「大事にしているのは、敷地の魅力を生かすこと。現場の判断でプランを変える場合もあります。それは、職人も『いいものをつくりたい』という、我々と同じ思いを共有しているからできることです」。そう語るのは、伊藤建友の高橋秀彰常務。

外壁は秋田スギの板材。スリットや凹凸をつけてリズミカルな印象に。2階バルコニーを玄関アプローチからせり上がる台形状に施工するなど、木の家のイメージを一新するモダンな住まいをつくり上げた
外壁は秋田スギの板材。スリットや凹凸をつけてリズミカルな印象に。2階バルコニーを玄関アプローチからせり上がる台形状に施工するなど、木の家のイメージを一新するモダンな住まいをつくり上げた
ダイニングとテラス窓で隔てた2階バルコニーはアウトドアリビングの役割を果たすスペース。「この風景を見てほしくてLDKを2階にしました」と、高橋常務が指し示す先には、見事な枝ぶりのしだれ桜を望むことができる
ダイニングとテラス窓で隔てた2階バルコニーはアウトドアリビングの役割を果たすスペース。「この風景を見てほしくてLDKを2階にしました」と、高橋常務が指し示す先には、見事な枝ぶりのしだれ桜を望むことができる

周囲の環境から住まいづくりを考える同社の家づくりの価値観やエッセンスを凝縮したのが、新たに誕生したモデルハウスです。30坪とコンパクトながら、風致地区という豊かな自然環境を生かし、素材感の際立つ上質な住空間を実現しています。

住まいの西側はクマザサの繁茂する斜面になっている。西陽が当たると暑くなるため、窓の位置や高さには細心の注意を払った
住まいの西側はクマザサの繁茂する斜面になっている。西陽が当たると暑くなるため、窓の位置や高さには細心の注意を払った
秋田県南部の湯沢地方で採掘される「院内石」。調湿効果に優れ、表面のテクスチャーも美しい
秋田県南部の湯沢地方で採掘される「院内石」。調湿効果に優れ、表面のテクスチャーも美しい
洗面スペースを中央に配置し、左にはトイレ、右にバスルームを配したシンプルな動線
洗面スペースを中央に配置し、左にはトイレ、右にバスルームを配したシンプルな動線
1階の寝室。窓位置を高くして、プライベートを確保しながら明るさを取り入れている
1階の寝室。窓位置を高くして、プライベートを確保しながら明るさを取り入れている

外観は地元の秋田スギを使用した総板張り。玄関ドアを開けると、地域で採掘された院内石を敷き詰めた重厚感ある玄関ホールが現れます。この石畳の下には低温水パイプを敷設し、土間を通して空間全体を暖める仕組み。美しさと性能を掛け合わせた巧みな技が光ります。

リビングとダイニングは屋根勾配を活かし、天井にも段差をつけることで陰影を強調。壁は土壁のイメージを意識したブラウン系のカラーで統一
リビングとダイニングは屋根勾配を活かし、天井にも段差をつけることで陰影を強調。壁は土壁のイメージを意識したブラウン系のカラーで統一
風致地区に位置するため、南面のバルコニーからはしだれ桜やモクレンなど、さまざまな木々が借景となって楽しめる
風致地区に位置するため、南面のバルコニーからはしだれ桜やモクレンなど、さまざまな木々が借景となって楽しめる

基本のフレームを自由に組み合わせて造作したキッチン。実用性を重視したシンプルなデザインが静謐な空間の中にあっても主張しすぎない
基本のフレームを自由に組み合わせて造作したキッチン。実用性を重視したシンプルなデザインが静謐な空間の中にあっても主張しすぎない
暮らしやすさを意識し、2階リビングの奥にもトイレと洗面スペースを確保
暮らしやすさを意識し、2階リビングの奥にもトイレと洗面スペースを確保

ケヤキの階段を上るとLDKが出現。南面には広いバルコニーを設え、ダイニングと外界が一体化。室内の最奥に配置したリビングはほんのり暗く、キッチンやダイニングの明るさとは対照的な佇まいを醸し出します。

床材は広葉樹のセン。独特の木目を生かしつつ、グレーの塗装を施してあるため木肌の白さが抑えられており、汚れを気にせず生活できる
床材は広葉樹のセン。独特の木目を生かしつつ、グレーの塗装を施してあるため木肌の白さが抑えられており、汚れを気にせず生活できる
リビングからつながる小屋裏スペースは約12帖ほどあり、寝泊りも可能。部屋数を増やすのではなく小屋裏というオプションを追加するアイデア
リビングからつながる小屋裏スペースは約12帖ほどあり、寝泊りも可能。部屋数を増やすのではなく小屋裏というオプションを追加するアイデア

開口部、天井の高さなどにメリハリをつけることで陰影を際立たせた印象的な住まい。陽射しや風、四季の変化を身近に感じながら暮らすことのできる、心豊かな時間がそこには流れていました。

秋田県は冬が長く、その間は太陽もほとんど顔を出しません。そこで伊藤建友は、同じ北国である北欧をはじめ、ヨーロッパの暮らしの楽しみ方を家づくりに取り入れるようになりました。例えば陰影を意識することで、暗がりから見る窓の美しさが際立ちます。「北国の暮らしに豊かさを」をテーマに、厳しい冬の暮らしに対する答え探しから始まった家づくりが、今では「四季折々の喜び探し」へと着想がより前向きなものへと変化してきました。

弊社のコンセプト住宅「クロスライン」の7年ぶりのモデルハウスは、そんな「感じる」という、決して視覚だけではない感覚的なものを大切にして丁寧につくり上げた住まいです。家を建てるという一生一代の大事業を前に、一人でも多くの方々の参考となり、価値観を共有できることを願っています。