昨今、IT化が進み、ありとあらゆる分野で紙という素材を使わないペーパーレス化が進行している。それは職場のみならず、新聞や出版界においても例外ではない。便利さや環境に負荷をかけないという点から、紙という人類が生み出した大切な素材が身の廻りから徐々に姿を消してゆくのかも知れない。

紙が誕生したのは古代エジプト時代に考案されたカヤツリ草の一種、パピルスの茎を加工し、薄い平面状に成形したことに始まる。これが文字の筆記媒体としての紙であり、パピルスが紙を表す英語のペーパー、仏語のパピエールとなった語源だ。

その後、植物の繊維を抽出し、熱や薬品を加え、それらの繊維をからみ合わせることで丈夫な紙が生まれた。現代では紙は欠くことのできない必需品であるが、その原料となる樹木の伐採や廃棄される紙の回収など、環境への問題意識をより高めることが求められている。資源ゴミとしての古紙の回収率を高めているのが段ボール業界である。この業界では古紙回収業、製紙業、段ボール製造業が三位一体となってリサイクルに取り組んでおり、段ボールの古紙利用率は90%以上と言われている。

段ボールは1856年、イギリスでシルクハットの内側に使われ、その後包装材としてアメリカで大いに需要を伸ばした。日本では1909年、井上貞治郎によってボール紙に段を付けた包装材が開発され、段ボールというネーミングが生まれた。日本での段ボールの普及を後押ししたのが戦後復興から高度経済成長へと変化する1950年代からである。それまでの物品の輸送に使われていた木箱に代わり段ボール箱が採用されたのだ。段ボール箱は木箱に比べ、重さは3分の1以下、体積は畳むと20分の1になった。しかも木箱に必要な釘や金槌は不要で、その開閉も容易であった。また段ボール箱には印刷が可能なことから、その内容物を表示したり、広告宣伝媒体としてのパッケージデザインは企業のPRにも役立ったのである。さらに、内容物に応じた形や大きさ、構造、量産など、様々なメリットがあり、クライアントからの要望に迅速に対応できたのである。

今回紹介する渡辺力さんの考案した「リキスツール」は1965年のデザインである。このスツールが発表された頃はまさに日本経済が右肩上がりの成長を遂げていた時期だ。デザインとはその時代を最も反映し、その時代の科学技術と共に誕生するものだ。当時、このスツール4個で象の体重を支えられたことで段ボールに対する認識が大きく変わった。このスツールは単に段ボールの紙の強度というだけでなく、その構造が機能性をも高めることになった。紙という素材は薄く、軽く、破れ易く、弱いという印象があるが、そんな紙の常識を打ち砕いたのがこのリキスツールである。

リキスツール ハイ カラーバリエーション
リキスツール ハイ カラーバリエーション
リキスツール ロー カラーバリエーション
リキスツール ロー カラーバリエーション
全4色(ホワイト、オレンジ、ブルー、イエロー)を組み合わせたマルチタイプ
全4色(ホワイト、オレンジ、ブルー、イエロー)を組み合わせたマルチタイプ

キッズセット(カラーバリエーションはスツールと同じ)
キッズセット(カラーバリエーションはスツールと同じ)
コの字型のテーブルの下に椅子2脚がコンパクトに収まる
コの字型のテーブルの下に椅子2脚がコンパクトに収まる

■リキスツール
メーカー:METROCS(メトロクス)
素材:段ボール
サイズ:リキスツール ロー W330㎜×D330㎜×H330㎜ (重量1kg、耐荷重780kg)
    リキスツール ハイ W330㎜×D330㎜×H420㎜ (重量1.2kg、耐荷重660kg)
    パッケージ W712㎜×D63㎜×H318㎜
価格:4,070円~(税込)

<問い合わせ先>
メトロクス
https://metrocs.jp
TEL 03-5777-5938