今や家での調理に、キッチン家電は欠かせません。具材を仕込んでスイッチを入れれば、ほかの作業の間に一品作れるオーブンレンジや電子調理鍋などが忙しい日常の心強い相棒になっているという方も多いでしょう。一方で、かつては数種類だったキッチン家電も年々種類が増え、気づけばカウンターの上が家電でいっぱい!なんてこともありませんか?

先日の記事「肝心なのは「取り出しやすさ」。使いやすいキッチン収納のポイント」では調理道具等の収納についてご紹介しましたが、キッチン家電も同じで、有効に使うためにはさっと手が届く使いやすさが重要です。そこで今回は、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、「卓上タイプのキッチン家電の収納」についてお話しいただきましょう。


使いやすいキッチン家電の置き場所とは?

卓上タイプのキッチン家電は、ビルトインタイプに比べてデザインや機能の選択肢が広く、買い替えが容易です。特に炊飯器やオーブンレンジ・電子レンジ、トースター、電気ポット、コーヒーメーカーなど、日常的に使用頻度が高い家電は、使い勝手の良い位置にあると調理がスムーズに進みます。

コーヒーメーカーやトースターはダイニングエリアにあった方が良い場合もありますが、基本的にキッチン家電全般は「キッチンの作業域の数歩先」もしくは「キッチンの背面」が、使いやすい置き場所です。

電子レンジ、トースター、エスプレッソマシン、電気ポット、炊飯器を対面キッチンの背面にまとめて収納
電子レンジ、トースター、エスプレッソマシン、電気ポット、炊飯器を対面キッチンの背面にまとめて収納
壁付けキッチンの場合は、パントリーにまとめて収納する方法も
壁付けキッチンの場合は、パントリーにまとめて収納する方法も

まずは使っているキッチン家電をリストアップ!

収納計画を検討するにはまず、持っているキッチン家電のリストアップから始めましょう。巻き尺を30㎝~40㎝くらい出して家電と一緒に写真に撮っておくと、サイズ感の目安がついて設計士やインテリアコーディネーターと相談するときに便利です。

さまざまな家電用収納棚や専用ラックが市販されているので、それを活用してもいいですが、新築やリフォーム・リノベーションでキッチン収納を一から検討できるなら、自身の身長や使い方にフィットするカウンターや棚をオーダーメイドするといいでしょう。

使い方や持ち物に合わせて設計されたオーダーメイドのキッチン収納

「毎日使うもの」「時々使うもの」を分けて居場所を決める

キッチン家電は「毎日使うもの」と「時々使うもの」に分けて収納スペースを考えます。毎日使うキッチン家電はできるだけ、調理中の動作が「0アクション」で済む場所に置きたいところ。時々使うものは、収納棚の引き出しや扉を開ける「1アクション」があっても不便はないので、出し入れのしやすい状態にして棚の中に収納するといいでしょう。家電収納スペースやそのすぐそばの引き出しに付属の部品や取り扱い説明書を一緒に入れておくと、いざというときに素早く対応できます。

毎日使うキッチン家電は棚の上に置くと0アクションで使いやすい
このようにいつでもすっきりと美しいキッチンを目指すなら、
調理中は開けたままにしておきやすい、収納を工夫したキッチンを計画するのも一案
調理中のみオープンにしておきやすいように工夫した、オーダーメイドのキッチン収納を計画するのも一案

蒸気が出る家電は、オープンスペースに

炊飯器や電気ポット、コーヒーメーカーは稼働中に蒸気が出ます。上部の吊り棚や壁に長期間にわたって蒸気が当たると、次第にキャビネットが湿気で傷むことがあるので要注意です。

家電を置くスペースが限られている場合は、
・炊飯器を置く棚を、使うときだけ手前にスライドできる仕組みにする
・キャビネットのを防ぐために吊り棚下に蒸気を防ぐプレートを付ける
・キッチンパネルを貼って壁面の傷みを防ぐ
など、状況に応じた対策をするといいでしょう。

蒸気の対策や熱がこもるのを防ぐために、キッチン家電の上部は棚などで塞がずになるべくオープンにし、壁との間も十分に距離を空けて、結露したら早めに拭き取って湿気を放置しないことといった配慮が大切です。

上部の吊り棚と25㎝以上離れていると、棚の傷みを気にせずにすんで安心
キッチン家電まわりは上も横も余裕を持たせて、蒸気や熱がこもらないような置き方に

システムキッチンメーカーが販売している蒸気処理機能が付いた家電収納も、コンパクトにまとまっていてなかなかの優れものです。ショールームで実際に見て、使い勝手を確認してみてください。

