土間とLDKのワンルーム空間
豊かな自然素材が演出する心地よさ

浪江町に立つ住宅工房そらのモデルハウスは、27坪というコンパクトな平屋です。事務所兼用のため、寝室などの個室やバスルームはありませんが、お手本にしたいデザインと機能がふんだんに詰め込まれています。

メンテナンスフリーのそとん壁を採用した切妻屋根の平屋。ファサードの一部にレンガ色に着色したレッドシダーを施工した。どっしりとした佇まいは平屋ならでは
メンテナンスフリーのそとん壁を採用した切妻屋根の平屋。ファサードの一部にレンガ色に着色したレッドシダーを施工した。どっしりとした佇まいは平屋ならでは

室内に入り、まず目を引くのは、玄関から直結する12帖の土間空間です。薪ストーブを置いたり、ペットのくつろぎスペースにしたりと用途は自在の土間。間口が広く、障子を開け放てばLDKのディテールを見渡せる開放的なつくりが印象的です。

玄関まわり。ポーチ部分には大谷石を贅沢に使用。軒天に張ったレッドシダーが温かみを醸し出す
玄関まわり。ポーチ部分には大谷石を贅沢に使用。軒天に張ったレッドシダーが温かみを醸し出す
たたきにも大谷石を使用。手前を右に進めば土間、奥を右に進めばLDKと2方向にアクセスできる動線が便利
たたきにも大谷石を使用。手前を右に進めば土間、奥を右に進めばLDKと2方向にアクセスできる動線が便利

使用されている素材にもこだわりがいっぱい。外観にはシラス台地のシラスを原料とする外壁材・そとん壁を採用。一部にレッドシダーを張り、アクセントを付けました。ポーチから玄関、土間部分には大谷石を贅沢に敷き詰めています。室内の床には信州アカマツ、壁や天井には珪藻土系の抗菌内装材を取り入れました。自然素材満載の心身に優しい健康住宅。この空間に、無垢を多用したデザイナーズ家具や造作家具が溶け込みます。

ポーチやたたきと同じ大谷石を敷いた土間。外からつながる連続性のある空間が広がりをもたらす
ポーチやたたきと同じ大谷石を敷いた土間。外からつながる連続性のある空間が広がりをもたらす
造作の障子をフルオープンにすれば、土間を含めてワンルームの大空間として使用できる。デザイナーズのダイニングテーブルやチェア、ルイスポールセンの照明など、LDKの随所にこだわりが
造作の障子をフルオープンにすれば、土間を含めてワンルームの大空間として使用できる。デザイナーズのダイニングテーブルやチェア、ルイスポールセンの照明など、LDKの随所にこだわりが

暮らしやすさのヒントが随所に
性能にも優れた“小さくて広い”家

27坪のうち、10坪を物置が占めるため、居住スペースはたったの17坪。にもかかわらず窮屈さを感じさせないのは、設計・デザインのなせる業です。間仕切りを開ければ土間も含めて27帖もの大空間がお目見え。土間とLDKを並列にした横長のレイアウト、陽射しを採り込む南面の大開口も抜け感をもたらし、視覚的な広さを演出してくれます。

自然素材が香るLDK。一般的な高さよりも天井高を低くし、落ち着く空間を演出している
自然素材が香るLDK。一般的な高さよりも天井高を低くし、落ち着く空間を演出している
北側に配置したキッチンはトップライトを設けて明るさを確保。キッチン背面には造り付けの収納を設けた
北側に配置したキッチンはトップライトを設けて明るさを確保。キッチン背面には造り付けの収納を設けた
キッチンカウンターは天板にチーク、面材にレッドシダーを用いて造作。奥の扉は物置に通じている
キッチンカウンターは天板にチーク、面材にレッドシダーを用いて造作。奥の扉は物置に通じている

また、色数や色味を抑えた床や壁、家具で統一し、すっきりと見せることで、広さを感じる空間を実現しました。住まい手がどんな物を置いてもなじむよう、内装は“無地のキャンバス”を心がけている住宅工房そら。この家にもそのモットーが息づいています。

床材は信州アカマツを採用。強度や耐久性に優れ、年月が経つごとに美しい飴色に変化していくのが魅力
床材は信州アカマツを採用。強度や耐久性に優れ、年月が経つごとに美しい飴色に変化していくのが魅力
壁には珪藻土に光触媒チタンアパタイトを配合した塗り壁材、フラッシュクリーンを施工。調湿効果や有害物質吸着効果が期待できる
壁には珪藻土に光触媒チタンアパタイトを配合した塗り壁材、フラッシュクリーンを施工。調湿効果や有害物質吸着効果が期待できる

性能面では気密性・吸音性に優れたセルロースファイバーを充填吹き込みし、全窓トリプルガラスを導入。屋根には5kW弱の太陽光パネルも搭載しています。間取り、素材、意匠、性能、すべての面で心地よさを追求したモデルハウスへ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。

南面が開けた敷地のため、大きな窓を設けることで抜けのある気持ちのいい空間を実現している
南面が開けた敷地のため、大きな窓を設けることで抜けのある気持ちのいい空間を実現している

住宅工房そらでは、ご家族一人ひとりの希望をじっくりと時間をかけてうかがい、これまでに培った設計力・施工力を生かして住まう人の理想の家を丁寧につくり上げていきます。こちらのモデルハウス兼事務所は、昨今、平屋のご要望が増えていることを受けて建築したものです。建坪は小さく、内装は住まう人の個性を存分に盛り込めるようシンプルに、を心がけました。この家をご覧になり、いろいろと想像を膨らませていただければ幸いです。

\2022/9/13発売!「Replan福島 2022」/

都市部の土地不足やミニマルな暮らしへの欲求の高まりなどを受けて、コンパクトな家の需要も増えています。一方で、コンパクトというと「小さい」「狭い」「窮屈」というマイナスイメージを持つ人も多くいるのではないでしょうか。

そこで今回は、延床面積がそれぞれ29坪、29坪、26坪という「コンパクト」なお宅を訪問。コンパクトな家は狭いのか、空間が小さいことにはどんなメリット・デメリットがあるのか、充実したコンパクト空間にするためのコツは何なのか、その実態を探ってきました。

プロが語るコンパクトな住まいを豊かにする空間の工夫と、いま大切にしたいことにも注目です。

宮城の書店にて発売中!
〈インターネット購入〉Replan webサイト Amazon /Fujisanマガジン
※インターネット購入・方法についての詳細はこちらからご確認ください