【対談企画】あおもりGX住宅スタイル〜地域とともに歩む住宅の未来
公開日:2026.3.27
最終更新日時:2026.3.27
「あおもりGX住宅スタイル」の取り組みを紹介。各方面のプロに、地域と家づくりのこれからについてお聞きしました。
INTERVIEW 02
槇原 章二さんに聞く「とっとり健康省エネ住宅『NE-ST』の取り組み」

槇原さんは、鳥取県で「NE-ST」の立ち上げにご尽力されたとうかがっています。まずは「NE-ST」がどんな制度なのかについてお聞かせください。

鳥取県が主導する健康省エネ住宅の取り組みで、2020年より始動しました。光熱費を抑えながら家全体を暖めるために必要な断熱性能を指標に、3段階の基準を設けています。基準を満たす住宅には助成も行っています。

3段階の基準とは具体的にどのようなものですか?

低い順から、各階に設けたエアコンで、今までと同等の光熱費を使って全館暖房するT-G1、エアコン1台で2階建ての家を全館暖房するT-G2、パッシブハウス並みの断熱性能を有するT-G3の3段階です。省エネおよび未来に残すストック住宅という観点からも、県としてはT-G2以上の家を推進しています。


東北に比べると温暖な鳥取県で、高性能住宅に取り組む理由は何ですか?

実は冬に死者が増える原因は、家の中の寒さが影響しているということが分かっています。寒い地域の場合は、断熱をしないと生活に支障が出るため、どの家も断熱性はある程度高く、冬でもほかの季節に比べて死者が極端に増えることはありません。
しかし鳥取を含めた温暖地は性能の高い家が行き届いていないため、ほかの季節に比べて冬の死者が増えるという傾向があるのです。そのデータを見て、温暖な地域だからといって断熱をおろそかにしてはいけないと痛感したのが理由です。
しかし鳥取を含めた温暖地は性能の高い家が行き届いていないため、ほかの季節に比べて冬の死者が増えるという傾向があるのです。そのデータを見て、温暖な地域だからといって断熱をおろそかにしてはいけないと痛感したのが理由です。

断熱性の高い家は、健康にも効果があるということなんですね。

はい。「NE-ST」を立ち上げる前に、民間実務者や建築・医療の有識者が集まる協議会に県も参加していたのですが、そこでも健康効果に関するエビデンスが多く挙がっていました。それまでは、省エネ住宅は環境に優しいというぐらいの認識しかなかったのですが、健康にも良いことが分かって、エンドユーザーにも「NE-ST」を訴求しやすくなりましたね。

出典:健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価 日本建築学会環境系論文集
Vol.76,No.666,2011.8(慶應義塾大学伊香賀教授他))
出典:Hyper tension(米国心臓協会が監修する国際医学誌)2019年10月号掲載
家庭血圧と冬季室温との関係の断面分析(慶應義塾大学伊香賀教授他)

「NE-ST」を建てる事業者はどのように確保していますか。

県の研修を受け、テストに合格した事業者を登録し、県のホームページで公表しています。県内200社ほどの事業者のうち、現在8割以上に登録してもらっています。しかし、そのうち1棟目を建てた事業者は登録者の半数にとどまっています。まず1棟目を建ててくれる工務店をどれだけ増やせるかというのが、県の目下の課題ですね。1棟建てれば優れた快適性による顧客満足度の高さを工務店自身が理解し、標準仕様にしてもらえますので。

そのためにどんな支援を行っているのでしょうか。

省エネ計算を行ったことがない事業者に対して省エネ計算を無料で代行したり、気密施工に自信がない事業者には現場で施工のポイントを説明したりしていますね。ほかにも工務店から相談があれば、すぐに施工現場に駆け付け、解決策を一緒に考えるようにしています。マンツーマンでの指導は非効率だと思われるかもしれませんが、実際やってみると最も効果的で手応えがある方法だと感じています。

ユーザーへの訴求はどのような方法で実施していますか?

ホームページや印刷物でかみ砕いて紹介はしていますが、正直、体感に勝るものはないと思っています。地域工務店の協力を得て、国の基準によるユニットと「NE-ST」のT-G2を持つユニット、2種類の体感ユニットを製作し、イベントなどに出展して快適性を比べてもらうという試みを行っています。
また、登録工務店が建てた「NE-ST」の家で完成見学会を実施し、県がホームページなどでPRして集客を募るという流れも確立されつつあります。県と事業者がうまく連携すれば、もっともっと発信できると思っています。
また、登録工務店が建てた「NE-ST」の家で完成見学会を実施し、県がホームページなどでPRして集客を募るという流れも確立されつつあります。県と事業者がうまく連携すれば、もっともっと発信できると思っています。



スタートから5年が経ちました。現在の感触と、今後の展望をお聞かせください。

当初よりは認知度も高まり、最近はユーザーの方から「NE-ST」で建てたいと言ってもらえるようになりました。現在、県内における新築住宅の5割が「NE-ST」の家です。2030年までに「NE-ST」の家を10割にするのを目標にしているので、5年で5割は良いペースだと思います。建てたお客様の満足度も高く、唯一クレームがあるとすれば、「NE-ST」以外で建てた方から「建てる前に知りたかった」という声があることです。ユーザーへの周知をさらに徹底し、5年後に10割という目標を達成したいですね。
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