県民対話集会「#あおばな」とは?
青森県には、『青森の未来について話をしよう。青森の話に花を咲かせよう。』をコンセプトに、知事が出向いて県民の声を聴く対話集会「#あおばな」という取り組みがあります。開かれた県政を推進し、現場の新鮮な発想や課題をこれからの県政運営に反映させるための貴重な対話の場となっています。

2026年5月22日、青森市にて開催された「#あおばな」には、『地元住宅ブランドに誇りを持って〜あおもりGX住宅ビルダーズの使命〜』をテーマに、あおもりGX住宅ビルダーズが参加。地域の工務店をはじめとした建築関連企業・団体から計7名のパネラーが集まりました。
あおもりGX住宅ビルダーズとは?
2050年のカーボンニュートラル実現、そして青森の厳しい冬を快適・省エネに過ごすための住まいづくりに向けて、青森県では「あおもりリビングスタイルガイドライン」を策定しており、その中で独自の省エネ住宅基準「あおもりGX住宅スタイル」を設けています。
この地域の気候に適した未来の住まい「あおもりGX住宅スタイル」の普及促進を目的に、県内で住宅の設計・施工実績や一定の知識を有し、各地域で積極的に住まいづくりに取り組んでいる企業などを募集・公表している制度が『あおもりGX住宅ビルダーズ』です。
詳細と登録工務店を見たい方はこちら https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kendo/kenju/aomorigxbuilder.html
【CROSSTALK】地元住宅ブランドに誇りを持って〜あおもりGX住宅ビルダーズの使命〜

[出席者]
・写真上段(左より)
須郷 裕貴 氏(株式会社リアルウッド 代表取締役)
高橋 秀夫 氏(株式会社亜細亜建設 代表取締役)
平野 公彦 氏(平野商事株式会社 代表取締役副社長)
・写真下段段(左より)
上野 浩行 氏(タカヤマホーム株式会社 代表取締役)
三浦 慈子 氏(株式会社ワックアーキテクツ)
宮下 宗一郎 氏(青森県知事)
菊池 洋壽 氏(株式会社菊池組 代表取締役)
伊香賀 俊治 氏(一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長 / 慶應義塾大学名誉教授)
※このクロストークの内容は、会話内容をもとにテーマ別で再構成したものです。
THEME 1 青森の暮らしに寄り添う「あおもりGX住宅スタイル」の価値
宮下知事
本日はお集まりいただきありがとうございます。皆さんが現場で感じている「あおもりGX住宅スタイル」の意義や、住宅の性能向上による暮らしへの影響について、まずはお聞かせください。
宮下 宗一郎 氏(青森県知事)(写真左)
菊池
青森の厳しい気候を快適に過ごすためには、高断熱・高気密の住まいが必要不可欠です。「あおもりGX住宅スタイル」という明確な基準ができたことで、我々つくり手も、より強くその必要性を提案できるようになりました。
伊香賀
住まいの温熱環境を整えることは、健康への付加価値を大きく高めます。住宅性能の向上が健康寿命の延伸につながり、ひいては将来的な社会保障費の削減にも寄与するという面でも重要です。
菊池 洋壽 氏(株式会社菊池組 代表取締役)
伊香賀 俊治 氏(一般社団法人住宅・建築SDGs推進センター理事長 / 慶應義塾大学名誉教授)
宮下知事
医療費や社会保障費の削減という視点は、県政にとっても非常に大きなインパクトがあります。具体的に、温熱環境と健康にはどのような相関があるのでしょうか。
伊香賀
断熱性の高い暖かい家に移り住むことで、冬場の血圧が安定するだけでなく、居住者の脳年齢が若返ったり、家庭内での活動量が増えたりするという調査データもあります。寒さを我慢せず、暖かく健康に暮らすことがこれからのスタンダードです。
三浦
高い性能をベースにしたうえで、女性視点を取り入れた家づくりも欠かせません。共働きや子育て世帯が増加する中、今の多様な暮らし方にしっかりと寄り添った住まいづくりが求められています。
菊池
本当にそのとおりですね。暖かい・涼しいといった住宅性能の良さは当たり前で、そのうえで家事動線がスムーズか、家族が笑顔で過ごせるかというソフト面が組み合わさって初めて、本当の「あおもりGX住宅スタイル」の付加価値になるのではないでしょうか。
THEME 2 地域を支える工務店の使命と次世代への継承
宮下知事
性能や暮らしやすさを担保し、地域に根ざした家づくりを進めるうえで、地元の工務店が果たす役割は非常に大きいと感じています。皆さんはそれについてどうお考えでしょうか。
平野
地域工務店は、その土地の風土や環境を知り尽くしています。だからこそ、長きにわたって住まい手を守る家を建てられるという「地域工務店の重要性」を、改めて社会へ発信していく必要があると考えています。
高橋
また、地震や大雪といった災害時における地元工務店の役割も見過ごせません。万が一の際に素早く駆けつけ、地域社会を根本から支える力となるのが、私たち地元のつくり手です。
平野 公彦 氏(平野商事株式会社 代表取締役副社長)
高橋 秀夫 氏(株式会社亜細亜建設 代表取締役)
宮下知事
冬場の豪雪や近年の自然災害を考えると、地域の地理や建物の特性を熟知した皆さんが即座に動いてくださることは、県民にとって最大の安心材料です。まさに地域のインフラを担っていただいているといえます。
三浦
地域密着型だからこそ、お引き渡しをしてから何十年経っても「何かあればすぐに駆けつけてくれる」という安心感をお施主様に届けられますよね。家を建てて終わりではなく、地域の方々の生涯の暮らしに伴走し続けることこそが、私たち工務店の本当の使命だと感じています。
上野
一方で、業界全体として大工や職人の不足、後継者問題は深刻な課題となっています。この地域の技術と家づくりの文化を次世代へ継承していくためにも、人材育成など将来の担い手確保に向けた取り組みが急務です。
三浦 慈子 氏(株式会社ワックアーキテクツ)
上野 浩行 氏(タカヤマホーム株式会社 代表取締役)
平野
若者に「工務店で働きたい」と思ってもらうためには、我々経営者側の意識改革も必要です。完全週休二日制の導入や、施工管理のDX化による負担軽減など、誇りを持って長く働ける環境を整えることが、結果的に地域の家づくり文化を守ることにつながるでしょう。
高橋
同感です。大工は単なる作業員ではなく、地域の安心をつくり出す素晴らしい職業です。その魅力を官民一体となってもっと発信していきたいですね。

