「階段」は何か特別感があって、アパートやマンションで暮らしていた人の家づくりでは、「階段のある家に住みたかった」なんてコメントも耳にします。昔は多くの場合、階段は1階と2階を行き来するためのただの通路でしたが、ライフスタイルが変わって最近はリビング階段も一般的になり、通路としての役割に加え、家の空間デザイン全体にまで大きく関わる存在になっています。

回り階段
透かし階段

日常的に身近なものである階段ですが、複数のパーツでできていて、それぞれに名前があるとか、かたちにバリエーションがあるとかって、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?そこで今回は家づくりにあたって知っておきたい、階段の基礎知識をご紹介します。

階段の基礎知識・1 階段のパーツ名

階段は、実はさまざまなパーツからできています。階段を構成しているそれぞれのパーツの名称と役割は次の通りです。

  • A:踏み面(ふみづら)
    足を乗せる段の上面部分。また、奥行きのことも指します。住宅の場合は、建築基準法で15センチ以上の有効幅が必要とされています。
  • B:蹴上げ(けあげ)
    階段の1段分の高さのことをこう呼びます。住宅の場合は、建築基準法で23センチ以下であることと規定されています。
  • C:段鼻(だんばな)
    段板(踏み板)の先端部分のこと。滑り止めなどを付けることが多いのもこの部分です。
  • D:蹴込み(けこみ)
    段鼻から、下の段の蹴込み板までの寸法を言います。これが長いと、つま先が引っかかりやすくなり上りにくい階段になります。
  • E:段板(だんいた)
    踏み面の材料となる部材。単に「踏み板」とも言います。一般的な木から金属、樹脂など、さまざまな素材が使われます。
  • F:蹴込み板(けこみいた)
    段板と段板の間を縦につなぐ材料のこと。蹴込み板のない階段のことは「透かし階段」と呼びます。
  • その他:踊り場(おどりば)
    階段が長いときや向きを変えるときに設ける通常より広い段板のこと。折れ階段や回り階段などには必須のスペースです。

階段の基礎知識・2 階段のかたち

階段には、かたちのパターンもいくつかあり、特徴が異なります。あなたの家や職場、学校などの階段は、どんなかたちをしていますか?

  • A:直階段
    まっすぐに上り下りする階段のこと。住宅では高さ4メートル以下ごとに踊り場を設けなくてはいけません。
  • B:かね折れ階段
    途中の踊り場で90°向きを変える階段。床面積が狭い場合は特に重宝される階段のかたちです。
  • C:回り階段
    90°あるいは180°向きを変える際に、30°または45°に分割した三角形の段板(踏み板)を設けた階段です。円を描くように回って上り下りするのが特徴的です。
  • D:折り返し階段
    踊り場で180°向きを変える階段のこと。踊り場があるため、比較的ラクに上り下りができるというメリットがあります。
  • E:らせん階段
    らせん状に回りながら上り下りする階段のこと。平面的に最も少ない面積で設置ができます。中心にすべての段板(踏み板)を支える柱が必要なため、鉄骨製のものが多いのも特徴です。

こう見てみると、階段はさまざまな要素で構成されていて、家づくりのプランによっていろいろと選択肢があることが分かりますよね。この他にも、建物の構造や建築法規をクリアしてさえいれば、もっと自由な形状も可能です。この記事を参考に、素敵な階段のプランを専門家と一緒に考えてみてはいかがでしょうか?

(文/Replan編集部)

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