ミニマムな暮らし、とまでは行かなくても、そんなに大きな家は要らない。上下の移動は面倒だし、先々を考えると自分たちが必要なだけのスペースの平屋でゆったりと生活したい。そんな希望から平屋を検討されるご家族も、最近はますます増えています。

そこで今回は「平屋」にスポットを当て、お金にまつわるメリットとコストの考え方、注意点について事前に知っておきたいポイントを、NPO法人北海道未来ネットの専務理事でCFPの有田宏さんに伺いました。

平屋を建てるメリット

平屋は、漫画「サザエさん」の磯野家のように、家族全員がワンフロアに集まることが多くなり、お互いの様子もわかりやすいですね。また高齢になって階段の昇り降りが大変で、結果2階の部屋がほとんど使われず開かずの間に! なんてことも、平屋では心配ないでしょう。

当然ですが、同じ床面積であれば平屋は2階建てより広い土地を要します。先ほどの磯野家の床面積は100㎡くらいだと思われます。場所が東京都世田谷区で建ぺい率が60%だとすると、最低でも170㎡くらいの敷地が必要です。これが建ぺい率40%だと必要な敷地は250㎡。地価の高い都市部で新たに土地を買って平屋を建てようとすると、結構な負担となります(表1)。

表1:2階建てと平屋に必要な土地の面積(床面積100㎡)の場合
表1:2階建てと平屋に必要な土地の面積(床面積100㎡)の場合

平屋は、建築費が高い?

工事費については一般的に「平屋は建築費が高くつく」と思われているようです。平屋は、構造はシンプルですが、2階建てと同じ面積で建てるとなると、建築面積は広くなります。それによって基礎工事の範囲が広くなり、工事費が2階建てよりも高くなることがあります。ただ、建築後のメンテナンスが容易なことや、ゆくゆく大規模なリフォームをするにしても大掛かりに足場を組まなくて済むなど、平屋のほうがコストのかからない点もあります。

税金や住宅ローンに違いは?

税金やローンについて、基本的に2階建てと平屋で変わるところはありません。ただし平屋でも、一般的な2階建てに比べて少ない床面積でコンパクトにした場合、問題が出てきます。税金やすまい給付金の面積要件は50㎡以上なので、それほど心配する必要はないですが、注意したいのは住宅ローンのフラット35です。戸建ての場合、面積要件が70㎡以上となっているので注意が必要です(表2)。

表2:税金や住宅ローンでの注意点
表2:各種税金や住宅ローンでの面積要件