新しい生活様式の浸透で外食の機会が減り、これまで以上におうちご飯、おうち飲みを充実させたいという人が増えています。それに伴って、産直食材やワインのお取り寄せも急増。全国から届くよりすぐりが日常の食卓に並ぶことも当たり前になりました。ところが保存環境が十分に整わず、楽しみにしていたお取り寄せ食材の食べごろを逃してしまった。まとめて購入したお酒に合った保管方法がわからない。そんなお悩みの声もちらほらと聞こえてきます。

そこで今回は、ワイナリーやチーズ工房、レストラン、青果店などの貯蔵環境に注目。第一線で活躍する食のプロとともに、おいしい旬を逃さない環境づくりに取り組んでいる、ピーエス株式会社の企画開発・営業リーダーの弘田七重さんにお話しいただきます。

しっとり涼しい洞窟の空気感が
おいしさを守り、育てる

食品や飲料の鮮度を損なわず保存できる環境は「風や振動がなく、適正な湿度と温度が安定して保たれていること」といわれています。なかでも、ワインやチーズはとりわけ、急な温度と湿度の変化に敏感に反応します。このため、ワインやチーズにストレスを与えない緩やかな環境に整えることで、深く豊かな味わいが育まれます。

写真下:会員制のレンタルセラー「ヴィネスパス」(名古屋市)

「弊社で提供しているPSカンティーナというシステムは、ラジエータ内に冷水を循環させることで起きる放射と自然対流によって、しっとりとした涼しさに満ちた天然の洞窟のような環境をつくり出します」。醸造家や生産者が求める理想的な環境が実現できるPSカンティーナは、道内のワイナリーやチーズ工房の熟成庫にも採用されています。「絶え間なく循環する冷水の温度は、一日の移ろいの中で緩やかに変化しながら“第2の自然”をつくり出しています。そのことが、地域の風土を感じさせる良質なワインやチーズの熟成に役立っているのだと思います」と弘田さんは話します。


【食のプロからのコメント】日本ソムリエ協会・ワイン庫にPSカンティーナを設置

ワイン収納前の倉庫の様子
11℃~13℃の範囲にしっかりと冷えていることが見て取れる

日本ソムリエ協会様は、ソムリエをはじめワインに携わる方々の資質の向上と、ワイン・日本酒・焼酎を中心とする飲料の普及のための活動をしています。全国の各支部においてテイスティングセミナーなどのイベントで使用する約5千本のワインの品質を最良に保つため、PSカンティーナを導入しています。


【食のプロからのコメント】チーズ工房タカラ・熟成庫にPSカンティーナを採用

羊蹄山の麓でチーズ工房を営んでいます。チーズ工房内にはアイスシェルターを熱源とした熟成庫をつくり、自然エネルギーを活用しています。以前は空調冷房でチーズに風が当たるのを避けることに苦労していましたが、このシステムは空気をかき混ぜないので熟成庫全体が安定し、局所的なムラがなく緩やかな調節ができ非常に満足しています。


また、しっとりと涼しい環境を好む葉物野菜や根菜、果物などにも、この洞窟のような環境は最適だといいます。適切な温度・湿度管理によって、デリケートな青果物の乾燥や急激な温度変化を防ぎ、収穫したてのみずみずしさを長く保つことができます。

食のストック環境の充実で
生活シーンがさらに華やぐ

日々の暮らしの中で、より専門的でおいしいものを楽しみたいと、キッチンが主役の家づくりが増えています。キッチンに隣接して、パントリーや冬の冷気を採り込む食品庫を備える住まいも珍しくなくなりました。おうち時間が長くなったことで、さらにもう一歩進んで、通年で食品や飲料の保存に理想的な温度と湿度を保つ食品庫、ワインセラーを自宅内に設けたいというニーズも増えつつあります。


【ユーザーのコメント】札幌市・A邸・自宅のワインセラーとしてPSカンティーナを設置(設計・施工:ハウジングオペレーションアーキテクツ株式会社)

以前住んでいた住宅のワインセラーはエアコンで調整していたのですが、風が強いし、業務用のエアコンを使っても思うように冷えず、カビにも悩まされました。それに比べてPSカンティーナは、庫内全体がしっとりと冷えているのを実感できて、まさに洞窟のような感じ。カビなどの心配もなさそうで安心しています。ワインはビンテージごとに分けて並べたりして楽しんでいます。長期的にいい保存ができそうで期待しています。


「ご家庭の食品庫も室温15℃前後、湿度70~80%を保つことができれば、冷蔵庫のように冷えすぎず、食品を安心してストックすることができるでしょう。家づくりやリノベーションの際に、生活動線に合わせてこのようなシステムの導入を検討していただくと、食のシーンがより充実しそうです」と、弘田さんは話します。

オープンなLDKの一角にある、ガラス張りの食品庫に保存されている食材やワインを眺めながらその日の献立を決める。食いしん坊なら想像するだけでワクワクするような暮らしの夢も、目にも楽しい食品庫があれば叶いそうです。またストック食材の可視化によって食べごろを逃さず、フードロスもなくなります。

「自分の好みやしたいことにマッチする保存環境を整えることで、暮らしを楽しむ幅がどんどん広がって、おうち時間がよりおいしく、豊かなものになるのではないでしょうか」と弘田さんはにこやかに話してくれました。

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(文/Replan編集部)

取材協力/ピーエス株式会社