世界にはそれぞれの地域に生まれた食文化が存在する。それらは季節や地理的な条件のほかに、宗教などの影響により生まれたものだ。その食に対する価値観も多様で、中には尋常ではない刺激的な辛さを好む人々もいる。一方、臭いの強い発酵食品も世界各地に見られる。スウェーデンのイワシを発酵させた缶詰シュールストレミングは、その発酵のため缶が膨らんでおり、その缶を開ける時はビニール袋の中に入れ、中の液が飛び散らないよう厳重な注意のもとで行われる。また、果物の王様と言われるドリアンの臭いは強烈で飛行機の客室への持ち込みは禁止されている。こうした辛さや臭いを旨さと認識する人達にとってはそれは虜となるようだ。

日本の食文化の中にも山葵や芥子のような辛い食材や、なれ寿しやくさやのように独特な臭いの食物も存在する。日本では「食を五感で味わう」と言われる。味覚はもちろん、食材の盛り付けや器とのバランスなど視覚でも味わう。また、そこに盛られた食材が採れた自然界に想いを馳せ、その地での音色をも喚起させる。野菜などは原種に近いものは味や香りが強いと言われる。料理人はその調理にあたり、包丁や箸、さらに手指を使い食材を取りさばき、整えてゆく。その際には触覚はもとより、五感の全てを集中して事に当たるのだ。その繊細さはフランス料理に勝るとも劣らない。そのような日本の食に関わる世界では、食材の生産者はもとより、卸し、仲卸し、小売り、調理人に至るまで、それぞれの領域で一流と言われる人達が携わる。

日本の食文化において旬という要素も極めて重要なものである。食材には初物と言われ、季節を先取りする考え方があり、一般に出廻るより早いため希少性がある。初摘みの緑茶や、南方から北上して来る初鰹など、初のつく食材は粋人に好まれてきた。食材が旬を迎えると栄養価が高くなり、脂の乗りが良く最も美味になり、さらに食材の見栄えも立派になる。しかも季節に合っていることからより多く収穫でき、価格も手頃なものになる。旬が終わる頃になると日本ではそれに合わせた食材の名がある。もどり鰹や落ち鮎などがそれにあたる。食材を季節ごとにみると、春の食材は栄養素に豊み、夏は体をさますもの、秋は体を肥やし、冬は体を暖める効果がある。このようなことから季節に合ったさまざまな調理法が生まれたのだ。

今回紹介するケーラーはデンマークの陶磁器メーカーとして1839年に創業した。「人の暮らしをより美しく、豊かに」との理念のもと、生活の中に高い芸術性を秘めた製品を発表している。写真のオンブリアシリーズはアンダース・アーホイのデザインによるもので、日本の陶磁器からの影響が伺えるものだ。この作品のみならず、デンマークの美術や工芸、デザインには「日本的なるもの」が多い。こんな器にこそ和食を盛り付けたい。

ボウル(12.5㎝/グラナイトグリーン)
ボウル(12.5㎝/グラナイトグリーン)
プレート(27㎝/グラナイトグリーン)
プレート(27㎝/グラナイトグリーン)
デザイナーのアンダース・アーホイ
デザイナーのアンダース・アーホイ

■オンブリアシリーズ
ブランド:KÄHLER(ケーラー)
ボウル(12.5㎝/15㎝)
カラー:グラナイトグリーン、マーブルホワイト/ムーンライトブルー、スレートグレー
材質:ストーンウェア
サイズ:直径123㎜×H55㎜/直径150㎜×H75㎜
価格:3,520円(税込)/3,850円(税込)
備考:食洗機・電子レンジ・オーブン可

プレート(22㎝/27㎝)
カラー:グラナイトグリーン、マーブルホワイト/ムーンライトブルー、スレートグレー
材質:ストーンウェア
サイズ:直径220㎜×H12㎜/直径270㎜×H14㎜
価格:3,850円(税込)/4,620円(税込)
備考:食洗機・電子レンジ・オーブン可

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