こだわり抜いたオリジナリティのあるデザインが実現できるのは、注文住宅ならではの魅力。それは室内空間だけではなく、外観も同じです。リプランでこれまで取材してきた数々の住宅も、ひとつとして同じ外観はありません。そこで今回は外観デザインの印象を決める6種類の外壁材「木」「ガルバリウム鋼板」「サイディング」「モルタル塗り壁」「タイル」「コンクリート」について、実例写真とともに説明します。
素材感が何より魅力。「木」
木ならでは素材感や温もり感が、木外壁の最大の魅力。樹種や色、板の幅や張り方によってさまざまな表情が演出できますし、同じ材でも仕上げ方次第で印象がガラリと変わります。また、年月とともに劣化したり汚れたりして、古びた印象になってしまう建材もありますが、年月の分だけ素材の味わいや魅力が増すのも、木の外壁材ならではです。
一方で木は天然素材のため、一般的に工場で大量生産する素材と比べて価格は割高に。美しく経年変化させていくためには、定期的なメンテナンスも必要です。木はほかの建材に比べて燃えやすい素材でもあります。防火地域や準防火地域に指定されているエリアでは、使用に制限がある場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
今や定番!「ガルバリウム鋼板」
アルミニウムと亜鉛の合金メッキ鋼板の建材です。耐食性・耐熱性・加工性に優れているのが特徴で、外装材として使用されることが多い仕上材です。住宅では黒やグレー、白のモノトーンを多く見かけますが、実はカラーバリエーションが豊富。幅も細いものから太いものまでさまざまで、多様な表現が可能です。
木や石やレンガ、タイルなどと比べると歴史が浅い建材ですが、それでも初登場から約30年が経過。安全性と信頼性が確立され、今は人気で定番の外壁材です。


価格を抑えつつ理想を実現。「サイディング」
「サイディングボード」とも呼ばれるパネル型の外壁材です。ベースの素材は、窯業系・金属系・樹脂系・木質系などの種類があり、モルタル仕上げに比べて、窯業系サイディングは2分の1以下、金属系サイディングは約10分の1の重さと建材自体が軽く、建物への負荷を軽減します。
工業生産のために品質が安定していて、比較的安価なのも普及の理由。パネル型なので施工性が高く、工期の短縮によって工事費用を抑えられるメリットがあります。一方で防水性能を備える表面の塗膜の耐用年数が10年弱と短いため、長く良い状態を保つためには、日頃のチェックと早めのメンテナンスが欠かせません。
高機能で表現の自由度が高い。「モルタル塗り壁」
セメントに水と砂を混ぜて練り合わせた「モルタル」は不燃性の素材で、外壁材・下地材・仕上げ材などとして、建築において幅広く利用されています。配合次第でどんな色にもできて、カラーバリエーションはほぼ無限。塗り方で模様も変えられるので、オリジナリティのある外観デザインに仕上げることできます。
パネル型や板状の外装材と違って自由度の高い仕上げが可能ですが、左官職人さんの手による施工なので、確かな技術力が必要とされます。またメンテナンスに関しては、だいたい15年に1回塗り直しが必要となり、費用もほかの建材より割高になるケースがあります。
メンテナンスフリーで高級感も演出。「タイル」
重厚感と高級感を演出するタイルの外壁。素朴な風合いのものから凝ったデザインのものまでバリエーション豊富なタイルは、汚れが付きにくいという特性から、新築時の姿を長く美しくに保てるのが大きなメリットでもあります。
タイルは天然資源からつくられた無機質材で、劣化しないのが最大の特徴。コストはサイディングやガルバリウム鋼板に比べて割高ですが、メンテナンスの内容や頻度の面ではメリットが大きいです。タイル自体は耐久性が高く、基本的にはメンテナンスフリー。下地やタイルの目地は劣化しますが、比較的安価に直せるので長期的なランニングコストを抑えることができます。
高い強度と独特な素材感が魅力。「コンクリート」
コンクリートは、セメントに水・砂・砂利を調合し、混ぜ合わせた材料。砂利が入っていてセメントの比率が高いため、より強度が高くてヒビ割れが起こりづらいというのがモルタル塗り壁との大きな違いです。型枠にコンクリートを流し込んで外壁を形成するため、ほぼどんな形でも施工できるのがコンクリート外壁の特徴です。
一体成型でつくられるコンクリート外壁は木造と違って隙間ができないので、気密性が非常に高いです。また30~50年の耐久性があるので、木やガルバリウム鋼板、サイディングよりメンテナンスの頻度も少なくて済みます。ただ、業者によって施工の精度にバラつきが出るリスクが高いのと、コンクリートがしっかり固まらないと次の工事ができないため、他の構法と比べて工期が長くなる点は注意が必要です。
インテリアと同じように、外観も住み心地や家への愛着を決める大切な要素。同時に常に紫外線や風雨など外の環境にさらされながら住まいを守るという大事な機能も果たしています。のちのち後悔しないためにもそれぞれの素材の特性をきちんと把握し、デザイン性とともに機能性や耐久性、メンテナンス性まで考えて、慎重に選ぶことをおすすめします。
(文/Replan編集部)