「家電本体+食器や道具の仮置き場」でスペースを検討

キッチン家電を使うときには「蓋を開ける」「お皿に盛る」「水を注ぐ」などの動作を伴います。少々手間かもしれませんが、その動きを自宅でシミュレーションすると、本体の蓋やハンドルの動く範囲や向き、そこで使う食器や道具の仮置き場所を想定することの必要性を実感でき、キッチン家電の置き場所として確保すべき広さがはっきりと把握できます。キッチン家電の配置は、「窮屈にならないこと」が大事なポイントです。

幅1.8mのカウンターに、オーブンレンジ(縦開き)、炊飯器、電気ポット、単機能電子レンジ(横開き)を並べた場合の図。人物の身長は158cm想定。淡いグリーンのエリアがアイレベルゾーンで、この範囲が最も動作がしやすく道具や食器が取り出しやすい
キッチン家電はスペースにゆとりをもたせることが、使い勝手を良くする重要なポイント
キッチン家電はスペースにゆとりをもたせることが、使い勝手をよくする重要なポイント

オーブンレンジ・電子レンジは、設置場所の高さに注意

オーブンレンジは、「買ってよかったキッチン家電」のトップクラス。全国のキッチンで毎日大活躍しています。国産製品の卓上型オーブンレンジの場合、100Vのコンセントが必要です。感電防止のため、アースの接続も忘れずに。

オーブンレンジや電子レンジの扉は、「縦開きタイプ」と「横開きタイプ」があります。どちらもアイレベルに設置されるのが理想ですが、縦開きは若干低めの方が、中のオーブン皿を取り出しやすく安全です。横開きは、扉が邪魔をして庫内の物の出し入れがしにくいことがあるので、設置場所は慎重に決めましょう。

オーブンレンジは電子レンジよりも奥行きがあります。設置場所のカウンターは奥行き55〜60㎝は確保したいところです。

横開きの電子レンジやオーブンレンジは、このレイアウトで右側に壁があると可動域が狭く、プレートなどの出し入れがしにくいので注意。カウンターの奥行きが60㎝ほどあると、炊飯器や電気ポットの手前に食器を置くスペースが確保できる

縦開きのオーブンレンジの扉を開くと、扉分の30㎝弱が手前に倒れます。オーブン機能を使った際は扉が高温になるので、火傷に要注意です。機種にもよりますが、本体と周囲の物や壁などとの距離は、上部は10㎝、左右と背面は3㎝程度あると安心です。オーブンレンジを含め、キッチン家電の収納を検討する際には、熱がこもらないように空気の通り道をしっかりと確保しましょう。

人物の身長は158cm想定。身長によって使いやすい高さは異なるので、ショールームなどでのシミュレーションがおすすめ
奥行きが十分に取れなくても、すぐそばに食器などを置くスペースがあれば使い勝手は確保できる

キッチン家電用のコンセントの位置にも注意

キッチン家電のプラグをコンセントに常に差し込んだままにしているお宅が多いと思います。コンセント部分が家電本体の陰に隠れて、プラグを抜き差ししにくいのが主な理由ですが、安全性や省エネ性を考えると、使わないときには電流が流れないようにスイッチをOFFにしたいところ。

そのため、新築やリフォーム・リノベーション時には、コンセントの設置場所にも配慮して、キッチン家電収納を計画しましょう。電源を抜き差ししやすい環境をつくることは、掃除のしやすさにもつながります。

オーブンレンジや電子レンジ、炊飯器は特に使用時に要する電気量が多いですし、オーブンレンジと電子レンジは、万が一、故障や漏電が起きたときに感電を防ぐためのアースにも接続する必要があるので、できるだけコンセントに直接プラグを差し込む設計にしたいところ。使い勝手のいい場所にコンセントを設けるのが難しい場合は、コンセントを手軽にON-OFFできるスイッチを別につけると、切り替えしやすく安全です。

あらかじめキッチン家電の置き場所を決めて棚をつくり、専用のコンセントも設けた例。使い勝手がよく、掃除もしやすい
あらかじめキッチン家電の置き場所を決め、奥さんの身長に合わせて棚をつくり、専用のコンセントも設けた例。使い勝手がよく、掃除もしやすい

キッチン家電は日進月歩…というよりも、かなりのハイスピードで進化を続けていますし、電子圧力鍋やブレンダー、ホームベーカリー、食洗機など定番の家電の種類も増えています。料理の幅が広がって便利で喜ばしい反面、場所も取るのでキッチンまわりがごちゃごちゃする原因にもなります。

道具の居場所がしっかり決まっていて、出し入れがしやすいことも、料理の時短には不可欠。各ご家庭のキッチンの広さや使い方に合わせて、日々の調理を上手にサポートしてもらえるようなキッチン家電を選ぶこと。そしてそれぞれの定位置をしっかり検討することで、使い勝手のいいキッチンと豊かな食生活を実現してくださいね。