中間領域のライトウェル
美しく暮らす。東北の建築家・建築会社が提案するデザイン住宅
「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2026」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。
今回は、青森県弘前市を拠点に注文住宅を手がける蟻塚学建築設計事務所の蟻塚 学さんです。
寒冷地だからこそ丁寧に考える「生活のいれもの」
寒い地域では「大きな開口部や上下階の吹き抜けは、寒くてつくれない」と思われがちですが、性能の良いトリプルガラスのサッシや断熱・気密を適切に計画することで、上下の温度差がない快適な空間の設計は可能です。
近年は高断熱仕様の施工が一般化してきたことにより、北国ではこれまで見られなかったような開放的で自由な空間、住まい手のライフスタイルに合わせた空間が実現できるようになってきました。
住まいとは「生活のいれもの」であり、一人ひとり異なる生活に寄り添う空間を丁寧に考えることが、理想の住空間につながると考えています。

「中間領域」が暮らしの質を高める
「中間領域」とは、屋外でも屋内でもないその間にある空間のことを指します。古くから日本の住まいに見られる縁側や土間などはその代表例で、内と外の間にあって風や光を採り入れたり、靴のままでラフな作業ができたりと、暮らしにゆとりと多様性をもたらしてきました。
Mさん宅の敷地周辺は道幅が狭く交通量の多い住宅地で、その視線や騒音から生活空間を守るために、外へ大きく開くのではなく、内側に向かって豊かな空間をつくる構成としました。


加えて冬の寒さや積雪への対策もふまえて、建物の中心に外気の影響を受けない吹き抜けの中間領域を設けて「ライトウェル(光井戸)」として機能させています。ライトウェル頂部にあるハイサイドライトは雪に埋もれず年中採光が可能で、夏の暑い陽射しも間接的に採り入れることができます。

そして車好きの建主のために、ライトウェル内にリフトを設置して愛車を持ち上げ、2階にいても日常生活の中でその姿を楽しめる仕掛けとしました。生活空間の中心を貫くライトウェル自体はガレージと一体になった非暖房空間ですが、トリプルガラスによって生活空間とは熱的に分離され、光と視線のみが通ります。






中間領域を丁寧につくり込むことで、直射日光や車などの室内にとっては異物となるものを間接的に取り込み、日々の生活となじませることができます。これからの豊かな住空間は「中間領域をどのように捉え、設計するか」で大きく変わっていくのではと考えています。
■建築DATA
青森県青森市・Mさん宅
家族構成/夫婦70代
構造規模/木造・2階建て
延床面積/245.94㎡(約74坪)(ガレージ含む)設計/(株)蟻塚学建築設計事務所 蟻塚 学・三浦 桜子
施工/弘南建設(株)撮影/西川 公朗
- 会社情報
- 社名 株式会社 蟻塚学建築設計事務所
- URL https://www.aritsuka.com
- Replan SUMAIナビ https://www.sumai-navi.jp/companies/d10126
「再開発」とは呼ばない。住民とともに街の風景を育てる「支援型開発」の挑戦【下北線路街】













