご夫妻は宅地2区画を購入することを前提に、広い庭と一体となる住まいにしたいと考えていました。また、木の香りが漂う空間の中心に、家族で料理が楽しめるキッチンと薪ストーブをレイアウトすることを希望。武部建設は経年変化が美しい道産カラマツ材を主体に、香りと手触りの良いヒバを親柱に採用することを提案しました。「現場で大工さんが選び抜かれた材に丁寧な仕事を施していた姿も、印象的でした」。

2021年1月、カラマツ無垢材の構造現しで仕上げられた新居が完成。「朝、薪ストーブに火を入れるだけで、夜までその暖かさが保たれて暖かいんです」と、Kさんも北方型住宅2020の基準をクリアした確かな住宅性能に納得の様子です。

土間に蓄えられた熱とストーブの暖気は、吹き抜けから2階へも伝わる
階段を上ると、家族のプライベートエリア。2階には寝室のほか、パウダールームや収納式建具を備えたゲストルーム、フリースペースを備える。「造作収納は最低限にし、ライフスタイルの変化に合わせ、DIYでカスタマイズしていく楽しみも残してあります」。(奥さん)
吹き抜けのある土間からデッキ、庭へ動線が続き、外部空間と自然につながるリビング・ダイニングは、ご夫妻が願った「庭と暮らす家」のシンボル

ご一家の暮らしの中心は、1階に設えた間仕切りのない広々としたLDK。大開口の向こうに庭が広がる開放的な空間の主役は、オープン収納を採用したキッチンです。「櫻井さんの提案で床レベルをそろえた土間が窓側にL字に配され、外部空間と一体感のある住まいが実現できました」。雪解けを待って、奥さんはキッチンガーデン、Kさんは花壇や植栽を設える予定。「庭のある暮らしが満喫できる季節の訪れが楽しみで仕方ありません」と、奥さんは声を弾ませて話してくれました。

カーポート直結のアプローチのおかげで、季節や天候を問わず、快適に家の出入りができる。庭仕事の休憩などに便利な木製ベンチも造作
物置、玄関アプローチを併設した木製カーポートを備えたKさんの家。外壁にも、退色や腐食を防ぐ木酢液で加工したカラマツ無垢板を採用した