先日「ウィンド・リバー」という映画を見ていて、気になった言葉。殺人事件の捜査を手伝う主人公が雪の斜面に残るスノーモービルの跡を見つけて、共に捜査する警察官に言う。

「急ごう、跡が消える」

積もった雪の上に足跡や車のタイヤの跡がくっきり残る、そしてそのあと雪が降ったり暖かくなって溶けるとそれが消える。これは、実に雪国らしい表現で、雪が降る地域に住む人には「あたりまえでしょ」ということだと思いますが、雪になじみがない場所に住む人にはどのように届いているのだろう?ととても気になります。

雪が積もっているために証拠が残る一方で、さらに雪が降ることで証拠が消えるという両面をはらんでいることで、この映画のようなクライムサスペンスの表現は広がったり狭まったりする面白さがあります。作品によってはそのことが事件の行方を決定づけることもあります。

映画や小説だけでなく、わたしたちがつくっているような雑誌やWEBメディアでも、雪国らしい表現というものが見つけられるのではないか。冬の終わりに、そんなことを考えている編集部AOでした。

編集部/AO