マイホームを計画中の方のなかには、「コートハウス」と呼ばれる住宅が気になっている方も多いのではないでしょうか。 居心地の良い中庭が人気のコートハウスですが、実際に暮らすことを考えると、住み心地や耐震性、燃費などの機能面も気になるところです。

そこで今回は、コートハウスの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。プランニングのコツや見本になる実例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


「コートハウス」とは「庭を中心とした住宅」のこと

definition「コートハウス」とは、「庭を中心として囲むように建物を配置した住宅」を指します。一般的な住宅のように道路に面した前庭がなく、中庭や坪庭を設けるのが特徴です。

諸説ありますが、コートハウスの「コート(court)」は、ラテン語で「囲い地」を意味するコホルス(cohors)が語源と言われています。 外壁や塀で囲われて内部が見えないため、外観からは「閉じた」住宅の印象を受けるでしょう。

一方、庭に面する場所にはガラス窓を設置するのが一般的で、部屋と庭の間が「開けた」印象になります。 内と外でまったく異なる顔を持つ点が、コートハウスの大きな魅力のひとつです。

コートハウスの基礎知識

3つに分類。コートハウスの種類

コートハウスは、建物のレイアウトによって以下の3種類に大別できます。

レイアウト特徴
ロの字型 plan1庭の四方を建物で囲む配置

  • 3つのレイアウトのなかで最もプライバシーが守られる
  • 中庭を通して全方向の部屋の様子が見えるため、一体感のある空間になる
  • 正方形に近い形状の敷地と相性が良い
コの字型 plan2建物が「コ」の形に見える配置

  • 庭を挟んで適度な距離感を保てるため、二世帯住宅などで人気のレイアウト
  • 庭の一部が外部に開いており、日光や風を取り入れやすい
  • 庭の広さや幅を調整することで、敷地の形状に柔軟に対応できる
L字型 plan3建物が「L」の形に見える配置

  • 3つのレイアウトのなかで最も開放的
  • 居住部分の動線を柔軟に計画できる
  • 比較的コンパクトな敷地や長方形の敷地と相性が良い

どのレイアウトを選ぶかは、敷地の形状や周囲の環境、求めるライフスタイルなどを考慮して総合的に判断する必要があります。

庭の大きさや床・壁の仕上げ材、植栽の選び方などによって多様な空間表現ができるため、同じレイアウトでもまったく印象の異なる家をつくることが可能です。 ぜひ建築のプロのアドバイスを受けながら、オリジナルのコートハウスを考えてみてください。

なお、コートハウスを建てる際の考え方は、「後悔しない!快適なコートハウスを建てるポイント」の章で詳しく解説します。

コートハウスを建てられる「敷地の条件」

コートハウスを建てるには、ある程度広い庭をつくる必要があります。 一般的な住宅では外部に面した窓から自然光を取り入れますが、コートハウスは庭から採光するためです。十分な明るさを得るには、庭の広さは4帖半以上が望ましいでしょう。

ただし、必ずしも正方形に近い形で庭を設ける必要はありません。間口が狭い敷地でも、奥行きのある庭や複数の小さな庭があるコートハウスを建てられます。 例えば、以下の有名建築は、狭小地や特殊な形の敷地に建てられたコートハウスです。

  • 住吉の長屋(安藤忠雄)
  • 正面のない家H(坂倉準三)
  • まつかわぼっくす(宮脇 檀)

また、トップライト(天窓)や吹き抜けなどで別の場所から採光が得られれば、コンパクトな庭にすることも可能です。 敷地の形や周辺環境にもよりますが、土地に30坪ほどの広さがあればコートハウスを建てられるでしょう。

コートハウスの5つのメリット

merit コートハウスには、以下5つのメリットがあります。

  1. 住宅密集地でもプライバシーを確保できる
  2. 半屋外空間により生活の幅が広がる
  3. 自然の光と風で心地よく過ごせる
  4. 防犯性が高く安心して暮らせる
  5. 周辺環境が変化しても影響が少ない

順番に詳しく見ていきましょう。