道内には、個性あふれる良質な注文住宅を手がける中小の工務店や地域ビルダーが数多く存在します。でも直接話を聞こうと思うと、やっぱりハードルが高いですよね…。そこで今回はリプランが代わりに、気になる会社の社長のホンネを探ってきました!お話を聞いたのは、(株)カントリーヴィレッジの社長である朝日良昌さんと、同社で家を建てた芽室町のAさんご夫妻です。


家は人と人とでつくるもの。
だから何でも本音で話し合います。

(株)カントリーヴィレッジ 朝日 良昌さん
(株)カントリーヴィレッジ 朝日 良昌さん

●ホンネ01
実は、神社仏閣巡りが大好き
固定観念から自由になれる

「カントリーヴィレッジ」は、2017年の創業以来、芽室町とその近郊を中心に北海道の景観に似合う家づくりを手がけています。

「実は私、大の神社仏閣好きなんです」と笑顔で話すのは朝日良昌社長。カントリー系、インダストリアル系の住宅デザインを手がける同社とは少々イメージが異なる気がしますが、神社仏閣の建物にシンメトリーの美しさを見出してからは、その佇まいに惹かれて、時間を見つけては道内外の神社仏閣に足を運んでいます。

今回撮影にご協力いただいた芽室町のAさんご一家は、家づくりを通して朝日社長と気の置けない間柄に。奥さんは「ちょっとした階段のきしみなど、気になることは何でも相談できて、すぐに対応してくれるのでストレスがないですね」と笑顔

「業界にいる時間が長いほど、セオリーどおりに進めることが当然になってしまいます。けれど神社仏閣は、鳥居や本殿・拝殿の位置、庇長や開口高さなどすべてに意味があり、光や影、風など、その土地の景色や環境に根付いた設計がなされています。神社仏閣を訪ねて思いを巡らせることは、私のライフワークであり、セオリーにとらわれない家づくりを改めて考える機会でもあります」と朝日社長。「古いのものには、固定観念から自由になる力がある」と、言葉に熱がこもります。

●ホンネ02
家づくりは 「外観デザイン」からスタート!

「家づくりは外観からスタート」。それが朝日社長の手法です。「もちろん強制はしないですよ(笑)。ただ外観は、家の『顔』です。せっかくなら周囲の景観との調和や住まい手の個性を表現したいですよね」と、その理由を語ります。  

まずは外装材や窓のかたち、屋根の形状などお客様の好みをしっかりと把握。「左右対称に配した2階の窓や、真正面の玄関から続くまっすぐの一本道など、洋風の建築はシンメトリーが多く、神社仏閣に通じるものがあるんですよね。鳥居があって神社があるように、アプローチと家の関係など外とのつながりも考えていきます」。  

もちろん外観デザインにとらわれて、プランを犠牲にするようなことはありません。自然光や陰影など、土地や環境を踏まえて外観を整え、同時に暮らしやすいプランを組み立てていくことで、内も外も満足な住まいができると考えています。仕事や学校からの帰り道、自分の家を見て嬉しくなるような景色をつくることを朝日社長は目指しています。

「黒い外壁の三角屋根の家」が希望だったAさんご夫妻の要望をふまえて、打ち合わせで描かれたパース
そのイメージが実際の外観デザインに忠実に反映されている
道路からのファサード
三角屋根が2つ連なるようなデザインの道路からのファサード。異なる素材、張り方の外壁材に木壁を組み合わせることで、さり気なくも力強く個性を表現している

●ホンネ03
暮らしのこともお金のことも
腹を割って話してこそ

カントリーヴィレッジの家づくりは少数精鋭。打ち合わせには自らが直接出向きます。「家は人と人でつくるもの。まずは話しやすい雰囲気をつくることが大切だと思っています。私は話好きで、雑談もたくさんしますね。そういう何気ない会話の中にご家族のライフスタイルや好みを知るヒントがあったりするんですよ」。  

キッチンに立つとリビングが一望できる設計。正面のテレビも良く見える
キッチンに立つとリビングが一望できる設計。正面のテレビも良く見える
室内の建具はすべて紺色で統一。それに合わせたくすみカラーのタイルは奥さんが選んだお気に入り
室内の建具はすべて紺色で統一。それに合わせたニュアンスカラーの青色タイルは、奥さんのセレクト
あえて広めを希望したユーティリティは、洗濯から片付けまでがしやすいと大満足の空間に
ゆとりの広さを希望したユーティリティは、洗濯から片付けまでがしやすいと大満足の空間

プランを進める中では、お金のこともしっかりと向き合ってお話しするといいます。「腹を割って何でも気軽に聞いたり話したりできる関係性が、納得のいく家づくりにつながります。私自身もこれまでのノウハウや知識の引き出しを全部開けて、お客様の要望や予算などに応じて最も適したプランを提案できるようにしています」と朝日社長。

年間棟数を10軒ほどに留めているのも、お客様一人ひとりとの関係と住まいの品質を重視するからこそ。今回取材したAさんは、兄弟で家づくりを依頼したといい、穏やかで誠実な人柄と丁寧な仕事ぶりに、着々とファンを増やしています。

隣に立つAさんの実家の庭の緑が、気持ちいい借景になっているダイニングスペース
キッチンと通路を挟んで隣に配したダイニングスペース。隣に立つAさんの実家の庭の緑が気持ちいい借景に
ダイニングの一角には、壁の厚みを利用したマグネットの使える家族の掲示板を造作
ダイニングの一角には、奥さんたっての希望で、壁の厚みを利用したマグネットの使える家族の掲示板を造作。ちょっとした工夫が、暮らしを便利に楽しくする
キッチンは、作業台と背面収納の間を広めに設計。パントリーの壁は、奥さんのお気に入りのキャラクター柄の壁紙で仕上げた
キッチンは、作業台と背面収納の間を広めに設計。パントリーの壁は、奥さんのお気に入りのキャラクター柄の壁紙で仕上げた

施主のホンネ【芽室町・Aさん】

朝日社長は、おしゃべりが楽しい方。それに家づくりの素人である私たちの言うことをしっかり聞いて、すべて穏やかに対応してくれました。プロの目で見て「やらないほうがいい」と分かっていることも否定はせず、ゆっくりと良い方へ誘導してくれて、あとになって「ああ、あれはダメだったんだな」と気づいたこともしばしば。些細なことも尋ねにくい雰囲気がまったくなくて、馴れ馴れしいんじゃないかってくらい何でも遠慮なく聞きましたね(笑)。

普通ならちょっと聞きにくいお金のこともストレートに話せましたし、分からないことを「分からない」と言えて気が楽でした。思いどおりにいかなかった部分もありますが、朝日社長が丁寧に説明してくれて納得しているので、後悔や思い残しにはなっていません。

この家のすべてが気に入っていて、常に「自分の家が一番いい!」って思っています(笑)。居心地が良いせいか、わが家が友人たちとの集いの場になりつつあります。住んで半年以上になりますが、気になることがあって連絡すると、すぐに来て対応してくれるのも心強いです。これから外構についても相談しながら、さらに住み心地のいい家にしていきたいですね。(Aさんご夫妻 談)