THEME 3 あおもりGX住宅スタイルの普及に向けた課題と官民連携の展望
宮下知事
高い技術と使命感を持つ皆さんの活動を広げていくためには、住まい手側のハードルを下げる工夫も必要ですね。普及に向けた具体的な課題についてはいかがでしょうか。
須郷
高性能な住宅を実現しようとすると、どうしても資材高騰の影響もあり、住宅取得の初期費用が上がってしまいます。そのため、ローン環境の整備や金融機関との連携が、今後の普及において必須だと感じています。
伊香賀
コストの捉え方を変えていく啓発も必要ですね。初期費用が少し上がっても、毎月の光熱費や将来の医療費が抑えられるため、30年、40年という生涯コスト(ライフサイクルコスト)で見れば、あおもりGX住宅スタイルの基準をクリアした住宅の方が圧倒的に経済的です。このトータルでのお得さをどう伝えるかが鍵ではないでしょうか。
須郷 裕貴 氏(株式会社リアルウッド 代表取締役)
業界が抱えているさまざまな課題を取り上げながら、その現状と改善・支援方法について、率直な意見交換が行われた
上野
確かにライフサイクルコストの視点は重要ですが、一般のお施主様が建てられる際には、目の前の建築費やローンの月々の支払額がどうしても最優先の判断材料になります。将来元が取れるという説明だけでなく、最初のハードルそのものを下げる具体的な支援策が、普及の爆発力を生むためには欠かせないと思います。
須郷
そして、お施主様個人個人が長期的なシミュレーションデータを信じるには、やはり「県が公認している基準だから間違いない」というバックボーンや、金融機関がそれに応じた優遇金利プランを出してくれるような後押しが必要です。
宮下知事
初期投資への不安を和らげるためにも、県としても「あおもりGX住宅スタイル」の認知度向上に努めるとともに、金融機関をはじめとするサポーター企業との連携をさらに強化していく必要があると考えられます。独自の補助制度の拡充も含め、住まい手が一歩を踏み出しやすい環境づくりを官民連携で加速させましょう。
本日は、現場のリアルな声や、住まいを通じた地域の健康・安全への貢献について深く知ることができました。皆さんの誇りある取り組みを、今後も県として全力で後押ししてまいります。ともに青森の未来をつくっていきましょう。ありがとうございました。