薪ストーブの魅力は、暖房機器としての暖かさと、見た目に楽しい炎や薪のはぜる音。火の揺らめきを眺める時間には、薪ストーブライフの魅力が存分に詰まっています。住まいの建て替えにあたって導入を決めたYさんも、そんな炎のある暮らしに憧れた一人。日々仕事で忙しいライフスタイルに適した機種を選択し、薪ストーブライフを楽しんでいます。

炎の周りには自然と家族が集まってくる。子どもたちも徐々にストーブの扱いに慣れてきたとか
炎のまわりには自然と家族が集まってくる。子どもたちも徐々にストーブの扱いに慣れてきたとか

建売で購入した住まいに長く暮らしていたYさんご一家。月日とともに住まいも老朽化し、水道管の傷みが目立ってきたことがきっかけで、建て替えを決意しました。

アウトドア好きのYさんご夫妻の憧れの家はずばり、森の中に建つ「山小屋」。しかし、旭川市内で犬のアフターケアプロショップを営んでいるため、今、山の中で生活することは現実的ではありませんでした。「それならこの場所に木々を植えて森のようにして、山小屋をイメージした家を建てればいいと考えつきました」とYさんは笑います。

完成した住まいは、幅広の古材を縦張りにした印象的な内壁をはじめ、床や天井、階段に無垢材や古材をふんだんに使用した山小屋のような佇まいに。新築にも関わらず、長年暮らしてきたようなこなれ感が漂う、唯一無二の空間に仕上がりました。ダイナミックな吹き抜けのある1階は、ほぼワンルーム。薪ストーブは、「森」をイメージした豊かな庭を背に設置しました。

古材と無垢材に包まれた空間は、まさに山小屋
温かみを宿す古材や無垢材に包まれた空間は、まさに山小屋のような佇まい
床や天井、階段に無垢材や古材をふんだんに使用した山小屋的な佇まい
玄関まわりは広々としたコンクリート土間。Yさんの趣味のひとつである観葉植物が室内を明るく彩る
ラフな素材感が個性的な古材仕上げの壁や業務用のオープンキッチンなど、Yさんのこだわりがめいっぱい詰まった大空間の中で、縦長フォルムの薪ストーブがそれに負けない存在感を放つ

薪を楽しむための特等席に置かれた椅子は空港で使われているデザインチェア
アメリカの空港ロビーで使われていたビンテージチェアが、薪ストーブを楽しむための特等席
ヴィンテージアイテムが好きだというYさんのコレクションの一つである木箱を薪置きに活用
薪ストーブの脇に置いた薪を入れる木箱も、ビンテージアイテムが好きなYさんのコレクションのひとつ

山小屋に憧れを抱いていたYさんにとって、新居への薪ストーブ導入は当然の選択。実家で薪ストーブを使っていたという幼少期の懐かしい記憶もまた、薪ストーブへの思いを強くさせたといいます。

Yさんは当初「山小屋のような雰囲気に合う」と、IRON DOG(アイアンドッグ)シリーズの薪ストーブを入れるつもりでした。ところが、建築会社を通して紹介された旭川の薪ストーブ専門店であるコロポックルの代表営業・橋口宏二さんに図面を見せて話をしたところ、勧められたのはデンマークの薪ストーブメーカーであるHWAM(ワム)の人気機種で、円筒型デザインが特徴の「3630」でした。

「HWAM 3630」
デンマークの薪ストーブメーカー、ワムの「3630」。洗練されたシンプル円筒型デザインが特徴

Yさん宅は、ショップに来るお客様の愛犬の休憩場所として庭を活用するなど、職住がゆるやかに混ざり合う場。「多忙な毎日の中のわずかな隙間で、炎を眺めてくつろぎたいと考えていたYさんには、火の立ち上がりが早くて気楽に扱いやすいワムがぴったりだと考えました」と、橋口さんはこの機種を勧めた理由を話します。

庭と炎を眺める暮らしを叶えるためには、薪ストーブの設置場所は窓辺が必須。その点、ワムの薪ストーブは本体が二重構造で側面や背面が高温になりにくく、炉壁がなくても設置できるため、壁で眺望を遮らずに済みます。また、「3630」はフロントガラスと2つのサイドガラスの3方面から炎が楽しめるデザイン。炎を眺めながらゆっくり過ごしたいYさんにはあつらえ向きでした。

ワムの薪ストーブは本体が二重構造で側面や背面が高温になりにくいため、炉壁がなくても設置可
サイドガラスからも炎が楽しめるのが、HWAM 3630の魅力
サイドガラスからも炎が垣間見えるのが、3630の魅力
ダイニングから薪ストーブを見る。ゆらめく炎を楽しみながら、食事の支度をするのも至福のひととき
炉が高い位置にあるので、キッチンで食事の支度をしながらでも、薪ストーブの炎の様子が見える

「大きな吹き抜け、森をイメージした庭、古材が大胆に活かされた室内といったダイナミックな空間だったので、アイアンドッグでは背が低くてバランスを欠いてしまうとも思いました」と橋口さん。住宅の設計の特徴やYさんが思い描くライフスタイルなど、家と暮らしの全体像から導き出した提案にYさんも納得し、最終的に安心して決めることができました。

Yさんとコロポックルの橋口さん、設計を担当したアーケン株式会社の太田さん。太田さんは、Yさんが営む犬のアフターケアプロショップ「DENI'S STORE」の常連さんでもある
Yさん(写真中央)とコロポックルの橋口さん(写真左)、設計を担当したアーケン(株)の太田さん(写真右)。太田さんは薪ストーブのヘビーユーザーであり、Yさんが営む犬のアフターケアプロショップ「DENI’S STORE」の常連でもある

薪ストーブのある暮らしを始めてまもなく1年。店舗に立ったり、ペットフードの配達で市内を駆け回ったりと、忙しい日々を送っていますが、仕事の合間にわずかな時間を見つけては、家に立ち寄って薪ストーブを楽しんでいるそう。「夕暮れ時に火を入れて、立ち上がっていく炎を眺めるのが至福のひとときです」とYさん。美しい炎をたたえる薪ストーブが、日常に豊かさと安らぎをもたらしています。

玄関ガレージに薪棚を設置
ガレージの一角、玄関の横の壁沿いがYさん宅の薪置き場
美しい緑に囲まれた森のような庭を背景にした、薪ストーブの炎は、贅沢な光景
美しい緑に囲まれた森のような庭を背景にした薪ストーブの炎は、この上ない贅沢な日常のワンシーンに