念願だった古民家でくつろぐSさんご夫妻。美しく経年変化した古材が130年の時の流れを感じさせる。ウォールナット材を敷いたLDKは床暖房で、冬も暖かい

趣味の骨董を生活に取り入れて暮らしていたSさんが、2011年の震災後に選んだのは古民家の移築再生による住まい。古民家再生見学会で知り合ったササキ設計の佐々木さんから、築130年の農家の古民家を紹介され、この家づくりはスタートします。直前まで住まわれていたその古民家は、代々の持ち主が大切に手入れをしてきたことが伝わる良好な状態。その趣を活かしつつ十分な断熱性能を確保したリノベーション空間に「仕事から帰ってくると、今までの家よりもほっとする感覚があるんです」とSさんも大満足です。


◎家族構成:夫婦60代
◎構造規模:木造・2階建て
◎設計:(有)ササキ設計
◎施工:(株)クレア平塚

「家と同じように丈夫なものを」とシンプルなステンレス製のキッチンを選択。梁に飾られているのは、宮城では広く知られる「カマ神さま」。昔は火難よけや魔よけ、家内繁盛のために台所の柱や竃の上などに出入り口や外を睨むように飾られていたという

移築前は天井で隠れていた梁を現しにして、吹き抜けの大空間を実現

茶道を嗜む奥さんのために炉を切って設えた、上質感の漂う和室。広縁のガラス戸とも見事な調和を見せている。照明も古いものを再利用

軒の出を深く取り、その下を多目的スペースに。洗濯物を干したり、家族でBBQをしたりと使い方は多様
玄関土間に、旧宅の曲がり天井を活かした。古い欅の車箪笥が、空間に自然と馴染んでいる

家の顔となる玄関扉には、奥さんと同じく骨董が好きなお姉さんから譲り受けた古い蔵戸を用いた旧宅は平屋だったが、移築再生したSさんの住まいは2階建てに。南北方向だった切妻屋根を東西向きに変更したことで、南に面した2階主寝室とLDKには、たくさんの光が射し込む

旧宅は平屋だったが、移築再生したSさんの住まいは2階建てに。南北方向だった切妻屋根を東西向きに変更したことで、南に面した2階主寝室とLDKには、たくさんの光が射し込む

断熱性能に配慮して、窓にはアルミ樹脂複合サッシを採用。意匠性の高い古い木製のガラス戸は、カーテン代わりとして内側に付けた

断熱性能に配慮して、窓にはアルミ樹脂複合サッシを採用。意匠性の高い古い木製のガラス戸は、カーテン代わりとして内側に付けた
湾曲した材をも使いこなす職人技に、昔の大工の技量がうかがえる。細やかな細工が施された神棚は、以前の家では2部屋の間に設置されていて、双方向からお参りできるようになっていた
湾曲した材をも使いこなす職人技に、昔の大工の技量がうかがえる。細やかな細工が施された神棚は、以前の家では2部屋の間に設置されていて、双方向からお参りできるようになっていた
長い年月使い込まれてきた組み込み箪笥は旧宅から受け継いだもの。塗装や調整をし直し、居室の壁面に収めた。美しく磨き上げられ、息を吹き返したかのよう
長い年月使い込まれてきた組み込み箪笥は旧宅から受け継いだもの。塗装や調整をし直し、居室の壁面に収めた。美しく磨き上げられ、息を吹き返したかのよう