「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2024」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、福島県郡山市を拠点に注文住宅を手がけるHAL建築設計の木幡智和さんです。

家・建物は ともに生きていくパートナー

「家を買う」という言葉をよく耳にしますが、家は買うものなのでしょうか?実際に立っている建物を購入しそのまま使う場合は「買う」の表現で間違いないと思いますが、私たちは「いえづくり」を「生活をデザインし、育てていくもの」と考えています。

家・建物は単なる作品ではなく、ともに生きていくパートナーです。 お客様のこれからの日々の暮らしをともに想像し、家をつくり込んでいくワクワク感を共有しながらカタチにする。住むほどに愛着を感じられる。何気ない日常を大切にした「いえづくり」をともに進めたいと考えています。

Before
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洋風デザインの外観は、既存建物を生かしながらアップデートした
洋風デザインの外観は、既存建物を生かしながらアップデートした

リノベーションで新たな価値を

福島県沿岸部に立地する、60代のご夫妻の住まいです。築約40年を経た、お二人にとって愛着のある家ですが、東日本大震災によりご家族が避難を余儀なくされたことで、数年間空き家となっていました。今回新たなお住まいを検討するにあたり、リノベーションを選択されました。

コンセプトは「つながりを感じる家」。構想を進め始めた矢先、ご夫妻は木工家具を手がける工房で、長さ4mほどもあるケヤキの一枚板に出会います。「この板を、みんなが集える大きいテーブルにしたい」。この強いご要望から、具体的な計画はスタートしました。

木製の玄関ドアは、名字のイニシャルをモチーフにデザイン
木製の玄関ドアは、名字のイニシャルをモチーフにデザイン
Before

区切られていた部屋をワンルームのLDKに改修。玄関土間からLDKとつながり、一体感のある空間とした
区切られていた部屋をワンルームのLDKに改修。玄関土間からLDKとつながり、一体感のある空間とした
Kさん宅の設計の起点となった長さ4mほどもあるケヤキの大テーブルが、空間に華やかさを添える
Kさん宅の設計の起点となった長さ4mほどもあるケヤキの大テーブルが、空間に華やかさを添える

奥さんのユーティリティルームは、家事から趣味までさまざまな用途を想定した
奥さんのユーティリティルームは、家事から趣味までさまざまな用途を想定した
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リノベーションにあたり、新たに設けたサンルーム
和室を洋室に改修。既存を利用した欄間が、この家の歴史をさり気なく伝える
和室を洋室に改修。既存を利用した欄間が、この家の歴史をさり気なく伝える

リビングとダイニング・キッチンが仕切られ、中廊下型だった間取りを一新し、LDKはワンルーム空間に。中廊下は、階段やトイレに取って代わりました。また玄関ホールにあった階段は、LDKから2階への動線が長くて不便だったため、LDKの近くに移設。生活動線を改善しました。

階段の移設によって生まれた玄関スペースは土間空間とし、薪ストーブを設置しました。土間の蓄熱、室内の空気の循環を促すファンを設け、薪ストーブの自然な暖かさが家全体に行き渡る計画としました。

土間空間に設置した薪ストーブ。吹き抜けを通じて家全体を心地よく暖める
土間空間に設置した薪ストーブ。吹き抜けを通じて家全体を心地よく暖める
2階から玄関ホールと土間空間を見下ろす
2階から玄関ホールと土間空間を見下ろす
ご家族の皆さま喜んでいただけたよう
ご家族の皆さま喜んでいただけたよう

愛着と歴史が刻まれた家で、新しい暮らし方を実現する。リノベーションで新たな価値を生み出しました。

■建築DATA
福島県浪江町・Kさん宅
家族構成/夫婦60代
構造規模/木造・2階建て
延床面積/237.95㎡(約71坪)

設計/HAL建築設計 木幡 智和
施工/HAL建築設計