フィンランドでは、5月1日のメーデーは「ヴァップ vappu」と呼ばれる祝日です。長い冬がようやく終わって、春が来たことをお祝いします。4月30日は夕方から多くの人が街にあふれます。今回はヴァップの伝統的な習慣を紹介します。

まずは「帽子」。4月30日と5月1日は世代を問わずに街中の人たちが、白い帽子をかぶっています。実はこれは高校卒業のときの帽子。卒業したばかりの学生から、おじいちゃんおばあちゃんまで、同じデザインの帽子をかぶっているのです。若い人の帽子は真っ白で、おじいちゃん世代になるにつれてだんだん年季が入って黄色っぽくなっていくのですが、みんな誇らしげでいい感じです。

5月1日のメーデーは「ヴァップ vappu」と呼ばれる祝日。街ゆく人たちがみんな白い帽子をかぶっている

白い帽子をかぶったご家族にお話を聞きました。「4月30日の18時から白い帽子をかぶるのが、ヴァップの伝統です。これは高校を卒業したときに被る帽子です。そして5月1日は家族、友だちと大勢で集まって公園などでピクニックをするのが定番ですが、今年はピクニックは遠慮して、散歩を楽しみにきました。」

家族みんなで白い帽子をかぶってお散歩

次はヴァップに欠かせない飲み物と食べ物です。これは「シマ sima」という飲み物。レモン、レーズン、はちみつの入った微炭酸でさわやかな味です。アルコールとノンアルコールがあります。

ヴァップに欠かせない飲み物「シマ sima」

右に見えるのが「ティッパレイパ tippaleipä」というお菓子。バップの季節になると店でよく見かけます。脳みそ(?)のような形が目を引きます。味は日本のかりんとうに近いですね。

左にあるのは「ムンッキ munkki」。これはいわゆるドーナツのことで、ヴァップ以外の日でも売っていますが、ヴァップの時期はお店に行列ができます。特に小さなボール状のドーナツは柔らかくてもっちりとして、かなり美味しいです!

ヴァップに欠かせない食べ物「ティッパレイパ tippaleipä」(右)と「ムンッキ munkki」(左)

これは2017年のヴァップの様子です。普段は人混みがほとんど見られないフィンランドですが、ヘルシンキ市内のカイボプイストという公園は、この祝日のピクニックの人気スポットで、通常は多くの人で賑わいます。

たくさんの人たちで賑わっていた2017年のヴァップの様子

残念ながらコロナ禍の昨年と今年は、小グループで楽しんでいる人が多かったようです。来年こそは、例年通りのピクニックができますように!